「西の魔女が死んだ」みた。
西の魔女はなんて素敵な人なんだろう。自然を愛し、人を愛し、慎ましやかにひとり山奥で暮らす”本物の魔女”に、私も会いたい。
タイトルから、最後は最初からわかっていたけれど、いざその時が来るとやっぱり涙が溢れた。悲しいのではなく、でも、心から泣いていた私だった。(原作は未読)
中学生にして人付き合い(特に”女子”という特殊なグループ)に疑問をもち、自分の素直な気持ちに従った為に仲間はずれとなり、不登校を決めた”まい”は魔女の孫。物語は、リハビリの為にしばらく”魔女の家”に滞在した、ほんの一時の出来事が中心に描かれていた。(注:魔女といっても、=魔法使いでファンタジーなお話ではない)
魔女のもとで”魔女見習い”を始める”まい”。おばあちゃん魔女は、茶目っ気たっぷりながらもちょっぴりしたたか。「魔女とは一朝一夕にはなれないもの。」として、修行の第一歩は「精神・肉体鍛錬」と言う。つまり早寝早起き・家事手伝い等ごく当たり前の生活を送ることをまっさきに提示する。(現代の子供たちが、いかに昔の子供の”当たり前”が出来ていないかが伺われるところだ) ”まい”も、うっかり乗せられて「やってみる。」とできる方法を模索し始めるところが素直だねー。
魔女修行は万事につけてこの調子。”おばあちゃんの知恵袋”がまさに魔法のように感じられてくる。しかし”まい”も魔女の条件の一つとして挙げられた「自分で決めること」については、「結局おばあちゃんに誘導されている気がするんだけど?」と言える位なかなか聡明な子。自分の立場と気持ちをきちんと整理できる頭の良い子だ。確かに魔女の教示は、さりげなく正しき道へと導いているものばかり。けれど常に優しさのなかに厳しさを持ち、突き放したりはしないが、安易に手を差し伸べたりもせず、ただ向かうべき方向を指し示すだけ。だから従う従わないは自由であり、結局決めているのは自分自身ってことになる。魔女は話を聞いて、必要ならば抱きしめて、手助けしながら”まい”を尊重した態度に徹しているだけなのだよね。
鶏小屋のハプニングまでは、とても上手くいっていた魔女修行。でもここだけは”まい”の傷ついた心のケアをしつつも、闇(憎悪)の感情にとらわれることを何より危惧して、”まい”のヒステリーを諭す魔女。「魔女修行」とは、実はそのまま「ひとの道(人道)」を学ぶことでもある。「人」が生きる上でとても大切な事。大人でも難しい闇の感情のコントロールは最大の難関。一度はなんとか押さえ込んだ”まい”だったけれど、蒸し返された時の反抗心は致命的だった。最終的にこのことですれ違ったままになる魔女と”まい”を見るのが辛かった。(それでも、なラストに安堵したけれど)
人と自然との共生ってこういうことなんだなーとも思った。人は自然からほんの少しだけ場所を分けてもらい庭を作らせて貰う。本当はそれで十分なんだね。人は、ありの
ままの自然の力を目いっぱいおすそわけして貰う為の知恵と知識を持つわけで、生かすか殺すかはその人間次第。魔女の住む家の庭は雑然と一見不規則に見えるけれど、自然の
力を最大限に生かせるように手が加えられた、見事な庭だった。魔女ってすごい!
おばあちゃん魔女役:サチ・パーカーさんの、穏やかでゆったりとした口調での上品な日本語が心地よく、あたたかな気持ちになれる作品。”まい”には自分の体験を重ねて頷けるし、魔女には理想の未来像を見て憧れる。私には、共感しまくりで「うわ~っ」てなる作品だった。
総評:★★★★☆ 好き度:★★★★★ オススメ度:★★★★☆
主題歌の手嶌葵ちゃんの透きとおった歌声もぴったりだった!
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----これって鈴木香歩原作、
100万部を超えるベストセラーの
映画化だよね。
シャーリー・マクレーンの娘が出ているんでしょ。
「うん。サチ・パーカーね。
2歳から12歳まで日本に住んでいたというだけあって、
その言葉は流暢。
でも、それも含めて感心したのは、
この映画は、よく聞く“完全映画化”という言葉を
そのまま当てはめたような作品だっていうこと。
実は観ていて
これはもしかして原作を一行も改変していないのじゃないかと
ありえない錯覚に捕われてしまった。
後で本をめくり直して
それは、大いなる... [続きを読む]
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» 【西の魔女が死んだ】 [日々のつぶやき]
監督:長崎俊一
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「魔女が倒れた。
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» 西の魔女が死んだ [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
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» 【映画】西の魔女が死んだ [新!やさぐれ日記]
■動機
りょう
■感想
「魔女」が支配する緩やかに流れる優しい時間
■満足度
★★★★★★☆ いいかも
■あらすじ
中学生になったばかりのまい(高橋真悠)は登校拒否になり、大好きなおばあちゃん(サチ・パーカー)の住む田舎で過ごすことになる。日本に長年住むイギリス人のおばあちゃんは、西の魔女と呼ばれていた。まいはおばあちゃんから魔女の手ほどきを受け、何でも自分で決めるということを教わる。
■コメント
この映画を見ようと思ったのは主演の第三世代担当の高橋真悠が気に入ったからでも、第... [続きを読む]
受信: 2008/07/01 23:18
» [映画]西の魔女が死んだ [落とし穴には気をつけろ!]
試写会に行ってきました
簡単に言うと、登校拒否の都会の少女まい(高橋真悠)と田舎に住むおばあちゃん(サチ・パーカー)との心の触れ合いのお話です。おばあちゃんの家は、森の中の一軒家で、敷地の中には深い森や野イチゴの原もあったりして、ステキなんです。おばあちゃんがイギリス人なのがポイント高くて、ハーブを生活に取り入れたり、家具がカントリー調だったりして、赤毛のアンみたいなオシャレ〜な生活なのですよ(アンはアメリカ人だけどさっ)
まいの心を癒すのは、自然の美しさだけではなく、「西の魔女」=おばあちゃん... [続きを読む]
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コメント
たいむさん、こんばんは。
たいむさんの感想は、わたしが原作を読んだ時の感想と、
とても似ている気がします。
一読して、とても好きになった原作に描かれたものが、
映像化で損なわれてない証拠なのでしょう。
映画は映画、原作とは別物だと、原作物を観るたびに思うのですが、
もちろん、別の作品ではあるけれど、とてもよく似た双子のように、
どちらに出会っても、同じような印象を受け取る、稀有な作品なのだと思います。
文体の語り口調に慣れるまで、少し違和感を感じないではないですが、
すぐに引き込まれ、ちょうど映画と同じくらいの時間で読めてしまう原作、
どうぞ、一度お読みになってみてください。
投稿: 悠雅 | 2008/06/30 20:40
こんにちは。
「魔女」=おばあちゃんの言葉の一つひとつが身にしみました。
なんだか、自分も諭されているみたいで…。
もっと、きちんとしなければと、
我が身を振り返って反省しきりです。
投稿: えい | 2008/07/01 10:39
たいむさん、コメントありがとうございます!
おばあちゃんのまいとのかかわり方が素晴らしくいいですよね~こういう風に子供と接するのが正しいんだ・・と気づかせてくれました。
自然と触れ合ってシンプルに生活することが心にも栄養をくれるんですよね~
それまでの関係が良かっただけに二人の別れ、そしてまいがきっといつか謝ろうと思っていただろういつかが来なかったことがとても切なかったです。
心温まるいい映画でした♪
投稿: hito | 2008/07/01 18:15
■悠雅さん、こんにちは
まず「働かざるもの喰うべからず」であり、学生の本分を忘れさせない極普通の、それこそオールドファッションな教育をしているんだなーって思いました。そこには、楽しく人生経験を積ませることも含まれていて、なんて素敵な教育方針なのだろうって思いましたし。
魔女の力は本当かもしれないし、興味をそそる為の作り話かもしれない。どっちでもいいやって”まい”が受け入れたから、魔女修行になっただけですよね。
ゲンジさんの件は展開としては誘導的だったけれど、愉しい事ばかりではないのが人生。いろいろなモノが詰まった作品で素晴らしいと思います。
心に留めておきたい言葉がたくさん。また、描かれなかった部分を小説で確認したいです。
■えいさん、こんにちは
>なんだか、自分も諭されているみたいで…。
そうですね~。
今ならば素直に頷けることも多多。
あのようなおばあちゃんが私も欲しかった~~
■hitoさん、こんにちは
やはり子と孫は違うのでしょうか(笑)
お母さんはおばあちゃんの娘なのに、ほんの少しズレた感じがしましたよね(^^;
おばあちゃんも、元来かなり頑な性格なのだと思い、だから、メッセージしか残さなかったのかな?なんて思ったりもしました(^^)
素敵な作品でしたねー。ぜーんぶハッピーじゃないところも含めて私は大好きです!
投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/01 18:21
原作を読んで泣きました。
映画は近くで上映していないのもありますが,
泣きそうなのでレンタル待ちにします。。
私事ですが,携帯小説サイトに自伝エッセイを発表しました。
お読み頂ければ嬉しいです!
投稿: AKIRA | 2008/07/02 12:05
■AKIRAさん、こんにちは
ご近所で上映されていないのですか~~。
めずらしく、原作を読んだ人にも高評価なデキになっている映画とのことですし、レンタルでは是非に!
>自伝エッセイ
おお、なんかスゴイですね。後ほどお邪魔させていただきます!
投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/02 21:01
こんばんは♪
サチ・パーカーさんは、私はこれまで全然知らなかったのですが、とてもステキですね。
それにしても、TVのニュースで見たら、おばあちゃんというのが失礼なほど若々しい女性だったのにはびっくりしました。女優ってスゴイ。。。(^_^;)
投稿: アビ | 2008/07/03 21:51
■アビさん、こんにちは
>おばあちゃんというのが失礼なほど若々しい女性
へぇ~。見なかったです!残念!
ほんと知的で上品な方でしたねw
投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/04 20:02
たいむさん、こんばんは!
とても素敵なおばあちゃんでしたよね。
まいの存在をすべて受け入れて、褒め、諭し、導いていく。
彼女の魔女修行は、特別なことではなくって、人が健やかに生きていくための方法なんですよね。
おばあちゃんのメッセージ、最後まで孫が怖がらないようにと気にかけているおばあちゃんの姿が浮かび、泣けてきました。
投稿: はらやん | 2008/07/05 20:48
■はらやんさん、こんにちは
>人が健やかに生きていくための方法
おばあちゃんなりの教育方針でしたねw
あの年頃はなかなか難しいものですが、、それでも祖母と孫の確かな絆が素敵な作品でした!
投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/05 23:36
自然の美しさとおばぁちゃんの言葉に
癒される作品でしたね~。
あの言葉の数々は自分の引きだしに
締まっておきたい思いでした。
まいが去った後の彼女を思うと哀しい気分でしたが
子どもの残酷さも受け止め最後まで無償に愛をしめした
ラストにはもう爆泣きしてきました~。
いい作品でしたねぇ~(涙)
投稿: くろねこ | 2008/07/08 00:49
■くろねこさん、こんにちは
>自然の美しさとおばぁちゃんの言葉
コレだけでまず文句なしでしたが、やっぱり会わずに逝ってしまったのは残念かな?心だけは繋がってましたけど。
本当にいい作品でしたねー(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/08 20:30
たいむさん、こんにちは。
私もやっと見ることが出来ました(><)
派手な内容ではないものの、凄く心に染みました。
おばあちゃんの強要しないのに正しい道へ導くスタンスは
「上手いなぁ」なんて、ついつい思ってしまいます。
まいも誘導されちゃってることに気がついている点は、
さすが血族、スルドイなぁと思いましたけどね(苦笑)
あと、規則正しい生活の中で、たまに夜中にクッキーを
食べちゃうようなイタズラ心も、おばあちゃんに愛着を
持ってしまうポイントなのかも。。。(計算だったらコワイ)
投稿: GAKU | 2009/01/24 08:39
■GAKUさん、こんにちは
素敵なおばあ様でしたよね。
すれ違ったままだったのがとても残念だったけれど、気持ちは通じていて。。。(泣)
誘導はほんとうに見事。誘導される方も分かってて誘導れるってイイ関係です。
>夜中にクッキー
規則破りの愉しさ。
大人が規則を破ることの価値ですね(^^)
飴と鞭は使いよう。でも使い間違えると・・というお話でもありました。
しみじみ良い作品でしたねw
投稿: たいむ(管理人) | 2009/01/24 16:24
上品でありながらお茶目でもあるこのおばあちゃん。
こういうおばあちゃんって『サマーウォーズ』の陣内栄おばあちゃんなどと同じで自然と周りに人が集まってくるんでしょうね。
投稿: にゃむばなな | 2011/01/27 21:09
■にゃむばななさん、こんにちは
栄おばあちゃんともまた違った魅力のおばあちゃんでしたが、素敵で羨ましく思ったものです。
見習いたいものですが・・・
投稿: たいむ(管理人) | 2011/01/30 09:34