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2009/03/02

劇場版 「空の境界(1-6章)」をみて。

Karanokyoukai2 現在、第6章までが劇場公開され、第7章も今年春(初夏?)の公開で完結する予定の『空の境界』。上映館は限られており、ゲイマーでもない地方在住者の私ではなかなか手の届きにくシリーズなのだが、幸運にも1-5章を纏めてみる機会を頂いた。
もともとは「アニメギガ」での鈴村健一さんの回で紹介され興味を持った作品。一応第1章だけはレンタルで視聴済。血が飛び散り、視覚で痛さを感じてしまうエグイ描写が度々登場する、あまり得意とはいえないジャンルの作品だったが、単なる猟奇的ホラー作品ではなく、謎めいた部分や独自の世界観が後を引く作品でもあり、是非にも次が見たいと思っていたところだったので、感謝しきりである。

原作を踏襲した公開順は、①「俯瞰風景」、②「殺人考察(前)」、③「痛覚残留」、④「伽藍の洞」、⑤「矛盾螺旋」、⑥「忘却録音」、⑦「殺人考察(後)」だが、時系列では②「殺人考察<前)」→「伽藍の洞」④→「痛覚残留」③→「俯瞰風景」①→「矛盾螺旋」⑤の順になる。(⑥・⑦はそのまま順番通りとのこと)。
先に1章(と6章)を観てフライングしてしまっている私だが、そもそも原作が思わせぶりに捻じれていることから、公開順でも時系列順でもどちらでも問題ないと言われ、DVDはとりあえず公開順でみることにした。ちなみに予備知識はアニメギガでの作品紹介程度しかない(※参考)
以下は素人の初見感想。観たまんまの雑感や推理と思って欲しい。

①「俯瞰風景」
●式&幹也と蒼崎燈子の関係、燈子の位置付けがさっぱり分らないまま話が進行して微妙においてけぼり。・・・ただし、燈子には並々ならない存在感とパワーを感じ、キーマンのひとりと想像。
●幹也がどんな仕事をしているのもわかっていないので、急に抜け殻になったことに何が起こったのまったく「?」となる。・・・事件に触れてアチラ側に連れて行かれたのだろうと想像するが、燈子や式にまるで焦りがないことから、大丈夫という根拠のない確信を持って見ていた感じ。
●式の”直死の魔眼”の概念は予備知識をそのまま受け入れるが、式の本質や能力を良く理解していない為、アクションシーンでの会話の意味が全然分らない。さらに、左手が義手だと知らなかった為に本気で焦った。・・・義手の修理が燈子の仕事と判明し、式の能力や奇怪なものとは深く関わりのある存在だと知り、少し燈子が見えてきた。作業場に並ぶ人形には『イノセンス』を彷彿。
●巫条霧絵の言う、毎日花束を持って病院を訪れる男の子が幹也だとは察するが、誰が入院しているのか謎に思う。・・・おそらく式だと想像するが、だとすれば義手の式は誰?心も身体も分離した?と疑問が生まれてしまう。なにせ全く知らないからね(笑)
②「殺人考察(前)」
●幹也と出会った頃の式の言葉遣いの違いにアレ?と思う。式の正体(理屈)は分かるのだけど、どうも織と式の区別が付かない。・・・実は未だに良くわかっていなかったりする。違いがイマイチ呑み込めていないからだろうが、どう考えても同じ人間にしか思えなくて...。
●襲ったのはどっち?ためらったのはどっち?それともまったく別のもの?・・・幹也は殺されることなく、代わりに式が重傷という、すっぽりと数分が抜け落ちたままでのブツギリのラストには「ええーっ」となる。
・・あとは、特殊な事情を除けば”ボーイミーツガール”という定番だなーって、微笑ましく思っていたけれど。
●予告編では、第6章「忘却録音」で見覚えのある、鮮花と同じ制服にあれ~?
③「痛覚残留」
●冒頭からツイにコレが来たかとげんなり。・・・しかし、彼女の異常性は見てのとおりと思い、偶然彼女を拾った幹也の傍をあっけなく離れてくれたことにホッとした。
●怪死事件での「捻じ切られた四肢と首」から、式の義手の原因はコレだったかと思いあたってニッコリ。もちろん予想は的中。・・・1章で義手を壊した時の、燈子の「浅上藤乃の事件から1ヶ月なのに・・・」という発言を思い出したので、全体的には経過と顛末、アクションをただ見ていた感じではあるが。
・・それにしても、幹也のお人好しは筋金入り。異形?のものに惹かれる体質なのかな?式の中にあるルールやボーダラインって案外情に左右されているように思うのは私だけ?
④「伽藍の洞」
●2章の続きから始まる親切設計。数分間は抜け落ちたままだが、現在の式に至る経緯に納得する。・・・やっと巫条霧絵の言葉と事実がリンク。燈子と式との契約(なのかな?)も含めて、漸く1章までの大きな穴が埋まった感じにスッキリ。
●織の消滅から”直死の魔眼”を手に入れた事は分かるが、彼が消えたことで式自身の何(どこ)が変わったのかよくわかっていない。・・・実は、燈子と式の会話から初めて織が男だと知って目から鱗が落ちた。後に5章での燈子による「両儀」の説明でやっと腑に落ちるものの、益々分らなくなってしまった感も?
●面会が叶い、式が幹也を覚えていることをちゃんと告げるところに嬉しくなる。子犬ちゃん、報われたねー(^^)・・・互いを裏切らず、失望させない2人の関係や会話が、混沌としたストーリーの中でも一服の清涼剤になって心地よいんだよね。
⑤「矛盾螺旋」
●黒幕:荒耶宗蓮がやっと大々的に登場。・・・式も燈子も大ピンチでハラハラ。逆転劇は素直に気持ちよいね。
●「本物であることを問う事にはなんの意味もなさない」という燈子の衝撃的発言に愕然。・・・もしかして、誰よりもアブナイ存在って燈子さん?一番敵に回しちゃいけない気がしたのだけど。それはそうと”ロケットペンシル”の話題には爆笑!でもそれですんなり構造が理解できた私だ。そっか、今はないのかぁ~。
●ラスト、鍵を開けて入ってくる幹也が嬉しかった。4章でのラストと逆のパターンでもあり、期待通り♪・・・式と幹也、どこまでもストイックでプラトニックな関係が一歩前進?
・・同じカットやシーンの繰り返しが多用されていたが、パラレルはあっても時間は確実に進んでいるのが分かり、異なる部分だけをつなぎ合わせて考えれば、さほど混乱することはなかった。エレベータのトリックはシンメトリーで中央が円柱形な構造から早々に看破。その手のトリックを使った様々な作品を見ている慣れからかな?(結界やリピートは解りっこないけど)
⑥「忘却録音」
●鮮花が中心っぽく、雰囲気の違いから番外編と思って先に鑑賞。弊害といえば浅上藤乃を全く知らない事くらいだろうか?
●幹也と鮮花は誰の葬式に出ているのかが謎になってしまった・・泣く泣かないにこだわっていたから両親かと思ったのだけど、2章にはちゃんと両親が登場していたから。

全体として、もっとエログロな作品と覚悟していたが思っていたほどの事がなくて助かった。エロは3章ぐらいだし、グロは5章が・・・と聞かされていたが、エグイながらもダイレクトに見せてくれる作画が大半だった為、腸以外に気持ち悪さはほとんど感じなかった。痛い瞬間や目を刺す・抉るなどは「目」だけに反射的に眼をそらすのはいつものことで仕方なし。瞬間を過ぎれば手足が転がっていても、血が噴き出していてもアニメと認識できるからわりと平気(アイタタタ・・・と同じ部分をさすってしまうけど)。思うに『ひぐらしのなく頃に』だの、『黒塚』だので多少の免疫が付いたように思う。とにかく何より苦手なのが惨状を”想像”してしまうような描写。これはガッツリと後を引くからキツイ。事実、7章の予告には軽く吐き気をもよおしており、思い出さないようにした。次回ガンガンとあの手の描写が登場したら、今度こそ耐えられないかもしれない。
最初に公開順と時系列について書いたが、実際、公開順に見て、公開順で良かったと思った。(6章のイレギュラーはあるが)。それぞれ根底では繋がっていても、それぞれは独立しているとも言えて、「?」はたくさんあるけれど謎が謎を呼ぶほどのものでもないから、時系列順では当たり前な印象に思うかもしれない。シャッフルのおかげでピースを埋めるような楽しみが味わえた気がする。
やっぱり平凡だけど特別な幹也に魅力を感じるかなぁ。マニアックといえばマニアックなのだけど、深読みせずに軽く浅くでも十分面白い作品だと思った。

まだ7章の公開日程が発表されていないけれど、今年というのだから「エウレカ」が終わった頃にスタートかと予想。6章では、式と玄霧との決着が描かれていなかったのも気になっているし、玄霧が幹也にとてもよく似ていること、でも「あれはむしろ・・・」という式の言葉が非常に気になっている。2章と4章での空白の数分間に荒耶が絡んでいるカットが5章に一瞬だけ登場していることからも、種明かしの完結編は楽しみだ。7章もチャンスがあれば、劇場で鑑賞し、とっととスッキリしたいと思っている。

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コメント

こんにちは。

解かり辛いですよね、このシリーズ。僕は原作未読なんですが、いつも原作読者の人と一緒に観に行って、観賞後にあーだこーだと質問攻めにしています(笑)。
たいむさんのように一気に観賞するのが正しいやり方かもしれませんね。劇場で観ていると、各章の間に最低1ヶ月、長ければ4ヶ月くらい空いてしまいますからね。

最終章、いつ地元で公開するか解かりませんが、内容を覚えている内にやって欲しいです。

投稿: えめきん | 2009/03/04 08:57

■えきめんさん、こんにちは
そうですねー。一度で理解できる人っていないんじゃないかな?って小面倒くさい作品で、劇場だと止めて戻すこともできないし、まったく素人向きではないですよね。
小説で補完・・・も考えなくはありませんが、今はエンタメ風に表面をさらえばいいやって感覚で愉しんでます。
でもよいですねー、解説者してくれるお友達が近くにいてくれるのは。私は、気前の良い友人のおかげで一気に視聴ができて幸運でしたが、近くじゃないので解説してもらえませんから~(^^;。
7章は上京のタイミングと合えばいいなーって思ってます(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2009/03/04 23:37

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