「百万円と苦虫女」みた。
ハッピーエンドを期待させておきながら・・・という終わり方は女性視点だよね?と思ったら、監督さんはやはり女性。
ありそうでなさそうな、なさそうでありそうなロードムービー。甘く終わらせないホロ苦さに好感が持てる、良い作品だと思った。
これと言ってなんの取り柄のないまま就職浪人している21歳の鈴子。目立たないようにし、他人と関わりを持つことを極力避けてきた人生。それでいて我が強いから、一旦事が起ると加速度的にトラブルヘと発展させてしまう厄介な性分だ。他人との関わりは、生活する上での必要最小限に留めようと、百万円溜まるたびに転々と居を移して、人間関係のリセットを繰り返す。唯一弟との絆だけを残して。
「自分探し」ではなく「自己逃避」の旅。”自分は強い”と信じた孤独で終わりのない旅は、地方都市で出会った一人の男性に恋をして、そして弟の勇気を見せつけられて、終わらせならなければならないことに気が付く鈴子。はじめて”人間はひとりでは生きていけない”と、自分の弱さと勘違いを悟り、心を新たにした鈴子にはエールを送りたくなった。21歳はまだまだこれからだものね。
別れるために出会うのでも、出会うから別れるのでもなく、出会うために別れもある。一期一会。前向きに生きるため潔く再出発を決めた鈴子の清々しい笑顔か印象に残るラストだった。
何度となくグッとくるところはあったし、弟の手紙は反則的に盛り上げてくれたが、全体としては淡々とした作風で少し起伏に乏しい気がした。というのも、残念なことに折角の中島君のどんでん返し?が予告編でネタばれしていたからだと思う。騙されたままならば中島君の間違った意思表示と最後のあがきに胸を締め付けられ、ハラハラドキドキな最後の展開として高揚感がもたらされただろうに・・・。非常に残念。結果はアレで良いと思うけれど、もっと一喜一憂したかったな。
総評;★★★★☆ 好き度:★★★★☆ オススメ度:★★★☆☆++
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□作品オフィシャルサイト 「百万円と苦虫女」□監督・脚本 タナダユキ□原作 タナダユキ(「百万円と苦虫女」幻冬社) □キャスト 蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之介、齋藤隆成、笹野高史、嶋田久作、モロ師岡、石田太郎、キムラ緑子、矢島健一、斎藤歩、堀部圭亮、江口のりこ■鑑賞日 7月30日(水)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
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コメント
あたしもコレは好きでした♪
元々蒼井優ちゃんが好きってのもあるのですが、
彼女が演じた強くて弱い鈴子に共感しちゃったり、
本当気付いたら応援しちゃってましたよね!
ポワイティって本当蒼井優ちゃんにぴったりでしたよね?( ´艸`)
投稿: miyu | 2008/09/22 20:11
こんにちは♪
かき氷作りが上手かったり、桃をもぐのが上手かったり。
人間誰だって何かしら上手くて褒められる部分ってあるんですね~。
それまで褒められたことが無かった鈴子が褒められてちょっぴり困惑したような顔がカワイかった(なんせ、どうでもいいコトで褒められちゃうんだからね~)
桃農家のエピソードでは人間の身勝手さが出ててちょっと落ち着かない気分に。
イジメに遭ってる弟のエピは反則?(笑)
ダークホース的だけどかなり面白い映画だったです。
見れて良かった!
投稿: ミチ | 2008/09/22 23:02
ほんと、蒼井優ちゃんありきの作品のようでしたね。
男的に観ると、いろんなコスプレを楽しめてよかった・・・です。
しかも、ゴージャスとか、ヲタク系じゃなくて、
一般庶民が着てる服がよく似合うのが彼女のいいところ。
ちっとも派手さがない映画で主演をはれる優ちゃんに、
今後も期待大です。
投稿: ひらりん | 2008/09/23 01:19
■miyuさん、こんにちは
蒼井優ちゃん!良いですよね(^^)
一瞬儚げなのにやんちゃまでなんでもこなすところも素敵。
21歳、等身大の役が似合いますね。
■ミチさん、こんにちは
>褒められてちょっぴり困惑したような顔がカワイかった
そんなところを褒められても複雑ですよね。でも、それを手紙に書いちゃうところが良かったです。やっぱり嬉しいんじゃん、ってね(^^)
桃のエピ・・に限らず、全体的に先読みのできる素直なストーリー。でも、弟の叛旗はあると信じていたけれど、まさかああなるとは思いませんでした。姉弟で似たような境遇に陥るなんて因果ですよね。やれれた!って悔しいから反則扱いです(^^;
私も結構好き。地味・・なのだろうけれど、見落とさないで良かったです
■ひらりんさん、こんにちは
優ちゃんだから注目した。。というのは多少ありますが、見て良かったです!
エンタメというよりはしっとり見せる作品にすっぽり溶け込む女優さんですよね(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2008/09/23 09:48
こんばんは。
私はラッキーなことに予告編でそのネタバレ的シーンを観ていなかったので、ナカジマ君の間違った意思表示にどぎまぎさせられましたよ。
弟への手紙はね、多分手元にあるんだろうなというのは予想できましたけど、中島君のあの態度は最初えーーって思っちゃいましたから、やられた派かもしれません。
鈴子の潔さがかっこいいなーと思いました。結構私のツボの作品でした。
投稿: masako | 2008/09/24 00:24
■masakoさん、こんにちは
私も予告編を見ていなかったら中島君の豹変にえーだったと思います。
弟君は自分から「手紙書くから頂戴」っていったのに、あそこまで一度もなかったので期待してました(^^)んで、期待通り反則的に泣かされました~~~
>鈴子の潔さがかっこいいなー
ほんとですね!最初のスーパーでの豆腐爆弾や名誉棄損もカッコ良かったし(笑)
投稿: たいむ(管理人) | 2008/09/24 22:52
たいむさん、ごめんなさい!
間違えて最初又「幸せの1ページ」の方にTBしちゃいました。
削除お願いします~M(_ _)M
蒼井優ちゃんは可愛かったですね~
中島くんとの恋愛が始まるあたりはとてもリアルな感情が伝わってきてドキドキしちゃいました。
ラストはハッピーエンドなのだろうと思い込んでいたので私はとても残念です。
投稿: hito | 2008/09/26 11:59
■hitoさん、こんにちは
>ラストはハッピーエンドなのだろうと
私もちょっぴり期待していましたが、角度的に死角だったようで(><)・・・残念だけど、イヤなラストでは無かったです。
投稿: たいむ(管理人) | 2008/09/26 18:30
たいむさん、こんにちは。
今更ながらにみました。
確かに盛り上がり感は少なかったですが、
個人的には結構好きな作品でした。
鈴子はラストの中島君だけでなく、海の家のナンパ氏や
桃園の息子など、実はいろんな人から本気で想われて
いるんですよね。でも本人だけは、そんなことに
気づいていない。そこがこの作品の大きなポイントなのかなと。。。
現実社会でも、もしかしたら自分の気づかないところで
恋愛感情は抜きにしても、自分を想っていてくれる人が
いるかもしれない、なーんて都合のよい妄想を
普通のハッピーエンドよりも抱かせてくれるかなと。
弟の手紙は反則でしたけどね(笑)。
涙腺をうっかり緩ませそうになってしまった。。。
投稿: GAKU | 2009/02/01 09:03
■GAKUさん、こんにちは
共感しきれない性格の鈴子だったので、もう一歩感が強かった覚えがありますが、「気づき」については、私もGAKUさんと同じように思いました。
ネガティブ思考は、視野を狭めますし、気づきを遅らせるのは確か。とはいえ、近づきたいのに近づくと逃げてしまうところは、何かのトラウマの可能性もありそうで、まずは自分と向き合う姿勢ですよね。
すれ違ってしまった最後でしたが、また会えそうな、そんな予感がいまならしています。
ハッピーエンドでしたね、きっと。
投稿: たいむ(管理人) | 2009/02/01 09:58