「チョコレート・アンダーグラウンド」みた。
☆国民の政治に対する無関心が生んだ悲劇~「お前たちが私を選んだのだ」
何時の間にか政権を握っていたのが「健全健康党」。その名のとおり党の理念は”健全・健康”で、独裁政権下に置いて、健康を害するとされるモノ、人間を堕落させるような嗜好品のすべてが規制され、特にチョコレートは「チョコレート禁止法」が発令され、食べることはもとより、製造・販売、何もかもが罪となり、「チョコレート警察」と呼ばれる”特捜部隊”までが結成される始末。国民に支給・推奨されるのは、政府御用達の不味い健康食品ばかり。突然禁止されたチョコレートやお菓子の甘い香りに思いを馳せる子供たち。そんな中でも地下活動を続け、密かにチョコレートを作っている組織が「チョコレート・アンダーグラウンド」。偶然暗号を解いたことから「チョコレート・アンダーグラウンド」に参加を許されたハントリーとスマッジャー。しかし、「チョコレート・アンダーグラウンド」は特捜のガサ入れで崩壊。たまたまチョコレートの原料とともに脱出したハントリーとスマッジャーは、仲間の助けを借りつつ、「チョコレート・アンダーグラウンド」を再生することになる。
砂糖やハチミツまでもが取り上げられても大半の大人は現状に無関心。心ある大人は厳しい規制に反発を感じながらも諦め顔で時代に流されるだけ。反抗して警察に捕まれば強制収監から再教育プログラムが適用され、不当な扱いを受けることになり、優等生のクラスメイトが(ある条件と引き換えに)ハントリーとスマッジャーを密告するなど厭らしい一面などもしっかり描かれている。結果的には、応酬したチョコレートの横流しや政府御用達関連での企業癒着が発覚し、偽善と欺瞞に満ちた腐った政府の暗躍が白日の元に晒されることになるのだが、題材が”チョコレート”だからと侮ることなかれ・・という、少し角度を変えてみれば現実を風刺した見事な”社会派作品”に思える物語だった。(理不尽さは『図書館戦争』にも似たところがあるねw)
子供向けなだけに、無鉄砲な作戦がまかり通り、リアル感に欠けた都合の良い逆転劇に発展していくのが残念なところだが、必死に戦い、純粋にチョコレートとチョコレートの思い出だけを返して欲しいと訴える子供たちには胸を熱くさせられ、”大人のツケを子供が払っていること”に漸く気が付いた大人たちの発起を嬉しく思いつつも、その身勝手さには考えさせられるところありと、思いの外見応えのあった作品に満足♪といったところ。
さすがはI.G.ということで、”カカオ”なるチョコレート探査(多脚?)ロボットには(半分苦笑い気味ながらも)ニヤリ。美しい映像と作画にはホレボレ。これぞ健全健康なアニメ映画。見終わった後には思わずチョコレートが食べたくなる、バレンタインには(たぶん)うってつけの作品だね。
総評:★★★☆☆++ 好き度:★★★☆☆++ オススメ度:★★★☆☆++
※公式HPは コチラ
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コメント
離れたところからでもチョコレートを探知できるだけの技術があるのに、自滅してしまうところに、笑ってしまいました。
投稿: まりっぺ | 2009/02/04 12:37
■まりっぺさん、こんにちは
”カカオ”の自滅は面白かったですねー(^^)
「スマッジャーやるじゃん!」って拍手喝采でした。
初日ならば、ガーナチョコレートが貰えたとか。残念!(笑)
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/04 19:50
外国の児童文学が原作なんで
ガーナはないでしょ。(笑)
ロボットはね~ガンダムやエヴァやタチコマみてたら
あ~~もっとすごいの出してほしかったな~と
幾分脱線気味なコメントですいません。
世相を皮肉った、
けっこう根はシニカルな作品だったんですが
いかんせんアニメ化されたこれは
どうみてもバレンタインを意識した、
小学生女子向けに変わっちゃってましたよぉ・・・。
投稿: Ageha | 2009/02/22 20:59
■Agehaさん、こんにちは
これ見よがしにガーナチョコでしたね(^^)
私としては、企業がスポンサーにつくことで、質の高いアニメ作りができるならが、宣伝くらいは目をつぶりますけど(^^)
I.G.らしいロボット造形とは思いましたが、ちょっとおバカでしたね(^^;
AIくらいつんどけ~ってね(笑)
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/22 22:20