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2008/10/28

「イントゥ・ザ・ワイルド」みた。

Into_the_wildクリストファーは本名で「幸せだった。」とメッセージに残していたけれど、志半ばで終わった人生。さぞ無念だっただろうと思うのは私だけだろうか?それでも、彼の最期の顔は笑っているように見えた。幸せを共に分かち合えた歓びを想像出来たからだろうか?
クリスにあたる人物が実在したことをEDで初めて知った。あまりの哀れに涙が溢れた。その後に彼を襲う不幸など知る由もなく、写真の中で、彼は確かに微笑んでいたから。

”引用”から”引用”するとクリストファーの旅は真理を求めた旅で、やっと真理にたどり着いたというのに、誰にも自分の口から伝えることができないまま、アラスカの大地で朽ちていったことになる。「究極の自由を求めて」というよりは、束縛や支配、偽りの家族ごっこを嫌って旅に出たクリス。大学を卒業し、サマーヴァケーションに乗じて家族から行方を眩ますことに成功。バックパックには”生きる”為に必要最小限なモノをだけを詰め込んで、風の向くまま気の向くまま、好奇心の赴くままに過ごす日々となった。傍からみれば”社会生活不適合者”の烙印を押されかねないクリスだけど、一般的に言われているそれらとは明らかに違うクリス。両親との確執はあっても、決して人間と生活のすべてを否定するクリスではない。
様々な人々との出会いや別れを繰り返しながら転々としていたクリスだったが、いつしか最終目的地がアラスカとなっていた。思うに、最も過酷な土地で”生きる”事から何かを勝ち取りたかったのではないかと思う。でも、自然はクリスの前に大きき立ちはだかり、クリスをペチャンコにした。春を待たずにアラスカの地を訪れたのは、結果的に言うならばクリスの過信、あるいは増長だろう。結構無茶している割には大きな事故もなく乗り切っていたクリス。その自信が彼を無謀に導いたように思う。けれど、”ラバートランプ”のレイニーとジャンや、アラスカ直前の地で知り合ったロンとの出会いから、既にクリスの中では答えは出ていたものの認める前にアラスカの荒地でケジメをつけようと思ったのならば、わからなくはない。しかし”Alone”が”lonly”に変わり、「幸せとは、誰かと分かち合ってはじめて”幸福”になる。」と悟ったというのに、不幸は分かち合わなくても”不幸”になるから悲劇としかいえない。

正直、クリスの鬱憤から行動に対しては、共感出来るような出来ないような・・・といった私だ。少なくともカッコイイとは思えない。物質社会であり、権力と支配に反発する気持は分るのだが・・・何かが違うと私の中で声がする。未だ思考が纏まらない為上手い表現が出来ずにもどかしい。映画としては、見応えのある素晴らしいものだったけれど。

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コメント

こんにちわ。

≫クリスの鬱憤から行動に対しては、
共感出来るような出来ないような・・・

うん。そこなんですよね。

私的には・・・クリスの生き方に憧れるけれど、賛美は出来ない
って感じでございました。

人とは違う生き方をして、若くして命尽きて、それが伝説の
ようになることを・・・人間は崇め奉ったりしがちで。
この作品を観てやたらとクリスを称える受け手も多いようですが
・・・なんだかそれも違うような気がします。

いずれにしろ、クリスの人生と自分の人生を比べて、
自分の人生を否定したり、悲観したりするようなことはしたく
ないなあと思いましたです。

映画としては、抜群の完成度で素晴らしかったですね。

投稿: 睦月 | 2008/10/28 14:35

■睦月さん、こんにちは
前評判も、余所様レヴューも、予告チラシすらも見ずに鑑賞し、147分に打ちのめされた、たいむです(^^;。まぁ、内容が内容だけにじっくり見てましたけど。

>私的には・・・クリスの生き方に憧れるけれど、賛美は出来ない
私的には、クリスのような生き方をしている人の、幸せそうな顔を見るは好きだけど、憧れはなく、賛美もしない。でも否定もしない。かな?(^^)
ひとつの生き方として体験はして見ても良いかと思うけれど、私には精々1泊2日の”体験ツアー”で十分かと(^^;w

>・・・なんだかそれも違うような気がします。
そうなんですよねー!睦月さんがそう言ってくれて嬉しいです。
彼は何も成し遂げていないんです。自己満足もしていないと思う。クリスだってそんなもの讃えられたってねぇ。どうなんでしょ。

>クリスの人生と自分の人生を比べて、
>自分の人生を否定したり、悲観したり
イレギュラーに対する憧れはあっても良いと思う。でも、比べる以前に自分が比べるに値するほどのモノなのか考えて見るべきかと。出来るのにやらないのか、出来ないしやらないのか、その場限りの口先だけなら言わない方がマシですよね。
(今のところそのような発言を見たわけでも聞いたわけでもないけれど、見たくないし聞きたくないですねー)

ビンビンと何かが伝わってくる素晴らしいデキの作品だったけれど、クリスを理解するために咀嚼しようとは思わないので、これ以上は思考停止ですw

投稿: たいむ(管理人) | 2008/10/28 20:31

こんにちは。
む~ん、思考停止中に戸を叩いても入れてくれないかなw…久々にお邪魔します;(結局入るのか;w)
多分、私はクリスと同じような感覚の人間でして。
たいむさんや睦月さんのように冷静でかしこくはなく、実は無謀派?なんだと思うのですよ;
映画としてはもちろん絶賛してます。
でも本当の真実は原作を読んでたりニュース等の記事を読んだわけではないので知る由もなく、映画の中だけで想像するだけですが・・・彼の気持ちに寄り添う事は、こんな私ですからとっても容易に出来てしまった感じ;・・・讃えてるわけじゃなくて心寄り添った感じ。ココ大事。笑

映画を見る度に色んな価値観を知り、そしてもう揺るがないと思いこんでいた(イタイw)自分の価値観さえもその度にグッラグラ揺るがされながら、日々そんな自分と葛藤して。。。生きるって大変だけど生きてるから学ぶ事が出来てるわけだし、クリスにはやはりもうちょっと生きていて欲しかったかなあと思うに至るのでした。
ブルジョワジーの中で生きるよりは大自然の中で痛い想いをしてでても自分で何かを得る事を選んだ彼の選択はやっぱり若さゆえなのかなあ。ぶつぶつ

投稿: シャーロット | 2008/10/29 11:53

■シャーロットさん、こんにちは
シャーロットさんの、感覚的な感想は理解できますよ。「讃えてるわけじゃなくて心寄り添った感じ」というのも解っているつもりです。そう思うから読み逃げしなかったわけで・・(^^)

>そしてもう揺るがないと思いこんでいた(イタイw)自分の価値観
うはは。まさしくクリスじゃないですか!
私は、結局最後にクリスは揺らいだと思うんですよね。だから、私も彼にもう少し生きていてほしかったと思うわけです。無念だっただろうな~って。

>彼の選択はやっぱり若さゆえ
こちらも少なからず・・と思います。私は。
なまじ器用だったこともね(^^)


投稿: たいむ(管理人) | 2008/10/29 18:18

これは見る人によって感じ方の違う映画でしたね。
クリスの大自然の中で癒されたいって気持ちは痛いほど判りましたけど、地図なし食料現地調達は無謀と言われても仕方ないかな?
実際は帰ってくるつもりだったんだと思います。
あんまり気になったので原作も読んでみました。
作者もクリスの気持ちが判ってるみたいな書き方で、映画とも少し違う部分もありました。

投稿: くまんちゅう | 2008/10/30 19:57

■くまんちゅうさん、こんにちは
>これは見る人によって感じ方の違う
まったくそのようですね。
憧れと現実と、見た人の性格がそのまま感想に現れそうですね(笑)

私も、クリスは帰って来るつもりだったと思って見ていました。コレまでの行動に後悔はなくて満足しているとは思うけれど、それでもそのまま命を落とすに至る結果は本望とは思えなくって、帰れなくなった事は無念かなと思うんですよね。あくまでも私が、ですけど。

>映画とも少し違う部分
原作を読まれたのですか。どう違っているのかきになりますね。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/10/31 17:23

遅ればせながら観ました。

 私は人間の<社会>とその外側の<世界>の境界線上を超えてみたいというクリスの「気持ち」は分かる気がしました。ただ、幸いなことに?、クリスと違ってそれを強く後押しするような動機が私にはありませんけれど...。

 いろんな意味で、深く考えさせられる良い作品だったと感じています。(おかげでブログの記事も長くなってしまった....w)

投稿: マサル | 2008/12/08 19:15

■マサルさん、こんにちは
私もね、クリスの考えた事は分る気がします。でも、共感できるかというとそうでもないですね。
羨ましいとも思わないし、だからと言って世界に毒されているとも思わない。ヒトの価値観に正解なんて無いわけで、勝手でたくさん、って思いません?

グルグルもやもやするけれど、観て良かった私も思ってます(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/12/08 21:31

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