『眞マ国より愛をこめて』 喬林 知(著)
『故郷へマのつく舵をとれ!』からたった1ヶ月で、「外伝」及び「本編15.5」が読めるとはっ!・・である。
眞王と大賢者、大賢者の記憶を受け継ぐ村田の視点で描かれている「外伝」は、一部再録とのことだけど、私は初見なのでなかなか面白かった。『故郷マ』で予告されていた「本編15.5」にあたる「彼はまだ還らない」では、投げっぱなしになっていたギュンターやグウェンダル&グレタとも合流。ヨザックのその後や、コンラッドとの明るい兆しが描かれたことが嬉しい。
一読した感想としては、眞王のワガママであり、大賢者の名前であり、グウェンダルのトリップであり、かなりアニメからのフィードバックを感じる繋ぎの一冊になっているなー、だろうか。
外伝「通り過ぎた森の先」では眞王と大賢者の出逢いが、「界雷」では、共に旅をする、眞魔国創設以前の2人のお話。
なんと、2人が出逢った時には名前一つ、それ以前の自身の記憶すっかり失っていた大賢者だったとはねー。そういえば、アニメで初めて名前を知ったような・・・である。そして、もしかしたら大賢者は、眞王の腹違いの弟かも知れない、というのは驚きだ。あくまでも「かもしれない」の域を出ない、曖昧な書かれ方がされているから、どこでオトされるかは分らないけれど。
「まるであなたの瞳の色」では、”凍土の劫火”の破片で聖砂国へ飛んだ村田が、途中、眞王の魂の居る異空間に引っ張り込まれていたというお話。「大賢者の記憶を受け継いでいても僕は僕(村田)だ!」と常日頃から有利に訴えている村田で、自分を”大賢者”として見る眞王に辟易といった会話劇が繰り広げられる。その中で、大賢者の失われてた過去の記憶と引き換えに、現魔王である有利との記憶を要求する眞王だ(村田が望んだわけではなく、いわば強引に)。そこで村田と有利の出逢いから、有利に自分が”猊下”であることを告白する少し前までの、地球での出来事がいくつか披露されている。ここでは、最近の「上様モード」とは少し異なった有利の変身についての可能性なども示唆(懸念)されており、また、”禁忌の箱”の今後についてなど、遂に原作でも眞王が動き出しそうな気配まである。とにかく番外でありながら、今後へのカナリの伏線になっているのでお見逃し無く、といった感じだ。
そして、「本編15.5」の「彼はまだ還らない」は、まったく『故郷マ』の直後のお話。
「すぐ追いつきます」と言ったコンラッドは本当に追い付いてユーリと話をする。また別れがくるけれど、「あんたの還る場所はどこだ?」には、「あなたの許です。」と答えるコンラッドに嬉しくなる。こちらは時間が解決するんだと安堵するところ。
ヨザックは、かすかに残る潜在意識の自責の念に耐え切れず、自傷行為に・・・(TT)心を閉ざしている状態であり、生きる意志の無い者には効かない治癒魔術。アニシナに託して”雪ギュンター”のように仮死状態にし、打開策を模索するしかなさそうだが・・・。
新章は、「へ?」ってところからスタートするとのことだったが、それは眞王がちょっかいし始めた所以のようだ。グウェンダルとの合流後、一路眞魔国へ・・・のハズが、海に地球への道が開かれる。ヨザックのこともあり、帰りたがらない有利(と村田)を海に突き落とすのがヴォルフラムだったのだが、そうと知らないグウェンが救助の為に海に飛び込むというハプニングが!予期せぬ道連れに、ちゃんと地球へ還れるのか?(多分還れない)といったラストで終わった。
アニメでは、3兄弟が揃って地球へ行っているし、眞王も大活躍している。今回が村田と初対面というギュンターやグウェンダルだったのには「そーだっけ?」って首を傾げてしまうほど混じってしまっているアニメと原作で、アニメオリジナルが逆に原作に取り入れられることがあるかもしれないね。
やっぱり「まるマ」は明るい路線が一番!一度見切りをつけたことなどすっかり忘れて、新章を楽しみに待ちたいと思う。
| 固定リンク | 0
コメント