「禅 - ZEN」みた。
「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」
・・・あるがままに生きられれば現世こそが浄土。ほぼ無信心で無宗教な私でも、なんだか心が洗われるようだった。
曹洞宗の開祖・道元禅師の伝記映画。仏教系の地味な作品なだけに好き好きだろうが、私は時折涙を浮かべながらの鑑賞となった。良い作品を見たなーって思う。
死んでから極楽浄土に行ってなんになる。。。という冒頭のシーンには大きく頷いた。「そもそも死んだ人間に極楽浄土などあるのか?」と思っている私なだけに、もうそれだけで心を掴まれた感じ。
修行に疑問を持って中国に渡ったくだりから、大悟を得て帰国。”教え”は我が身として持ち帰り、日本で打ち立てるべく自らも変わらず修行を怠らない道元。
「只菅打坐(しかんたざ)」、自分をまっさらにしてようやく見えてくるモノのために、ただ座り続ける。助けを求められれば事実で諭すのみ。自分自身で気がつくことが何より肝要という教え方に思う。
仏教用語が飛び交い、道元の言葉には「ちょっと待って、言っている意味がわからん!」という場面もあったけれど、感覚的に受け止めれば分ったような気がして、知らず知らずに涙をこぼしていた私。(宗教的には詳しくないので、近しい方々の感覚とは違っているかもしれないけれど、それは知らぬが仏かな?)
淡々として、派手なエピソードはないけれど、とにかく心に沁みる作品だった。
総評:★★★★☆+ 好き度:★★★★☆++ オススメ度:★★★★☆
多少なりとも禅に関する知識があった方が入り込めると思う。そういう私も禅に明るいわけではないが、『鉄鼠の檻』:京極夏彦(著)での知識がそこそこ役立ったように思う。(思い切り読み直したくなったし)。それだけに典座のあたりはもう少し詳しくやって欲しかったかな?
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----その偶然って?
「ほら。お正月のバス・ミステリーツアー。
その二日目にプログラミングされていたのが
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----あ〜っ。あのフォーンを寒い中、
置いてきぼりにしたときね。
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冒頭での母と子の印象的な会話
「死んで極楽へ行くより、
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〇春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷しか [続きを読む]
受信: 2009/02/07 12:49
コメント
難読漢字のクイズ番組を見てたら“只管”てのが出てきました!
思わず「しかん!」と答えたら、親父に冷たい眼で見られた・・・悔しかったので、その後に「“しかんたざ”って知ってる?」と言ってやりました。
宗教に詳しくない人のほうが評価高いみたいですね~
投稿: kossy | 2009/01/20 00:09
自分も全く予備知識はありませんでしたが、楽しめました。
お客さんもたくさん来ているみたいですよね。
投稿: まりっぺ | 2009/01/20 12:25
■kossyさん、こんにちは
ひたすらに・・・(笑)
漢字って割と読んで字のごとくなんですよね。勉強になりました(^^)
カンの字は、部首が竹冠なのか、草冠なのか、本当はどっちなのか気になってます。ちなみに広辞苑では竹冠でした。
映画の公式ページが草冠なので、私はそっちに合わせましたが(^^)
>宗教に詳しくない人のほうが評価高いみたい
こういうのは詳しい人にはこだわりがありますからねー。何となく、そーかーと思ってそれきりの人のほうがウケが良いかもしれませんねw
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/20 21:58
■まりっぺさん、こんにちは
好評ですか?
分らないなりに、なんだかわかった気になるところが楽しいというか、勉強になる作品でしたねw
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/20 21:59
こんばんは。
>道元の言葉には「ちょっと待って、言っている意味がわからん!」という場面もあったけれど、感覚的に受け止めれば分ったような気がして、知らず知らずに涙をこぼしていた私。
ここ、まったく同感です。
ぼくも涙ボロボロ。
『鉄鼠の檻』って、曹洞宗もしくは禅と関係あるんですか?
ちょっと興味がわいてきました。
投稿: えい | 2009/01/20 22:03
こんばんは。お邪魔が遅くなりました。
わたしは「典座」などという、特殊な立場と名称をどこで覚えたんだろうと考えてたんですが、
そうか、『鉄鼠の檻』だったんだわ。ありがとう。すっきりしました。
『只管』の訓読みは何故か知ってたけど、
今回『只管打坐』という言葉を知って、やっと意味が繋がって、こちらもすっきり。
でも、本当に、意味のわからない言葉がたくさん登場したのに、何故か雰囲気でわかった気になったのが不思議。
>死んでから極楽浄土に行ってなんになる。。。という冒頭のシーンには大きく頷いた。
まさに、仰るとおり。
わたしももうそれだけで、このお話と道元に引き込まれてしまいました。
投稿: 悠雅 | 2009/01/20 22:07
■えいさん、こんにちは
えいさんも分った気がして涙ポロポロでしたか?(笑)
道元の教えは言葉じゃないらしいですが、まさしく右脳で理解するコトバって感じ。上手く説明できないけど、涙が浮かんでくるのが答えみたいな。
分った気・・というのは左脳で言語解釈していないからかもしれませんね。
>『鉄鼠の檻』って、曹洞宗もしくは禅と関係あるんですか?
大まかに言うと、箱根の山奥にあるハズのない禅寺があり、しかも坊さんたちの宗派はバラバラという奇怪なお寺。そこでの怪死事件に京極堂と関口君が巻き込まれる・・・というお話です。禅や悟の話などもチラチラと出てきます。
しかし、京極作品の百鬼夜行シリーズ(「姑獲鳥の夏」や「魍魎の匣」など映画になっているのでご存じですよね?)は全てがリンクしているので、4番目の作品となる『鉄鼠の檻』を手放しではオススメできません。それに1300Pを超える超長編ですしね(^^;
「姑獲鳥」と「魍魎」は映画から(かろうじて)パスしてヨシとしても、次の『狂骨の夢』(コチラも1000P近いですが)を読んでいただいてからですねー。もう諦めモードでしょう?(笑)
あ、でも『鉄鼠の檻』には『姑獲鳥の夏』での重要人物が登場するんですよ。
覚悟が決められそうでしたら、太鼓判をおさせていただきますけどw
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/20 22:42
■悠雅さん、こんにちは
>「典座」
ふふふ。「てんぞ」なんですよね~。コレは『鉄鼠の檻』を読んで以降、頭に焼き付いてます。なにせ、シリーズでも『鉄鼠の檻』が一番好きですから(^^)(薔薇十字探偵の短編は別格ですがw)
>何故か雰囲気でわかった気になったのが不思議。
あらあら、世の中に「不思議」なことなんてないんですよ、悠雅さん(笑)
>まさに、仰るとおり
おお、悠雅さんもですか?ほんと、あの発言から道元ワールドに引き込まれちゃいますよねw
でも、私がこの境地を確信したのは京極作品の影響が大ですけど、ひょっとして悠雅さんもかしら?
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/20 22:51
何時もお世話になっております。
今年の開幕作品として鑑賞しましたが、日本仏教の成り立ちを知る上ではとても参考になりましたし、不況の時代だからこそこういう映画の価値があるのだとも感じました。
私自身宗教に詳しくないという事もありますが、社会的作品として捉えて私は鑑賞しました。
何時もお世話になっている住職ブロガーさまが撮影協力されていたので、宗教的な事はそちらを参考にしておりました。
投稿: PGM21 | 2009/01/22 01:14
■PGM21さん、こんにちは
日本仏教の成り立ちなどと、ひとまとめに捉えるのは危険かもしれませんよ。宗教話は専門でなければ、しないにこしたことがないように思います。専門家や信者でも解釈はいろいろで難しいものですしね。
分った気になっている位で丁度良いんじゃないかな?(笑)
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/22 16:00
たいむさん、こんばんは!
鎌倉時代っていうのは浄土宗など念仏をとなえるだけで極楽へいけるという「簡便さ」が受けて、庶民まで仏教が広まったときですよね。
道元の教えはそういう風潮に対するアンチテーゼみたいなものがあったのでしょう。
彼の教えは自分に対して厳しさを求めるところもあるようなので、なかなか実践というのは難しいかもしれませんけれど。
投稿: はらやん | 2009/01/24 20:32
■はらやんさん、こんにちは
叡山があんなになり始めているころですしね。
仏教は自分に厳しくあれ、って感じが多いように思いますね。坐禅はひとつのポーズだし、いつでもどこでも好きなようにで良いのかもしれませんね。
いや~それでも奥深い。
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/24 21:56