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2008/08/10

『別冊 図書館戦争Ⅱ』 有川 浩 〔著〕

Anotherlibrary_war いきなりごめんっ!でも、叫ばせて欲しい。♪(*^^)o∠★:゚*PAN! 「祝!手塚王子様!」
堂上と郁のこれでもかっ!という『別冊 図書館戦争Ⅰ』ならば、当然次に期待するのは柴崎と手塚のその後の関係。『図書館革命』のエピローグでは、郁と堂上が結婚して既に1年が経とうというのに未だに足踏み状態でもどかしかったこの2人。『別冊 図書館戦争Ⅱ』では、ちゃんとその後を描いてきっちり収納してくれた有川先生と、(あとがきによれば)センシティブではない有川先生の旦那さまに多大なる感謝の意を述べたいと思う。・・「ありがとう!」
内容は、「1.もしもタイムマシンがあったら」、「2.昔の話を聞かせて」、「3.背中合わせの2人-①②③」。赤面爆笑な「別冊Ⅰ」とは打って変わるが、「別冊Ⅱ」は切なくて、ボロボロと何度となく涙が溢れるので、やはり自宅での読書がオススメかもしれない。

「1.もしもタイムマシンがあったら」は、「電撃文庫マガジン創刊号」に掲載された幻の番外編。「やっと幻に出会えた・・」と思ったが、あとがきによれば、雑誌掲載された作品と今回とでは冒頭がやや異なっているとのこと。当時はまだ『図書館革命』発表のすぐ後であり、堂上と郁が結婚した設定のネタバレは好ましくないと配慮したとのことだった。現在創刊号はレアものと化している状態。初出の「もしもタイムマシンがあったら」はやはり幻のままなようだ(TT)。確かに、「もしもタイムマシンがあったら、結婚式に戻りたい」と言う郁に渋い態度の堂上、といったエピソードになっている。しかし、実はこの話の主人公は”緒方副隊長”だったりする。良化隊から図書隊へ鞍替えした変わり種である緒方に何があったのか?という物語。これが泣ける恋バナ!(でも…というところが有川作品なのだが)。若き日の玄田や進藤も登場し、シブイながらも良き話になっている。
「2.昔の話を聞かせて」は、郁にせがまれていくつかの失敗談や武勇伝?を話して聞かせる堂上というもの。小牧との出会いから親友といえる存在になった理由、新人時代のエピソードが披露されているのだが、(もともと優秀ではあるけれど)今の堂上や小牧がある理由にも納得が行く。話の合間に入る郁と堂上のラブラブモード全開な会話には顔が緩んでくるが。
そして、柴崎を襲った最低最悪の災難話が中心となる「3.背中合わせの2人-①②③」。柴崎が、正体不明の姑息で卑怯なストーカー行為に大打撃を受けるという、ぶっちゃけ非常に気持ちの悪い話だ。①②③の構成もクセモノで、一旦は読者にホッとさせておきながら見事にひっくり返す有川先生が恨めしくなるシロモノでもある。最終的にはそれがどんなに皮肉な形とはいえ、手塚と柴崎が歩み寄る最初で最後チャンスだったかも?と思えば、何であれ結果オーライとしたいところだが、すべてを振り払ってハッピーな気分で読み終えるには、やはり旦那様のご意見に私も賛同したいところだ。それだけのエピソードだった。
・・・とはいえ、実は早くからミスリードに気が付いていた私。そして案の定ビンゴ。残念ながら”推理モノ”としてはもう一歩だね。限りなく黒に近い人物が想定できたのは、私が女だからかもしれないし、それ以前に推理モノが好きで、「この手の話には・・・限度がある。」というキーワードを逃さなかったからかもしれない。

有川先生の小説は「弱者」の立場や視点が良く登場するように思う。(弱者という表現が適切かどうかは分からないが)。今回の柴崎は一方的に攻められるだけの弱者だ。あの柴崎でさえ相当のダメージを受ける、終りの見えないストーカーの脅威に怯える女性がどんなものであるか、それに対する周囲の有様が切実に伝わってくる話でもあった。まぁ、あくまでも手塚と柴崎の”結果オーライ”を引き出す為のカンフルエピソードだとは思うが、有川作品はべた甘が愉しいばかりではなくて、こうした社会派的な要素が織り込まれているところが、やはり巧いし好きだなって思う。

もう一気読み!勿体ないけど止められなかった。これで「別冊」もひと段落なのが少し寂しい。折角なのだし小牧と毬江ちゃんのゴールインも拝みたかったな。(それを言うなら玄田や緒方もか?)。カウントダウンな二人だし、毬江ちゃんのイイシーンもあったから良しとしようか。でも、もしかしたらDVDの3巻は”小牧一色”の可能性という一縷の望みが残されてい???(と思いたいなぁ)
残り4編の短編はもちろんだが、有川先生には様々な作品でこれからも楽しませてくれることを期待したいと思う。

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コメント

こんにちは♪
最近たいむさんのところとウチのTB状態が良くないみたいですよね?
NGワードも見当たらないみたいだけど・・・。

これで終わりこれで終わりといいながら、出版社はこんなドル箱シリーズをそう簡単には手放さないと思うんだな~。
まだまだ描いて欲しいカップルもいることだしねっ。

とはいえ、個人的な好みは恋愛が成就するまでの過程だったりするので、あんなカップルこんなカップルの新婚生活はそれほど興味がなかったりします。
やっぱりこのあたりが潮時かな~?

投稿: ミチ | 2008/09/11 11:03

■ミチさん、こんにちは
ミチさんのTBは保留で引っかかってましたので、開放しました♪うちのはあとでもう一度チャレンジしてみます!

大人の事情で続くのはあまり歓迎できないけれど、先生が書きたいと思って書くのならば、いつまでもお付き合いしましょう!ですね、私は(^^)
だけど、確かに恋愛成就までのプロセス(ジタバタ)が胸キュンですよね。どいつもどいつもベタ甘の新婚生活はいらないかもー。
あるとすれば堂上と郁の天地をひっくり返すような大ゲンカは面白いかも???あーでも、今だときっと妊娠発覚で元鞘は確定かな?ツマンネー(爆)と妄想で遊べる作品になってしまってます(^^;

現在、塩の街、海の底、万歩計が待機中。
読書の秋、到来かな~

投稿: たいむ(管理人) | 2008/09/11 18:41

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有川浩さんの別冊図書館戦争?を読んだっ!! しっかし、あれですな。有川さんの本は一気によんじゃうから勿体無いんだ・・・w こー惚気まく... [続きを読む]

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{/book/}「別冊 図書館戦争 ?」 有川浩 長く続いてきた図書館シリーズもこれで本当の本当に最後?? 今回は柴崎+手塚の話が中心になるのは予想できましたが、最初に緒方のエピソードが来たのは意外でした。 濃いキャラ揃いのメンバーの中で、緒方副指令は少し影が薄く、良識派のイメージ。 元メディア良化委員会所属だった緒方副指令の恋の話はその後の展開も含めてなかなかインパクトがありました。 それにしても、図書特殊部隊隊員の恋愛体質が似すぎていませんか?(笑) そして、お待たせしました。 柴崎と手... [続きを読む]

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