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2008/06/01

『故郷へマのつく舵をとれ!』 喬林 知(著)

Kokyouma 一応長かった「聖砂国編」もやっと完結!・・なのだけど、辛うじて〆たって感じで、あれもこれも投げっぱなしのままだからスッキリしない。(作者も自覚あるようで、後書きにて語られている)。辛口に言えば、これだけ引っ張った割には何の解決にも至らず、にも関わらず表面上だけ一件落着のような明るさを取り戻すってのがどうにもいただけない。要するに喜怒哀楽すべてにおいて中途半端なリアクションしかできない内容でしかなく、もはや「まるマ」にかつての勢いやパワーを要求するのは無理だろうか?と思わされるものだった。それでも、宙ぶらりんで憂鬱な要素の決着は見届けたいわけで(その為だけに読んでいるともいえ)、その意味でコンラッドに関しての光明を見せてくれたことには評価をしたいと思う。(とはいえ「かな?」でもあり断定ではないあたりがシブイ。アニメではとっくに戻っているだけに、ギャップがキツイのにな)
以下、ざっくりとあらすじ(注:ネタバレ)。

ユーリら一行の前に現れた、ヨザックらしき男と虫の息の村田健。背後にはイェルシー陛下が待ち受けていた。イェルシーからは「村田」と「ユーリ&サラレギー」での人質交換が要求される。期限は日没まで。村田の衰弱が気になるところで、交換無しでの奪還策はまるで浮かばない。隙を付きユーリは少しだけ村田との会話に成功するが、結局ユーリひとりで交換要求に応じることなる(密かにサラレギーは逃がす)。しかし納得したはずのヴォルフラムはユーリを騙まし討ちし、身代わりとなってコンラッドと共に進み出てしまう。その時、意識を取り戻した村田は、ヴォルフラムの接近を激しく阻止しようと声を張り上げる。(箱が”凍土の劫火”である以上、鍵の可能性があるヴォルフラムを近づけるのは最も危険な行為だと遠まわしに言っている。ちなみの”風の終わり”の鍵であるコンラッドも準じて危険因子=万能キーみたいなもの)
中断された村田との会話から「箱」の存在に思い至ったユーリは、自ら飛び出して2人を後退させ、予定通りの「人質交換」が成立する。陣の奥にはイェルシーとその母:アラゾンが居た。正確に言えばアラゾンだったモノである。イェルシーは”凍土の劫火”は”生命の箱”で、”衰弱した母”を復活させる力のある箱だと信じ、ユーリが箱の鍵だと思い込んでいた。アラゾンは既にミイラ化していたがそれすら気がついていないイェルシー。(命を吹き込む箱と信じる理由は、死んで生まれたサラレギーが現在生きているのは箱のおかげだと信じているから。)
やっと追いついたジェイソンとフレディが乱入し(”凍土の劫火”は火に反応するため戦々恐々なのだが)、村田によって立て直された、当初のユーリの作戦を生かした上での作戦が展開。なんとか大陸の北端にまでイェルシーの陣を誘導し、別働隊とも合流。混乱を誘発させ、乗じて落着へ持ち込むことに成功させる。国をも揺るがす最大の痛手を蒙ったのはイェルシー陛下その人となった。
ユーリは聖砂国の変化を確信し、一行は眞魔国への帰還準備に取り掛かる。

やっと再会を果たした有利と村田は友情を確かめあうが、どうも村田には”おにいちゃん”がのり移っているようなフシも?(笑)
コンラッドは少しだけユーリに本当の話をし始める。どうやらヨザック(信頼していた部下であり友人と思っているすべての人間)の、生死と反逆行為に心を痛めてもがき苦しむユーリを目の当たりにし、同じ自分の行為を重ねてしまったようだ。
ヨザックの真実は今のところ不明。心神喪失状態のようでもあり、拘束して連れて帰って治るのか治らないのか・・・。(操られていたのは間違いなさそうだけど)
途中で逃がしたサラレギーも、最後は裏切り無しでユーリに加担。小シマロンの迎えを待つばかりの状態のなか、母と弟への確執は簡単ではないとしても、誤解は”アラゾンの日記”に答えがあるとして、ユーリがいつものようにお節介する。
ヘイゼルは聖砂国に残り、尽くし、骨をうずめる覚悟を決める。
アーダルベルトとマキシーンが残るか否か不明(ユーリは残ると決め付けたが)。
すっかり忘れていたギュンターは”白い鳩”を待ち続けるアブナイ人として異国で入院中。国に残ったグウェンダル・アニシナ・グレタもいつもどおりだけど、無理やり登場させた割には意味があるのかないのか。すれ違ってなきゃ良いが。

今回のイレギュラーな移送原因やユーリの中のもう1人の存在については次回以降へ完全に持ち越し。黒幕で最強か思ったイェルシーは、単に幼さと無知による傍若無人でしかなかったようであり、もっともつまらない幕切れになってしまった。感情移入できるくらいのヒールならばまだマシなのだが、どうも登場人物が増えすぎていて、新キャラはキャラ立ちが難しくなってきているようだ。(ゲストはともかく、レギュラーのおざなり状態をまず何とかしして欲しいのもあるが)。
広げすぎて収取が付かなくなった感の否めない「聖砂国編」。次回はスッキリ纏めて欲しいものである。そんな課題山積のままでの新章は、唐突な新展開から突入させるとのこと。幕間を別枠で発表するといった企画は愉しいけれど、小細工する余裕があるのならば本編をもっとしっかり・・と思わなくもない。また、新章突入の前に番外編『眞マ国より愛を込めて』が発売されるとの事。しかも来月!? 本筋からはなれた会話の駆け引きやユーリの心理描写が相変わらず面白いのは認めるので (ギャグは減る一方で、爆笑はなくなっているが)、反って番外編の方が・・・なんて思うのだが、「まるマ」シリーズとして、長い目でお付き合いするしかないようだと、溜め息を洩らす私である。原作者の喬林さんには、まだまだ「まるマ」で愉しませてくれるよう、エールを送りたいと思うが。

※参考:『砂はマのつく途の先!』読んだ。

追記:眞魔国日報[白鳩電子手紙版]より
7月1日の新刊『眞マ国より愛をこめて』は短編集で、眞王と大賢者がどかーんと出てくるそうだ。『故郷マ(くにま)』と新章との間をつなぐ短編『彼はまだ還らない』も書き下ろしとのこと。

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