『ジェネラル・ルージュの凱旋(上・下)』 (著)海堂 尊
1月に文庫化されたこの作品。『ナイチンゲールの沈黙』と『螺鈿迷宮』の2作品と関連深い作品である事からも、時間をおかずに読むことができて非常に良かった。それら2作に比べると、勢いがあってエンタメ性にとんだ作品。スピード感に溢れているのもテーマである「救命救急医療」のなせる業か。
いや~、清清しい読了感に大満足!面白かった!!
3月の映画公開に先立ち、速水が「ジェネラル(将軍)」と呼ばれるきっかけとなった事件、あの”ジェネラル・ルージュの伝説”が書き下ろしスピンオフ小説となって発売される。(『ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて』:2/20)。神が降臨した若き速水の雄姿に、”ルージュの真相”ならば、是非にも読みたいよね。
とにかく”ジェネラル・ルージュ”(血塗れ将軍)の異名をもつ、速水晃一救命救急センター部長がカッコイイこと!医師としての頭脳や技術は超一流、現場リーダーとしての器量と瞬発力を兼ね備え、その神がかり的な手腕は涙モノ。話術にも長け、あの白鳥が絶賛するくらいなのだから言う事なしのスーパースターだ。唯一つ、彼が歯止めの利かない”やんちゃ坊主”であること以外は。
そんな速水の不正を示す匿名の告発文書が、田口が委員長を務める「リスクマネジメント委員会」に投げ文されたことから、また東城大付属病院を揺さぶる事件へと発展しかねない状況となる。高階病院長に一切を一任され、告発文書の扱いと対応に頭を悩ます田口。腹をくくって直接本人に事情聴取してみれば、速水はあっさり収賄を認める始末。しかし事実は”私利私欲”とはまるでかけ離れたもので、悪びれず、毅然とした態度で覚悟をみせる速水には、彼とは同期で彼を理解する一人として、その処遇や処罰について思案に暮れる田口だった。そこに院内派閥の煩わしさが追加され、あの白鳥までが特別参戦!となったらもう大変!
今回は「救命救急医療」の現実と実情が多く語られ、いつもどおりに「AI」関連も盛り込まれている。『螺鈿迷宮』でチラとほのめかされていた、姫宮の短期集中研修現場での活躍?っぷりも愉しく、”高階化”しはじめた田口によるオトシどころも見事だった。・・・が、映画公開前でもあり、多く語るのは無粋というもの。このあたりにしておこう。(映画は『チーム・バチスタの栄光』と同じく、原作とはかけ離れたモノになりそうだけど)。
後半に行けばいくほど加速していく面白さ。Bravo!
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コメント
お邪魔しました!
『ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて』が発売されるの?!
うわ~~~知りませんでした。是非読みたい!!
だって速水先生の大ファンなんだもん(笑)カッコイイよね~
ジェネラルを読んでから、ブラックぺアンの学生時代の速水先生のエピソードを思い出すと、、、笑えませんか?あまりにもキャラが変わっていなくて(笑)
映画はどういう仕上がりか心配ですが(汗)観に行きたいなぁ~
もしかしたらナイチンゲールのエピソードも絡めたりして・・・
投稿: 由香 | 2009/02/07 16:07
■由香さん、こんにちは
発売されますよ~~~。
伝説は森野が語ってますけど、伝説って枝葉がつくものでしょ?本当はどうなのよ!って一部始終を思うとちょっと楽しみです!
もう、私も速水センセのファンになりました!あのキャラは永遠ですね、きっと♪
「ブラックペアン」も読み返したくなりましたし、「ひかりの剣」も読みたいです。結局全部なんですよね(^^;;
母にこのシリーズを勧めたら、気に入ってくれて、思わぬスポンサーをゲットです!どうやら文庫化を待たずに全部読めそうですから(笑)
映画は、前回と違って私も原作を読んじゃったしちょっと心配。でも見ます(^^)♪
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/07 17:51
こんにちは~
スピンオフ作品!しかもあの速水先生のあの伝説が小説ですか!それは是非読みたい!!
海堂作品は全て文庫で・・と思ってここまできましたが・・「ブラックアペン」も読みたいし・・やっぱりハードにも手を出してしまうかもしれません。
あの素敵な速水先生が堺雅人さんっていうのは全然イメージじゃないけれど(堺雅人さんは好きですが~)映画は観に行っちゃうと思います。
原作と別物になっていても構わないから「バチスタ」のようなガッカリにはならないように祈っています~
投稿: hito | 2009/02/07 18:24
■hitoさん、こんにちは
速水の伝説なら、何でも読みたくなりますよね!(^^)
本は基本的に購入する性質なので、私も文庫オンリーで行くつもりだったのですが、母に勧めたら気に入ってくれてスポンサーゲットです!(笑)
そうそう、堺さんは私も好きなのだけど、「速水」ではないんですよね。「バチスタ」の時は、あえて原作を読まなかったので、ガッカリもしませんでしたが、今度は少し心配です。
阿倍ちゃんが首にコルセット巻いて入院してる予告を見ると、まったく別モノ?って思いますが、それならそれでかえって良いかも?と、割り切って見に行きたいと思ってます(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/07 18:45
こんばんは!!TBさせて頂きました~。
「ナイチンゲール~」が正直、あまり面白いとは思えなかったのですが、同時期を描いたこちらの作品は、すごく満足できる内容でした。
もはや、ミステリーとは呼べない内容ですが、エンターテイメント性はすごくありますよね。ページをめくる手が止められない、というのを久々に感じました。
映画化については、ものすごく微妙です。「チーム・バチスタ~」を見た時は、原作を読んでいなかったので、普通に見る事ができたのですが、原作を読んでしまった今となると、キャスティングがすごーく微妙で・・・。
しかも、今回は速水役を堺さんが演じると聞き、ちょっとイメージが違う気がして、不安です。堺さんは素敵な俳優さんですけど、速水とは雰囲気が全然違うので・・・。
投稿: Yuhi | 2009/02/08 23:56
■Yuhiさん、こんにちは
先に「ナイチンゲール・・」と「螺鈿・・」を読んで正解でした(^^)
面白いものが後の方が余韻が全然違いますしね(^^)
前半は「ナイチンゲール・・・」との裏表が楽しく、途中はやや堂々巡りながら、査問が始まったら速水の独壇場で一気読み。「バチスタ」よりワクワクしましたよ。
私も、映画→原作だったのだけど、今度は原作→映画に不安を感じてます。
そう、皆さん言ってますが、堺さんは速水のイメージではないんですよね。もし、白鳥が阿部ちゃんじゃなかったら彼にやって貰いたい感じかな?
とはいえ、芸達者な堺さんだけにどれだけ胡散臭い速水になるかは楽しみです。汚職に殺人のw設定らしいですし。白黒からして分らないってタイトルつ以外は完全に別物ですよね。
別モノを割り切って、楽しめると良いですねw
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/09 20:10
まいどどうもです
速水氏が主役みたいな物でしたね~
田口先生はおろか白鳥氏まで霞んでいましたよ
最後は何かありそうだなと思ってましたが
緊迫感ありました~
映画はキャラがイメージ違いすぎるので困ります
ぐっちーが女性だった時点で駄目なんですけどね
投稿: くまんちゅう | 2009/03/02 01:33
■くまんちゅうさん、こんにちは
速水先生が主役でしたねー。
出番薄の白鳥だったけれど、バチスタでの強烈な白鳥に、やや嫌悪していたので、私はこのくらいが好きかも。
>映画はキャラがイメージ違いすぎるので困ります
そうですね。原作は男同士だからサッパリしていて凄く良いんですよね。女じゃあんなものかなーって。殺人事件ってなに?ってほどに全然違うのだから、完全に原作との比較はやめてしまうのが良いかと。
投稿: たいむ(管理人) | 2009/03/02 21:21