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2008/10/07

『ザ・万歩計』(著)万城目 学

Themannpokei 『ホルモー』シリーズと『鹿男あをによし』から、すっかり私のお気に入り作家のひとりに加わった万城目氏の初エッセイがこの『ザ・万歩計』。私のお気に入りに加わると、新刊はいち早く、になることが殆どなのだが、今回はエッセイということで今頃となった。
本当ならばスルーしようと思っていた本。しかしなかなか好評な感想が多く、ならば・・と読んでみようと思った、・・・のだが。

実は、エッセイはあまり好きではない。
何故ならばエッセイは書き手の主観がまるだしとなり、書き手の素顔にも匹敵するものだから。小説で登場人物の思考・言動に共感した時、いつの間にか作家自身への共感に変換されてしまう事がある。こうなると「この作品が好き」では留まらず、「この作家が好き」として一人歩きし始めてしまう。勿論、作品の登場人物と作家は別物で、殆ど私の幻想に近い勝手な思い込みということは重々承知はしているけれど。
エッセイは、時にそうした幻想を見事なまでに打ち砕くことがある。夢から現実に引き戻されるかのように、(勝手な)イメージとかけ離れた素顔を見せ付けられる事で、一気に冷めた経験を何度かしている(酷い時は作品全てとサヨナラになる)。だから「好き」と定義された作家のエッセイは不用意に読みたくない。ずっと好きでいたいから。(逆にドンピシャで最高の喜びに満たされる場合もあるけれど)
前置きが長くなったが、万城目氏の場合は残念ながら良くない方へ傾いた気がする。どうも私は万城目学という個人を好きになれないと思ってしまった。エッセイそのものは面白かったし、「ホルモー」や「喋る鹿」のアイディアの元等はとても興味深かった。旅のエピソードだって愉しいものばかりなのにね。
・・でも、なのね。なんとなく嘘っぽさの漂う笑いネタが鼻につく。もちろん事実だろうし、疑っているわけではないけれど・・・。小説ならば誇大な表現も大いにアリと思うけれど、エッセイの場合は表現が大袈裟すぎると何だかウンザリしてくる。昆虫「G」のあたりは隠語(?)を使い、比喩混じりの表現が面白くもあったけれど、それでも昆虫「G」のネタはあまり長々と読みたい類のモノではないわけで、それをダラダラ数ページも書かれちゃうとねぇ(^^;。終いには悪戦苦闘っぷりを笑うというより苦笑いするしかなく、読み飛ばしたくもなった。やはり不愉快ネタは面白いところまでにして早々に切り上げるべきと思う。

やはりエッセイは危険だ。ヘタに手を出すと火傷する。これが第一の感想。
もともと万城目作品は、キャラクターというよりは荒唐無稽な物語の面白さと構成の上手さを気に入っていたでの、今後も新作は読みたいと思うけれど、エッセイはこれにて打ち止めにしたい。確か『ザ・万歩計』は雑誌の連載を纏めたモノということだったので、続編は見て見ぬふりを決め込む事にしよう・・・

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コメント

こちらにも・・・。
うーん、ダメでしたか~。
勧めた手前責任感じちゃうなぁ。
やっぱりエッセイは危険物ですよね。
小説もエッセイも好き!っていうことはなかなか無いような気がします。
たとえば私は三浦しをんさんのエッセイは大好きなのに、小説にはそれほどそそられないんですよね。

投稿: ミチ | 2008/10/14 21:24

■ミチさん、こんにちは
いま一つでしたがお気になさらずに(^^)
とにかく読み手は勝手にイメージを思い描いてしまうのもの。思考や趣味が近くても、琴線も逆鱗も人それぞれの微妙な差で異なったりしますし(^^)

エピソードは面白いものばかりだったけれど、逆にエッセイなのに面白さばかりを追求した書き方が合いませんでした。

京極さんや獏さんはどちらも好きという素敵なめぐりあいでした♪

現在ココログのTBが不調です、後ほどまたトライしますね。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/10/14 23:28

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» 「ザ・万歩計」 万城目学 [ミチの雑記帳]
{/book/}「ザ・万歩計」 万城目学 「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」の作者、万城目学さんのエッセイです。 たとえ小説が好みでも、その作家の“ひととなり”が表れるエッセイは好みじゃないってことがあります。だからエッセイを読むときはちょっと警戒心を持つのですが・・・・。 マキメさんのエッセイは面白かった! ツボでした! まず、本を手にしたときに、表紙がエッシャーのrelativityという作品のパロディっていうのが気に入りました! ちゃんとマキメ仕様になっていて、よく見ると「鴨川ホルモー」... [続きを読む]

受信: 2008/10/14 21:21

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