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2008/05/19

PASH!アニメーションファイル01「おおきく振りかぶって」

Ohfuri 「PASH!」という意外?なところから発刊されたムック本。原作漫画は少年誌の掲載でありながら、「おお振り」が如何に(いろいろな意味で?)女性にウケていたかを物語るというもの。
「PASH!」としてもはじめてのアニメムックのようで、№01が輝かしい。思うに、方向性としては手探りな第一弾か?作品に忠実というか、当たり障りのない真面目な纏め方。良く言うならば、絵と字のバランス・比率は悪くなく、オールカラーも美しく、隅々にまで目を 行き届かせた詳細な解説付きでの作品再現には感心するところ。しかし辛口で言えば、見たまんまをおさらいしているだけでやや面白みに欠けるとも言えそう。

出来る事ならば、単なる第3者の視点になりきるのではなく、例えばファンと同じ目線に下りて語ってみるとか、逆に編集者らしい視点からの鋭い突っ込みや解説を入れたり、ファンでも気が付かないような発見を探し出して欲しいところでだった。ムック本として悪くないだけに非常に惜しく思うところ。某「ぼくらの・・・」シリーズのような、編集者の主観(のみ?)で書かれた、時にとんでも解釈でも堂々と掲載しちゃうようなムックも如何なものではあるけれど、あれはあれでソコが面白いというか、”フィルターのかかった”ファンでは思いつかないような、素人的な反応が逆に新鮮だったりして愉しかったりするのだよね。ありのままで正しい解説も”ファンブック”としては大切だけど、洞察力の鋭いブログさんのレヴューや考察のほうがずっと面白い・・なーんてことにならないように、「02」以降続く作品では「プラスα」に力を入れて欲しいと思う。

初出しインタや対談記事は、どちらもたっぷりだったので満足♪。「代永×中村×下野」など、西浦メンツの対談は何度と無く見てきたけれど、松風さん・杉山さんというライバル校の選手役の登場は気が利いていた。代永君はまだどのインタでも同じなのだけど、段々やり取りが上手くなっているような気もする(最初はド新人さんだったもんね)。同時にどんどん三橋化(周囲の反応をうかがうような)しているのもわかるよーな、そんな感じ(笑)。松風さんから「最近じゃ、(代永君の)キョドリ方がちょっと計算って噂だけどー」ってツッコミはいるくらいだし。(勿論本人は否定)
そして、ハマちゃん役の私市さんとモモカン早水さんという意外な組み合わせでの対談もGOOD。唯一ともいえる野球経験者である私市さんの苦労話など多く語られていて面白い。
一番面白かったのはやはり水島監督ら制作陣のインタだね。こちらも様々な媒体で何度となく語られているけれど、今回のキャラ別相性について監督個人の解釈が聞けたことがとても良かった。必ずしもひぐち先生の意向と一致しているとは限らない(かもしれない)半分想像のキャラ像。とはいえ概ね私の解釈とも一致。だけど、「阿部は”俺は天才”だと思っているタイプ」などとパシっと言い切るところがさすがはアニメ監督だ。私としても、阿部は自分が優秀であることを自覚する人間で、でもそれは見合う努力を当たり前のようにこなしている阿部には当然のことであるから、自慢はしないがかといって謙虚でもないタイプ、と捉えていたし、さすがに「天才」とは自分でも思っていないだろう~ってね。うーん、甘かったか!(笑)
阿部と三橋の距離感であり、三橋と田島の関係性などは誰が見ても似たような印象になるだろう部分は同じだし、人使いの上手いモモカンの評価についても、きっと誰もが同意するところ。実は栄口と三橋は似たタイプ、というのも分からないではない。微妙なのが花井と阿部の関係か。事実上試合を組み立て扇の要となるのがキャッチャーの阿部。けれど主将花井を中心として纏まってきている西浦ナイン。確かに亀裂が入るとチームとして一番良くない方向へ向かってしまう心配な部分かもしれない。けれど今は田島をライバル視している花井で、主将として誰もが納得する結果を出してチームに貢献することが自分の務めとして専念している状態。チーム全体(というか三橋?)を考える”策士阿部”には一目置いている感じでもあるし、花井が経験を積んで自分に納得(もしくは開花)して余裕が出来るまでは、パワーバランスも安泰ではないか?と私は思うが・・・。三橋のことでは阿部に同情する花井との会話からも、2人の相性は悪くないと思っていただけに、監督の、先を見越した懸念(分析?)には恐れいりました、といったところ。とはいえ、命令口調の阿部はともかく、花井はそうではないから大丈夫でしょう、とも言われていたけれどw
ところで、未だに原作を毎月チェックいるという水島監督。桐青戦以降の原作を読みつつアニメでのカット割りや魅せ方を考えてしまうとのこと。それには単に「職業病」と言われていたけれど、2期目もやる気満々といった意気込みが感じられてなんだか嬉しくなる。なんとか実現して欲しいところだが、、、この時点での原作ネタバレはいかんです!私も突発事故でネタバレを目にしてしまったけれど、阿部の怪我はまだ単行本化されていない先の話なんだよね。(5/23発売の10巻には収録されているかもしれないけれど)

キャラ作画の吉田さんのインタで興味深かったのは、キャラをランダムに配置するのではなく、日常がそうである様にやはり気の合う仲間同士を隣り合わせにしたり、接触加減を調整する等の配慮を意図的に施していたというところ。また「10人で西浦だ」として、出番の少ない西広のようなキャラも出来る限り組こむようにするという気配りは嬉しい。また、泉が、実は影ながら田島に対してコンプレックスを持っているのでは?という吉田さんの個人的見解は興味深かった。(特別作画には反映はさせていないとのことだが)
アクション作画の谷口さんの「満足度は100%、でも出来は20点。」という自己採点には、「えー、自分に厳しいナァ~」と思うけれど、プロとしてのこだわりと根性は見習いたいところ。リアルにこだわった作画は、漫画にはないフォームの流れを補うという苦労の多い作業だったようだ。選手の個性とイメージにあわせて、実在のプロ野球選手を参考にしつつ決めていったそうだが、結局は「三橋は三橋投げ」、「田島は田島打ち」といった”オリジナル”に落ち着いたらしい。”投球フォーム”については、コーナーで詳細に解説(分析)されていたけれど、コマ送りを見ても、本当に自然で見事だったと思う。名前だけ登場したライバル校の選手達の動く姿もみたいところだね。

終わった作品のアーカイブなのだけど、その先を夢見てしまうような内容も収録されたムック本。いきなり「面白みに欠ける」と斬りはしたが、ちゃんと楽しめる正当派ムック本だったと思う。なにやら”オトナアニメ”の「洋泉社」からもファンブックが発刊されるとの事。こちらは単行本サイズで1780円(5/28発売予定)らしい。
「似たようなモノならいらない」といった後発不利を思うが、それこそ別角度からの解説ならば一見の価値ありか?(ファンの弱みだよなぁ) でも、どなたかのレヴューを参考にしてから考えることにする。

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コメント

こんばんわ!
ご無沙汰してます。
よく携帯からストーカーしてます、すみません(^▽^)
やっとムック買えました~
はぁ、良かった。
たしかにうまーくまとめてありますねぇ。
でもソロソロもういいかな、って気分にさせられるというか。カラーピンナップもすべてPASH!本誌でそろえていたし…
おお振り特集の雑誌を買い漁りすぎたかな、と思います。

阿部の怪我!
ダメでしょー監督!!!
そしてそれがコミックス派は知らないということを、きっと編集者はわかっていない=最新刊やアフタを読んでいない
ってところまでわかっちゃうんだよな、編集者さん!(泣)

>泉が、実は影ながら田島に対してコンプレックスを持っているのでは?という吉田さんの個人的見解
なんかそれらしき描写が本誌に少し出てきたので、この人すごい観察力だなぁと思いましたね。
(きっとインタビューしたときは本誌発売されてないと思うので)
全然そんなこと思ってなかったので。
やっぱり「ちっちゃい」者同士だからでしょうか。俊足もあるかもしれないですね。

それにしてもやっぱり監督のインタビューは1番面白いです。
あ、阿部と花井の仲に亀裂は入らないと私は個人的には思うんですけどね。まぁ、長い作品になればひと悶着あってもおかしくはないと思いますけど。
二人は似てますからね。
だから25話のとこで、三橋寄りの泉は安部を見て「えばってるな」と思ってて、阿部寄りの花井は「耐えてるなー」と思ってる。
おもしろい対比だなーと思いました。
声優は私市さんがすごく新鮮で良かったです。
あとの人は、これでもかってくらい振り特集をかき集めた結果、同じことを何度も答えてくれているので…(苦笑)


長くなりましたが最後に、3周年おめでとうございました!
なんだかタイミング逃してしまって書き込みできないままでした。
遅くなってごめんなさい。
これからもたいむさんの素敵な考察を楽しみにしています。

投稿: きりん | 2008/05/22 23:41

■きりんさん、こんにちは
文字数制限のないのココログって良いでしょ(笑)

>おお振り特集の雑誌を買い漁りすぎたかな、と思います。
そんなに集めていましたか!原作派だったきりんさんにアニメを薦めたひとりとしては、その嵌りようが嬉しいですが、当の本人はDVDすら買わないようなヤツだったりするのにね(爆)・・うそうそ、これからそろえるつもりになってますよ(^^)
2クールしかないし、被るのも当たり前でしょうか。特に声優がアレらですし、聞いたことがある発言の繰り返しになってますよね。DVD13巻のブックレットもみーんな同じようなことばかりでしたしね。(じゅんじゅんだけ経験値の違いを見せてくれたように思いましたが)
この頃の中村さんは開き直って、意図的に阿部を腹黒くして、とにかく笑いを取ろうと画策しているように思いますが、どうですか?

本は本当に良く出来ていてお買い得と思います。一冊でちゃんと網羅できますしね。手に入ってよかったですね。品切れ続出だったみたいだし。もう一つはどうします???(笑)
あ、DVDも予約されたんでしたっけ?

>きっと編集者はわかっていない
ああ、なるほど。監督も監督だけど、編集さんの配慮も浅かったのか!
かなりショックな出来事だし、このネタバレは「きゃー」ですよね。(私がそうだったから)
せめて10巻に怪我が収録されていてくれるといいのだけど・・・といらぬ心配をしてしまいます(^^;(明日やっと読めます!)

>なんかそれらしき描写が本誌に少し出てきたので、この人すごい観察力
へぇ~、そうでしたか。
私も思いもしなかったナァ。でも、三橋の家での阿部の話から田島を「それほどのヤツなのか?」と疑問に思うあたりには、泉はまだまだ自分に希望を持っているヤツなんだなぁ、って思いましたけど。

阿部と花井には、私も同類の匂いを感じてました。最初に阿部が花井を踊らせることが出来たのは、よくわかるから、と思ったし。だからこそ何かあれば同族嫌悪もあるかもしれないと、監督発言から思いはじめたところです。
雑誌を追っていない私では、監督やきりんさんより情報不足ですから、この辺はお許しを。

>3周年おめでとうございました!
どうもありがとう!
SEED仲間の脱落が多い中、ずっとお付き合いを続けていただいて感謝しています!

社会人一年生は何かと大変でしょうが、影ながら応援しています。しっかりアニメにも食いついているようですし(笑)
こちらこそ、末永くよろしくね(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/05/23 19:05

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