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2008/07/11

アニメ「図書館戦争」*第12話(最終回)

状況一二「図書館ハ誰ガタメニ」
Library12 遂に最終回。1クールはやっぱ短いよ!出来る事なら2クールで、『図書館革命』に、必要ならば『別冊』の番外まで含めて、もう少しゆっくりがっしり観たかった~~~。とはいえ概ね原作のイメージを壊すことなく上手に纏めてくれだし、スキップしまくりではあったけれどポイントは踏まえられており、最後までアニメ『図書館戦争』を楽しめたことを嬉しく思う。
※以下、原作『図書館革命』でのネタバレも含まれているので、これを機に『図書館戦争』シリーズを読む予定の方はご注意ください。

さて最終回、原作では茨城の事件で負傷しない堂上であり、入院はアニメの完全オリジナル。堂上が火達磨からの全身火傷になるのでは?と心配していただけに、そうではなくてと安堵はしたが、さすがに一時的でも「認識障害」はやりすぎだろ、とちょっぴり不満。本来ならば、直属の部下とはいえ、事実上それ以上でもそれ以下でもない郁は立場はかなり厳しいはず。恋人ならまだしも、告白すらしておらず意思の疎通がない関係で、毎日のように足しげく病室に通いつめるなどまず出来ないこと。それだけの病状で、堂上の家族が誰一人(モブでさえも)登場しないのもカナリ無理がある。とにかく、ぐっと盛り上げ綺麗にまとめる為の”予定調和”がやや気になった最終回だったのがちょっぴり残念。・・・だけど、折角の大団円。そんな細かい事でお茶を濁すことも無いよね。ハッピーエンドは素直に喜ばなくちゃだわ(^^)

郁が大きく取り乱したのは、堂上の診断結果を聞かされた直後のみ。その後は冷静さを保ち、不吉な発言をする手塚さえ諌めてしまうような、目一杯強がった郁が痛々しい。誰よりも心配し、不安でいっぱいな郁だからこそ、堂上も玄田も「快復しないわけがない」と口に出すことで自分に言い聞かせているようなもの。必要以上に訓練に打ち込むのも、柴崎には「帰ってきた堂上教官に恥ずかしくないように」とか尤もらしく言っちゃってるけど、半分は嫌な想像をする暇が無いように自分にムチ打っている、ってトコだろう。
郁は本当に成長した。特に精神面での成長は著しい。元々の性格と素質はあるけれど、半分(以上?)は堂上のお手柄だね。「坊ちゃん」も、突撃インタヴューでの溜飲を下げる発言もバリバリにオリジナルだったけれど、確かにこの時の郁ならば感情に左右されることなく、毅然とした態度でキッパリと言い切りそうな発言だった。「無法でたくさんだ」をそのまま言っちゃうところがやっぱり郁なのだけど、とてもカッコ良かった!(&うるうる)
郁の告白から、自分を取り戻す堂上も予定調和の一つだけど、ベタ甘有川作品の雰囲気は踏襲していて、あるいはこんな着地もありかと思うところ。ちなみに、原作での告白シーンも病室でのこと。ただし、それ以前にフライングしていた郁で(怪我した堂上を置き去りにするに当たって、自分から唇を押し付けて、更に「(帰って来たら)好きって言いますから」と口走っている)尻込み状態。さらに「教官は迷惑に思っている」と勝手に勘違いして告白以前に敵前逃亡のようなドタバタ劇が演じられることになるので、随分と違った告白シーンだったりする(^^)。
EDに被せて、仲良く手を繋いだりデートしたりするカットは嬉しいね。両親に向けてのハガキも、どこまでもポジティブなアニメを象徴していて良かった。

周囲に支えられてやっとここまで来た郁で、焦点を絞る為にも郁と堂上を中心するしかなかったアニメだったけれど、堂上も、柴崎も、手塚も、逆に郁から受けた影響が決して小さくないことは感じられたと思う。本当は、小牧や玄田、折口なども加え、もっと個々にスポットを当ててあげたかった。原作ではそれこそイキイキと個々のキャラクターが立っている作品だから。
原作ではこの後、世間をも巻きこむ大事件が勃発し、その結果から世の中に変化の兆しが見え始め、やがては武装解除に至るという、希望の見える結末が描かれている。(堂上と郁のその後も含めて)。よって、郁の「闘い続ける宣言」で終わったアニメでも、いずれどこかで決着をつけて欲しい気がする。願わくは、(どんな形であれ)続編とか(^^)

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コメント

できれば第11話と最終話の間に1話かましてくれれば、もっとこの最終話が盛り上がったかな?と思える前半はさておき、郁がいつの間にか堂上の後ろではなく横に立てるような立派な図書隊員になっていたことが何とも嬉しかったですね。

個人的には手塚兄がこれからどんなふうに変化していくのも見たかったのですが、これも1クールという悲しき定め。あとは我々の想像にお任せします的な終わり方もいいですが、本当にできれば続編なりでもっと郁たちの魅力を、そして『図書館戦争』という作品の魅力を堪能させてほしいですね。

3ヶ月に渡り、たいむさんのこの作品に対する丁寧な解説はとても楽しかったです。またこんな魅力ある作品に出会えることを心から願うばかりです。

投稿: にゃむばなな | 2008/07/11 23:00

■にゃむばななさん、こんにちは
>きれば第11話と最終話の間に1話かましてくれれば
そうでしたね。悪くはないのだけど、あまりに、最終回の為にわざわざ堂上を負傷させたのがバレバレで、しかもあっさり解決しすぎは「なんだこりゃ」の一歩手前ともいえます。

アニメは、あまりにすんなり成長してしまった郁ではあったけれど、それでも一歩一歩がしっかり感じられるし、いつか横に立てるどころか、背中を預けられる隊員になるだろうと期待できますねw

>手塚兄
実は、この方の大活躍は『図書館革命』にあるんですよ。残念でしたね~(笑)

真面目な話、アニメでも各キャラにこれだけ注目できるにゃむばななさんには、原作を激しくオススメしたいです。どーんど4冊は厳しいかもしれませんが、アニメのイメージを持ってしても、マイナスは決してないと思いますし、後悔なしと太鼓判を押します!

3ヶ月にわたり毎回お付き合いいただき、こちらこそありがとうございました。
自分の好きなモノを同じように好きだと言ってくる方のコメントは大変に有り難く、嬉しかったです。
「図書館戦争」は終わってしまいましたが、また何かの作品を一緒に盛り上がれると良いですね!
これからも宜しくです!

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/12 15:45

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