「ブロードウェイ♪ブロードウェイ/コーラスラインにかける夢」みた。
『コーラスライン』の16人のダンサーには全て実在のモデルが居り、初演はモデルがそのまま半分フィクションの自分自身を演じるというミュージカルだ。それだけに、キャストの一人一人には明確なイメージがあり、初演からのスタッフや、モデルでダンサーだった人物が、再演での振り付け師となり選考委員に居たりするから、非常に難易度の高いオーディションとなる。3000人を数百人に絞り、さらにキャスト別に振り分け、歌と踊りと芝居とイメージ、そしてオーラまでを厳しい目で審判するのだからスタッフの苦労も半端ではない。
映画は、初公開のテープの内容から初演当時のスタッフや出演者のインタヴュー、オーディション会場、受験生たちへのインタヴューを絡めながら纏められている。
『コーラスライン』の生みの親であるマイケル・ベネットが、『コーラスライン』のモデルとし、後にそのまま出演者としたダンサー達を集めて行ったインタヴューが録音されたテープには、マイケル本人であり、ダンサー達の本音が赤裸々に語られている。マイケルはテープを丸ごとテキストに起こし、生きた会話の一部をセリフや歌で『コーラスライン』に反映していた。(その裏話だけでもかなり感動的だ)。オーディションでは、そんな部分が課題にされていて、初演での本人の映像と受験生を対比させたり、同じシーンを演じる受験生たちを次々に(時には同時に)見せるなどの映画ならではのカット割で見せてくれている。テープや裏話から”肝”が知れているだけに、素人の私が見ても、誰がキャストのイメージに合っていて、スゴイ演技なのかが分かる感じだ。(ポール役の予選では、ポールのモデルの逸話からの台本と候補者の迫真の演技に本気で泣けた)
既に結果は出ているのだから、映画は序盤戦から最終選考に残るメンツを中心にピックアップして追っているわけであり、候補の決め手となった予選での”光る演技”を次々に見せてくれるのだから感動的かつ面白いのは当り前かもしれないが、その中でも最後までどちらが選ばれるかわからない親友同士の闘いがあったり、8か月という長い時間が、良くも悪くも予選と最終選考での差異を生んでしまったりと、ドラマ以上にドラマチックな現実が隠されているなど、映画としてとても見せ方が巧いつくりだったと思う。
『コーラスライン』ができるまでと、伝説のミュージカル『コーラスライン』に掛けるダンサーたちの熱き戦いと選考スタッフの視点からの両面が見られる映画。真実の感動と興奮に満ちた映画。ブロードウェイで『コーラスライン』が観て更に感動したくなること必至、という素晴らしい作品だった。
総評:★★★★★ 好き度:★★★★★ オススメ度:★★★★★
(鏡開きだけど)新春大盤振る舞い♪
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コメント
こんにちは。
これは思わぬ拾いモノでした。
ブロードウェイ・ミュージカルには
あまり縁がない自分ですが、
その舞台裏が分かっただけでなく、
映画『フェーム』に通じる
青春の夢と野心、そして挫折を
ドラマ以上に感じることができました。
こういう映画との出会いはほんとうに嬉しいです。
投稿: えい | 2009/01/12 11:00
■えいさん、こんにちは
予告編を見た時から、「絶対見るぞ~」って楽しみにしていたのですが、意外に御覧になっている方が少なくって残念に思ってます。
TV番組っぽい作りでしたが、2重構造には唸らされる、中身も演出も素晴らしい感動作でした。
ドラマでは感動しないけれど、こういう作品には無条件で感動しちゃう私です。
私も出会えて本当にうれしかったです!
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/12 15:42
こんにちは~♪
見ましたよー!
すっごく楽しかった~。
何度も涙がこぼれました。
誰が選ばれるのかハラハラしちゃった。
どの人もそれぞれ良くて、すっごく努力して来たのが分かるだけに落とされると気の毒でしたよね。
やっぱり厳しい世界だなと改めて思いました。
投稿: ミチ | 2009/02/19 22:07
■ミチさん、こんにちは
私も人間に感動しちゃって、何度もポロポロ泣いちゃいましたよ。
「コーラスライン」というダンサーにとって特別な作品のドキュメンタリーというのがスゴイかったですね。何がフィクションで何がノンフィクションなのか線引きすらどこか曖昧で、層の厚さの見応えに圧倒されちゃいました。
受験者達の厳しい現実にも胸が打たれました。
もう一回みたいです。
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/20 18:17