「ヤング＠ハート」みた。

平均年齢80歳のコーラス隊がロックの名曲を歌い、世界各国でコンサートを開催。冒頭はいきなり92歳のアイリーンの歌から始まる。会場は割れんばかりの歓声で満たされ、総立ちで拍手を送る観客たち。
年齢を感じさせないパワーを見せながらも、誰しも五体満足とはいかないほぼ当り前の現実。コーラス隊を導く50代のボブと様々な不安要素を抱えるメンバーに取材を重ねながら、コンサート当日までを追う、笑いと感動のドキュメンタリー作品。とても良かった♪

まるで歌うことで若さを失わずにいるかの彼ら。70歳にもなれば病歴の一つや二つは誰しも持っているもので、身体に爆弾を抱えながら参加しているメンバーも少なくなく、コーラス隊結成から何人もの仲間を見送っている彼らでもある。けれど彼らは、ただ好きだから歌いたいと願い、歌うことを心から楽しみ、仲間たちとの語らいを何よりも大切にしている。とはいえコーラスのレッスンやリハーサルは決して楽なものではなく、難しい歌詞やリズムの新曲も覚えなくてはならないし、厳しいボブにシゴキには”意地”で頑張っていたりもする。それでも彼らは集まってくる。それが「ヤング＠ハート」コーラス隊だ。
目標のコンサートに向けてリハーサルを繰り返すコーラス隊。課題難題山積で、ちっともスケジュール通りに進まず頭を悩ますボブを余所に、意気揚揚・意欲満々なメンバーたちの姿がとても愉快。もっとも、思惑どおりに行かない事はボブも想定済みで（時には一発で決まる時があるから面白いとのことだが）、それでいてちゃんと形作るのだからボブの手腕はたいしたものだ。しかも、メンバーの体調を第一と考え、幾重にもパターンを組んで、どんな不測の事態に対応できるよう準備をしなければならないのだから、その苦労と負担はどれほどのものだろう。
コンサート本番直前にも不幸は訪れることになる。そんな悲しみを乗り越えてのコンサートの模様は感涙必至。完璧なソロもあれば、綱渡りから結局アドリブで逃げ切り勝ちした歌もあったけれど、71回の「can」が繰り返される早口言葉のような歌詞を皆で懸命に練習した♪Yes we can can♪でのラストは素晴らしかった！

とにかく、メンバーの一人一人が輝いていて、キュートでクールなお爺ちゃんお婆ちゃん達の、常に前向きな姿がとても素敵だ。口から飛び出すジョークだって抜群。元気とパワーを分けてもらえる作品。感動した！

総評：★★★★☆++　　　好き度：★★★★☆++　　オススメ度：★★★★☆++