『夏目友人帳 (7)』 緑川ゆき(作)
『夏目友人帳』の初期は1話読み切り型が多かったけれど、話が進むにつれて2話3話連載型もちょこちょと登場し始めていた。7巻では4話で1本(一応完結)、夏目と的場が出会い、そして”的場一門”とは?、”的場”とは?が描かれた一連の話となった。”的場一門”の”七瀬”が登場して以来、夏目とは相容れない側の人間(組織)として、近いうちに”的場”が登場するものと思ってたが、漸くその機会が訪れたというわけだ。
”的場”は予想通り、妖を妖としか考えず、使えるものは縛って使役し、不要となれば廃棄、封じるよりは滅するタイプの手段を選ばない冷徹漢だった。”名取”も妖には好意的と言い難いが、接し方や祓い方は、”的場”のソレとは比較にならない感じだ。
妖絡みのひと騒動から、夏目(の能力)とニャンコ先生(斑)に目を付けた”的場”。人間の強さと弱さを極端に具現化した”的場”(の言葉)は、今後良くも悪くも夏目に多大なる影響を与える事になるハズ。それによって人間と妖の狭間で大きく揺さぶられる夏目になるのだろうね。
23-26話では、”的場”の陰にちょっとしたフェイクあり、バレバレのオチあり。不穏な余韻は残るが「8巻に続く」になっていない分だけ悪くない後味。何より「夏目遊戯帳」が愉快なので口直しとなり、すっきりと読み終えられる7巻だった。
8巻は「夏頃」とのこと。
『夏目友人帳』は、妖との関わり合いの中から変化をし、成長を遂げていく夏目の物語。最近は”名前を返す儀式”があまり見られなくなってしまったが、読み切り型では、妖の想いに触れ、妖に翻弄されながらも夏目なりに答えを導き出し、一歩前進するといった雰囲気が多い。逆に事件性を絡める連載型は人間が多く関わり、「人の本質」を仄めかしながら夏目に「気づき」を促すカタチが多いように思う。『夏目・・』の物語を動かすのは後者だけど、私の好みはキッパリ前者。この先も出来るだけ[読み切り>連載]な、短編の集合時々大きく進展、といった作りで纏めて行って欲しいものと願っている。
*** 折角なので、同時発売の『ファンブック』についても少し。
『ファンブック』には、キャラクターのプロフィール紹介やこれまで登場した全て(?)のキャラの紹介、登場人物の相関(関係)図、小道具や呪術の陣解説などが纏められ、人気ランキングの発表(好きなキャラ・好きな話・好きなセリフ等)、緑川先生へのインタヴューが収録されている。(他”ニャンコ先生グッズ”の作り方や”夏目かるた”等細々多数)
好きキャラは、順当にニャンコ先生・夏目のワンツーフィニッシュだったが、思わず頷いたのは好き話。1位:「露神」(アニメ2話)、2位「ダムの底の燕」(同6話)、3位:「闇に光るのは」(同8話)といった感涙系ばかりが並んだ。(セリフも似たようなもの)。「泣く=良い」ではないけれど、印象に残るエピとしては納得のいくランキングだった。(ちなみにどれも10位まで発表されている)
ファンブックらしいファンブック。キャラのプロフィールは初公開...なのかな?読み応えもあり、おさらいにも丁度良いのではないだろうか。
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