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2008/07/14

氷室冴子先生を偲んで・・・

Dsc00484「アニメージュ8月号」にて、先月6日に51歳の若さで他界された小説家:氷室冴子さんの追悼特集が掲載されていた。
氷室先生はアニメージュにて『海がきこえる』の連載(1990~92年)をされており、『海がきこえる』はその後スタジオジブリによってアニメ化されている(1993年)。当時の若手だけで制作された、ジブリでもシブメのTVSP用アニメ。”当時若手”の中には、現在『崖の上のポニョ』で作画監督をされている近藤勝也さんが、キャラクターデザイン&作画監督を担当されており(小説で挿絵を担当)、監督は望月智充さん(『ふたつのスピカ』、『絶対少年』など)である。

監督の望月さん、作画監督の近藤さん、プロデューサーの高橋望さん、アニメージュ担当編集だった三ツ木早苗さんでの追悼特集。『海がきこえる』を絡めて氷室先生を偲びつつ、当時を懐かしむ話題が6ページに渡って掲載されている。
「SEED図書カード」欲しさに購入した雑誌だったが、この号であったことを嬉しく思う。熱狂的ファンとは言わないが、氷室作品は中・高校時代の愛読書でバイブルのようなものだった。”少女小説”とジャンルされるだけにそこで一旦は卒業したが、『海がきこえる』、続編の『海がきこえる~アイがあるから』、『ターン~3番目に好き』等の文庫本で回帰。同じく文庫化されたエッセイ『いっぱしの女』を読んだ時は、ある章で語られたある想いに触れて号泣した。年の差は相対的で決して縮まることのない氷室先生と私だけど、執筆時期によっては年齢的に追いつくことになり、この時は激しく自分と重ねたことによる共感だった。そして未だにその思いは私の心でくすぶり続けている。
残念ながら、その頃はもう活動休止に入った後。検索しても近況はまるで掴めず、それでもいつか復帰されるだろうと、ここ何年かは時折新刊情報で名前を探す、そんな感じだった。でもまさか病気療養中だったとは。訃報はまさに寝耳に水でショックだった。

Dsc00483 氷室作品にはたくさんの思い出と思い入れがあり、たくさんの影響を受けた。特に何度も読み返したのは『恋する女たち』と、『海がきこえる~アイがあるから』だろうか。どちらも”実写化”されているのが(私には)皮肉な話で、結局どちらも観ないままなのはささやかな抵抗かもしれない。ちなみに、私が時々”愛”を”アイ”と書くのはここから来ている。どんな時の、どういう”アイ”なのかは小説を読んでもらえれば分るので、もし興味を持たれた方がいるならば是非にとオススメしたい。ちょっぴりキツイけれど、あたたかい気持ちになれる物語だから。
最近、時々思い出していたのが『雑居時代』の倉橋数子嬢。プライドが高い上に計算高い女の子だが、愛しのオジさまに相応しい女性になる為の努力に命を掛け、ひとり空回っているカワイイ女の子でもある。追悼特集にて、氷室ファンを自称する望月監督が、『海がきこえる』での武藤里伽子を”ツンデレの元祖”と言われていたが、氷室作品では倉橋数子嬢こそが元祖だと私は思う。
それはともかく、なぜ数子嬢を思い出すかと言うと、「自分が好きだと言った食べ物を、与え続けられても文句の言いようがない。」という事を、実地で体験してすることになってしまったからだったりする(^^; 『雑居時代』では、味にうるさい数子嬢が及第点をつけた、とあるホテルのカレーが毎日食卓に上るというエピソードがある。いくらなんでもウンザリな話だが、最終的にすべては”数子の為”という納得の行くオチ(説明)つくことになる。どうやら今、私が体験していることはそれに近いんじゃない?と思い至ったら納得で、ちょいと苦笑い状態。でも、そろそろ言いたいかも。それはとっても大好きだし、ご機嫌伺いには最適かもしれないけれど、「たまには違うお土産にしない?」って(^^;
印象深いところでは、『なぎさボーイ』と『多恵子ガール』(+『北里マドンナ』)。言うなれば『冷静と情熱のあいだ』の元祖(年齢層は低いけど)みたいな作品。男女の視点(裏表)をたった1人で書いているのが衝撃的であり、男の子の見栄や女の子の強がりなど、それぞれのウジウジが甘酸っぱくて最後まで思うようにならないところに、当時は共感しまくりーの、打ちのめされーのといった作品だった。
イレギュラーとしては、『ライジング!』。藤田和子:画/氷室冴子:原作の漫画なのだけど、”宝塚歌劇団”をモチーフに作られたドラマは読み応えあり。劇中劇『レディ・アンを探して』は完璧に創作されて単独で文庫化もされている。(物語は「ローマの休日」風)。男役だった主人公:仁科祐紀が娘役に転向し、苦難の先に男女の演じ分けを獲得するところは感動的だった。今でも覚えているのは「歩き方」。時々人様の歩く姿と足跡を見ながら、自分の姿勢に意識することもあったりするほどに(笑)
(年齢的にも)最初に嵌った『クララ白書』シリーズであり、大ブレイクした『ジャパネスク』シリーズなど書き始めるとキリがないのでこの辺でやめとくが、ひと通り氷室作品を読んだ方ならば、↑で書いた内容を笑ってもらえるんじゃないかな?(^^)

そして、先日、追悼に『海がきこえる』のDVDを観た。
はじめて観た時は、原作のアレンジ部分にやや不満を持った覚えがあるが(特に「お風呂の中で寝るひとだよ」のところ)、今回はさすがに原作のところどころを忘れていて、まったく違和感なく楽しめた。そして、今観ても秀作だと言える、丁寧に作られたクオリティの高い作品だと思った。
作品を振り返る・・・という点で、DVDには”10年後の同窓会”風に主要スタッフが集った50分もの映像特典が収録されている。今回の、更に5年後の追悼特集とは被っているようで被っていない内容は、今更ながらに興味深くて面白かった。
『海がきこえる』は、ジブリ作品とはいえネームバリューの低さから一番地味な作品だけど、『耳をすませば』は、宮崎監督がこの作品に感化されたことで制作に繋がった作品だった(かも)と言えば、多少付加価値もつくだろうか?こちらも、興味をもたれた方には是非にとオススメしたい。

たくさんの思い出を下さった、氷室冴子先生のご冥福をお祈りしたいと思う。

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コメント

私も訃報を聞いたときはビックリしました。
中学生の頃『ジャパネスク』の漫画版が流行ってて、私もご多分に漏れず読んでました。
友人とも若くして活躍されてたこと、少女小説というジャンルに大きく貢献してたことなどを考えると余りにもお亡くなりになるのが早すぎると話してました。
氷室先生のご冥福をお祈りします。

投稿: エミ | 2008/07/14 19:34

■エミさん、こんにちはsun
本当に本当に、もう2度と新作が読めないのかと思うと残念です。

>『ジャパネスク』の漫画版
漫画版と言うところに年の差を感じますねぇ(^^;
実は、漫画は読んだことがないんですよ。
でも、原作ファンとして毛嫌いしていたわけではないし、山内先生(ですよね?)の元気いっぱいな瑠璃姫は嫌いじゃないですよ。単にその頃にはもう卒後してたって感じ?(^^)

今の「ライトノベル」の地位は、氷室先生あってのものといっても過言でないでしょう。それゆえの苦悩から沈黙という苦い結果はともかく、肺がんによる病死は無念だったのではないかと思ったり・・・。
新作を発表しなくても、もっともっと長生きして欲しかったですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/14 20:34

(-_-;)/ すんません、わたしはコミックで瑠璃姫を知った人です…
私の場合は逆ベクトルの年の差っスけど、コバルトへ再入学?したってことで。

むしろ私自身が氷室さんと同世代の年齢ですしね。だから『雑居時代』と聴くと、石立鉄男と大原麗子の連続ドラマを思い出します。

で、山内直実さんも自分の絵を忘れるほど時間が空いた頃に人妻編がコミック化されて、雑誌を買わない私はすごく嬉しく、また2巻でようやく昔のタッチに戻ってきてそれも嬉しかったんですが───
とあるブログで氷室さんの訃報を聞いて愕然として。ほんとにもったいなかったなあ…。今こそ彼女のオリジナルがアジアで、世界でドラマや映画になるはずだと思うんですが。

投稿: よろ川長TOM | 2008/07/15 16:23

■よろ川長TOMさん、こんにちはsun
TOMさんは、「ジャパネスク」の漫画からなのですねー。
「ジャパネスク」のシリーズは長期でしたものね。
私も、本当は「人妻編」の頃はもう卒業していたので、「冬のディーン夏のナタリー」は読んでいないのですが、このシリーズだけは文庫が出ると喜び勇んで購入していました。

>『雑居時代』と聴くと、石立鉄男と大原麗子
決して氷室作品のドラマ化ではないところが笑えますよね(^^)
まったく無関係ですが、それを聞いたら漫画の『あるまいとせんめんき』を思い出しました。
それにしても昔のドラマは同棲モノとか多かったですよね(^^)

今だったら、いの一番にアニメ化・ドラマ化のターゲットですよね。
いや、アニメも、映画も、ドラマも、漫画にもなってはいるのですけどー(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/15 23:10

新聞でご逝去を知りました。
「雑居時代」「ジャパネスク」に出てくる
元気で明るいめげない?ヒロインが好きでしたよ。

ご冥福をお祈りします。

投稿: shamon | 2008/07/16 10:06

■shamonさん、こんにちはsun
shamonさんもお読みになってましたか?
どの作品も、お転婆なヒロインが魅力的でしたね。
ほんとうに残念なことでした。

先日はアドバイスありがとうございました。
ミラノは全席自由席だそうです。
といっても、一般上映は「並ぶほどでもない」とのことで、ちょいと肩透かしでした(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/16 17:21

こんばんは♪

>お転婆なヒロインが魅力的でしたね。
あの年頃の元気な女の子の魅力一杯でしたね。
女性から見て共感できるヒロインたちでした。

>一般上映は「並ぶほどでもない」とのこと
あー、じゃあもう一度私も観にいけるかな。
次は「イノセンス」らしいのでこっちも見たい。

東京は既に灼熱地獄(体感温度35度)なので
暑さ対策をしっかりしてくださいね~。

投稿: shamon | 2008/07/17 22:11

■shamonさん、こんにちはsun
>次は「イノセンス」らしいのでこっちも見たい。
え?それもやるんですか~困るナァ(^^;

少なくとも平日はバンバンではないかと。
週末はちょっと戦々恐々なので、余裕をもって劇場に向かう予定です。

>暑さ対策をしっかりしてくださいね~。
はぁ~い!
お気遣いサンクス!!

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/18 19:51

たいむ様、こんにちは。
私も学生時代に氷室さんの作品を読んで、すごく影響を受けたので、訃報を聞いてショックでショックで・・・。

ここ10数年、新作が全然出ていなかったので、私も気にはなっていたのですが、まさか闘病生活をなさっていたとは知りませんでした。

氷室さんの作品は大抵読みましたが、初期の頃の作品や「ライジング!」は読んでいないんですよね。
たいむ様のブログを拝読して、ものすごく読みたくなってきました。今じゃ絶版になって、手に入らないものも多いと聞くので、再販して欲しいですね。

投稿: Yuhi | 2008/07/21 13:28

■Yuhiさん、こんにちはsun
まさか!な出来事でしたね(TT)
初期ならば、「恋する女たち」が本当にオススメです!ちょっぴり大人っぽい3人の女子高校生がそれぞれとても魅力的なんです。
「ライジング!」は真剣勝負な演劇モノ。
出発→急上昇→最盛期→落ち目→再起→成功というありがちなパターンですが、一つ一つのドラマが面白く、それこそ「スワン」とか「エースをねらえ」のようなスポコン&ラブに近い感動を得られると思います。機会があったら是非に。

>絶版
みたいですねー。
上の写真のものは、すべて絶版のようです(笑)
といっても、コバルト系はほとんど再販されているようですよ。それだけ時代を感じさせない内容から人気が衰えていないのでしょう。ちょっと嬉しいですね。

ちなみに、掘り出し物を探すにはブックオフのようなところがよいかもしれません。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/21 21:05

はじめましておじゃまします。だいぶ昔のpostにコメつけてますが。

氷室冴子せんせいと雑居時代で検索しててたどりつきました。ガキの頃に読んでたんですが、倉橋さんちの数子ちゃんに萌えすぎてトラウマ化してるのか、オッサンになった今でもこうして検索かけたりしてます。

ジャパネスク、クララアグネスあたりも好きですね。どーも強気な女の子に萌えちゃうっぽいんですが、数子ちゃんは別格ですなあ。

氷室センセは母親と同じ年ぐらいだったので、亡くなられたというニュースを耳にしたときは、いろんな意味でヘコんだものです。。。

(ほんとはコメとかつけずに素通りしようと思ったんですが、なんかはじめましてじゃないような気がして思わずコメつけちゃいました。勘違いだったらごめんなちゃいスルーしてください)

投稿: ぴうたんうぃる | 2010/11/15 16:58

■ぴうたんうぃるさん、こんにちはsun
結構長くやってますので、名前だけでアドレスの入力されず、通りすがりでコメントされていかれる方の場合は、多くの場合その場限りで終わってしまうので記憶はまったくないのですが、「はじめまして」ではないとしたら、思い出して下さって光栄です(^^)

私も、懐かしい作品ほどふと思い出した時には検索掛たりしますよ。大抵は閲覧のみで通り過ぎますが、共通点が多いとコメントを付けたくなるのもわかります。

とにかく私も氷室作品には大きく影響を受けましたので、未だにこうして文庫本を愛蔵しているわけです。最近では読み直すこともほとんどありませんが、ホテルのレトルトカレーを見ればなんとなく数子ちゃんを思い出しますし、古事記だの日本書紀だのと言うと氷室作品のアレコレを思い出します。椿姫なんかもね(^^)

突然の訃報は驚くばかりでした。今になっても寂しく思います。でも、同じ思いの人たちとこのブログを通して語り合えたことを嬉しく思っています。
コメントを残してくださってありがとうございました(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2010/11/15 18:27

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