アニメギガ(14)~アニメ監督:出﨑統
第14回目のゲストは、出﨑統さん。『あしたのジョー』はじめ、多数の名作を手がけられているアニメーション監督。若い頃は貸本漫画なども描いていたが、一度は企業に就職。しかし、『鉄腕アトム』に魅せられてアニメ業界に入られたとの事。あっという間に頭角をあらわし、2年目には「アトム」の絵コンテを担当。以降常に第一線で活躍する、もはやアニメ界の重鎮とも言える位置付けで、ご高齢ではあるがまだまだ現役!本当にお好きなんだなーとの印象を強く受けた。
自分の大好きなキャラクターだったり、好きな仕事の話をする時は、目がキラキラと輝いて、なんとも愉しげに語られる。趣味が仕事というか、好きで好きでたまらないから仕事をしているといった感じだ。
技術的功績も多々あり、同じカットを何度も繰り返して強調させる「3回パン」、意図的に斜め上から光を射し込ませて自然のスポットライトを当てるかの「入射光」、劇画タッチのカットに切り替えて一旦静止させる「止め絵(ハーモニー)」など、現在のアニメでも多様されている手法の生みの親である。アニメという動画としては一見禁じ手のような手法ではあるが、そもそも「映画が創りたかった」とおっしゃる監督で、何でアレ妥協も、媚びも、言い訳も一切しないスタンスが生み出した手法と言えそう。
実は、これらが「出﨑演出」だと知らなかった私。最近でこそ監督やスタッフをチェックするようになったが、正直言って出﨑監督は名前と作品が一致しないくらいで、認識も浅かった。しかし、「劇画の止め絵」によってドコドコと記憶から作品が浮かび始め、繋がる嬉しさでいっぱいになった。ごく最近で言えば、『劇場版CLANNAD -クラナド-』だろうか。そういえばアチコチに挿入されていたよね、劇画タッチの止め絵がたくさん!それより何より『宝島』!未だに「いたんだよ、俺のシルバーがっ!」で止まった絵が目に焼きついている。子供だったし、可愛らしくない作画が好みではなかったが、名作劇場ではベスト3に入るほど大好きな作品だった。(ちなみに『家なき子』とワンツーである)。なんだか子供の頃から(そうとは知らず)出﨑作品を好んで見ていたのだと知り、びっくりである。
力石徹、ジョン・シルバー、エイハブ船長。豪快だけど人望厚き好人物といった共通点と似通った面差しはどうも確信犯らしい。監督が惚れ込んでいる3大キャラだそうだ。指揮官とは、全てを擁護し、全てに対して責任を負う覚悟を持つ者であり、TOPたるものそうでなくちゃイカンという確固たる思いが監督にはあるようだ。3大キャラは理想像に近いけれど、ご自身でも常にそうありたい心がけられている旨が語られた。作品が面白くない等の低評価は、「全部が監督のせい。」と言い切った事を好ましく思う。(逆はみんなで分かち合うと信じるがw)
昔のアニメつくりと今のアニメつくりでの違いについて、昔は一つ一つにもっと魂がこもっていたように思うとおっしゃる監督。現在は、ハリウッド映画『ウルトラヴァイオレット』(ミラ・ジョヴォヴィッチ:主演)のアニメ化、『ウルトラヴァイオレット コード044」を制作中とのこと。ハリウッドからして『攻殻機動隊』の”草薙素子”を意識している風だけに、アニメとなると更に比較のハードルが高くなりそうな気がするが、監督曰く、手ごたえは非常に良いとのこと。アクションだけで10分などと、ロボットモノでも滅多に見られない荒行を強行する予定もあるとかないとか。個人的にキャラ作画が好みじゃないが、放送が開始されたらちょっと見てみたい気がする。
出﨑監督には、いつまでもお元気で第一線での活躍を期待したいと思う。(どうもご自身の生命の源が現役であることのような気がするので)
次回のゲストは、声優:宮野真守さん。放送日は未定。(どこかの水曜日で 00:00~00:39 [BS2] (再放送:同日18:00~18:39[BShi])は決定事項)
これで第1回・第2回、声優アワード最優秀賞受賞者の揃い踏みだね。
追記:放送日決定
2008/7/2 水曜日(火曜深夜)午前0:00∼0:39[BS2]
2008/7/2 水曜日 午後18:00∼18:39[BShi]
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