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2008/07/09

『ラブコメ今昔』 有川 浩 〔著〕

Rabukomekonnjyaku 御馴染みのベタ甘恋愛短編集で、恒例の自衛官の恋バナ6連発!!巻頭でタイトルになっている「ラブコメ今昔」と、最終話「ダンディ・ライオン」は登場人物がリンクする姉妹編だけど、あとは全てが単作。
一気に読むのが勿体無くて1編ずつチビチビ読んでいたこともあってか、また、『別冊図書館戦争Ⅰ』があまりに劇甘で強烈だったことから、すっかり慣れて余裕余裕と中盤までは”甘さやや控えめ”な印象。初っ端が円満(熟年)夫婦の話で、回想が”甘い”とはいえ、さすがにやや落ち着いた雰囲気があり、何より、今村二佐の現実を見据えた厳しい発言がこの物語をひきしめていたことも、控えめ印象に繋がっていたように思う。だけど、それで終わる有川作品じゃあないんだよね

各話の雰囲気と雑感は以下のとおり。
「ラブコメ今昔」・・・基本は空挺団の大隊長である今村二佐と奥様との恋の馴れ初め。
隊内紙のコラムに載せるインタヴューなのだけど、新米広報官の千尋ちゃんが、二佐に承諾をとるまでのドタバタ楽しい。「お漬物を少々」が実に良かった!(ちなみに、広報官2人の関係を看破していた私。すっかり慣れっこ♪)
「軍事とオタクと彼」・・・新幹線で席を譲って貰った縁で仲良くなった歌穂と森下三曹だが、いつまでたっても恋人未満。それというのも光隆が「重度のオタク」を自認していて歌穂にドンビキされる事を恐れて言い出せないのが原因。
すれ違い一歩手前で逆に纏まってしまってからの2人と後日談には爆笑&胸キュン♪
「広報官、走る!」・・・自衛隊協力のTVドラマや映画制作のスケジュール調整で東奔西走する、担当広報官間政屋一尉と女性AD鹿野。
トラブル続出は必然的に2人の連携を密接にするし、接触が多ければ恋が芽生えるのもまた必然かな?大トラブルが纏めた恋は、果たして続くかナァ?
「青い衝撃」・・・女性ファンにモテモテの”ブルーインパルス”パイロットを夫に持った妻の災難。
ファンをむげにあしらえないのは、時に悲劇的。しかし、極限まで追い詰められた妻の逆襲は溜飲が下がった!
「秘め事」・・・上官の娘の友達を紹介されたはずの手島三尉だったが、実際に付き合い始めたのは上官の娘の有季。言い出せないままこっそり付き合うスリルを2年も続けたある日、とんでもない釘がさされることになる。
ちょっと反則技あり。だけど、ケジメを付ける為の決闘と老兵?の引き際が最高!すっかりお株を奪われた父親のヤキモチも可愛い。
「ダンディ・ライオン~またはラブコメ今昔イマドキ編」・・・広報でカメラを担当する吉敷三曹と吉敷の写真に魅入られた矢部三尉の出逢いから恋のはじまり。
頑なで不器用な吉敷が本心とは裏腹に放ってしまった「呪いの言葉」にさすがの矢部三尉も沈没。でも、切羽詰った吉敷の仲直りの方法はとってもキュート♪羨ましいぞ!

ということで、冒頭に「控えめ」とか言いつつも、実は後半2編であっさり覆されてしまっていたりするのだった。それでも「秘め事」では今村二佐の言葉を裏付けるようなシビアな事態(反則技)が起こるし、「ダンディ・ライオン」では、”呪いの言葉”の重さを心底切なく思う。なんだけど、そんな壁を打ち破って結ばれちゃうカップルには、もう「ご馳走様っ!」としか言えないよね 泣いて笑って満腹になるのが最後の2編で、終わってみれば、テンションは右肩上がりだったと思う。
特にグッときたのは最後の2編だけど、それとは別に感慨深いのが「軍事とオタクと彼」。オタクの彼に思いっきり共感。なんたって私も、実際に地元で見られない番組の纏め録画を相棒に「お願い♪」って頼んじゃったりしてるし、イベントなどの1人1回な応募には、一方的に協力要請を通達し、拒否権も(たぶん)なし
私がアニメでこんなに弾けちゃったのはここ何年かの話で、光隆君のようにカミングアウトに悩むことこそ無かったけれど、相棒にしてみれば、イベントだぁ、オフ会だぁ、どんどん増えていくDVDやオモチャたちには、タジタジって顔をして「また増えてる?」って突っ込みが入ることもシバシバなこの頃。それでも、基本的には不問にしてくれる理解ある相棒で私は幸せ者だなって思うんだ。・・・・・・・なーんて言えちゃうのは、有川本に良い意味で中てられちゃったからかなぁ??ハハハ(///∇//)テレテレ

それにしても有川作品に登場する男たちはみーんなカッコイイ。自衛官ではない「軍事とオタクと彼」に登場した歌穂の弟君までイイ男だ。また、女たちも一本芯の通った子ばかり。キャラにハマれるから、有川ワールドにどっぷり浸って共感しまくれるのだろうなって思う。
最初から最後まで愉しませてもらった短編集『ラブコメ今昔』。来月上旬には『別冊図書館戦争Ⅱ』を控えているし、DVDの短編もとても楽しみだ。首都圏では終了したアニメ『図書館戦争』だけど、DVD特典用の「毬江ちゃん設定」も遂に公開された。(清楚で可愛い雰囲気が良く出ている) まだ未読で保留にしていた有川作品:自衛隊3部作も、やっぱり制覇することにした。次ぎはとりあえず、既に手中にある『空の中』を、『ハリポタ最終巻』到着までに読み上げたいと思っている。

追記:こちらで有川先生のインタ動画が観られます! 

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コメント

たいむさん、こんばんわ♪
『空の中』なかなか面白かったですよ。
自衛官もキッチリ出てきますし(笑)
コレもアニメ化しても面白いと思いました。
って言うか有川さんの話ってどれもアニメ化しても外れそうにないですよね。

投稿: エミ | 2008/07/10 19:45

■エミさん、こんにちは
『空の中』は既に読み始めてます!
心配しなくも、勢いでガンガン読めちゃうので、十分『ハリポタ』に間に合いそうです(笑)

エミさんは、『空の中』は既に読んでらっしゃるのですね。『塩の街』と『海の底』もかしら?
私は、スピンアウトと知らずに『クジラの彼』を先に読んでしまったので、”光稀”に騙されることがなくてちょっと勿体無かったかも。(^^;

有川作品は、アニメ向きですよね。実写だとちょっと小恥ずかしいからw
こちらは、劇場版とかで観たいかな~・・・と思っちゃうのは、おそらく「スカイ・クロラ」のせいかもしれないけどw

余談:
その5も読ませていただきましたよ。
失礼ながら大爆笑でした。
後日談など、お話の続きはまだあるのかしら?
またお邪魔します!

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/10 20:52

こんにちは♪
読みましたよ~!
短編だからあっという間に読めちゃった。
読了直後はちょっと物足りないな~と思ってしまったのだけど、感想を書いていたらやっぱりそれなりに面白かったなと思えてきました。
実は有川さんの「あとがき」が一番おもしろかったりして!

たいむさんと理解ある相棒さんのお話、有川節並みのベタ甘でしたぞ~!

投稿: ミチ | 2008/08/07 16:45

■ミチさん、こんにちは
さらっと読めちゃいますよね。
毎度ワンパターンでもあるし、究極のベタ甘を読んじゃうと「物足りない」って気持ちになるのは同感です。
9日に「別冊図書館戦争2」が発売になりますが、柴崎&手塚では、こちらも甘さ控え目かな?

DVDに封入された短編もサクッと読める内容でこちらはベッタベタです。堂上がカッコいいですよー。5巻全部揃ったらお貸しできると良いのですが(^^)

>実は有川さんの「あとがき」が一番おもしろかったりして!
そうそう、毎度毎度裏話とかが面白いですよね。

>有川節並みのベタ甘でしたぞ~!
うははは。良い旦那さまです(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/08/07 20:01

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{/book/}「ラブコメ今昔」 有川浩 自衛隊ラブコメシリーズ第二弾。 第一弾の「クジラの彼」は残念ながら未読です。 ・女性広報自衛官に妻との馴れ初めを取材されたオニの上官の話「ラブコメ今昔」 ・年下の彼との遠距離恋愛の話「軍事とオタクと彼」 ・“女たらし”の広報官がトラブル続きの現場で出会った女の子との話「広報官、走る!」 ・旦那がモテてモテて困る妻の話「青い衝撃」 ・上官の愛娘と恋に落ちる話「秘め事」 ・「ラブコメ今昔」の前日譚「ダンディ・ライオン」 自衛隊をテーマにしたラブストーリーが... [続きを読む]

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