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2008/03/12

『図書館内乱』 有川 浩 〔著〕

Libralywer2『図書館戦争』シリーズの第2弾『図書館内乱』も面白かった!
今度は短編5篇で構成されているが、連続する続編の数々というもの。時系列を乱すことなく現在進行形で続いている事件、突発的な事件をベースに、堂上班各メンバーや柴崎にスポットを当てた形で描かれている。事件は図書館内部(がらみ)から勃発するものばかりで、また個人攻撃など内輪的な要素も強く、「内乱」とは上手いネーミングと思う。
1章は、郁の両親訪問(査察)。2章は、小牧の恋話。3章は、柴崎の素顔。4章は、手塚家の確執。第5章は、陰謀?!に巻き込まれる郁、そして遂に王子様の正体を知る郁、というもの。
(以下、「王子様」の正体などのネタに触れているので、ご注意を。)

内容と展開は、今回も変わらず既知感に溢れている。特に小牧の、兄妹的幼なじみからLOVEへの発展ストーリーは、まんま少女漫画 で散々書き尽くされている物語。しかし、コレは前回も書いたことだが、どれも嫌いじゃない♪。むしろ好きだからその手の作品を良く知っているのだと思う次第(^^)。
今回は次々に発覚するアレコレだったり、メンバーの変化や成長が感じられるのがとても嬉しい。キャラクターに厚みが増した。
これまでの経緯を含めた日常会話も楽しい。特に小牧と堂上の言論、気の置けない男同士のやり取りはモロに私のツボ。「毬江」と「郁」の話が同じ土俵に上がること自体、もはや(^^)・・・であるし、相手が饒舌で正論者の小牧では、最初から勝負はついていると分かっていながら食い下がらずにいられない堂上が何ともカワイイ。(ニヤニヤしながら読んでしまうところ。) 更に、堂上・小牧コンビに手塚が加わったトリオもGOOD。
郁を通して「王子様」と闘う堂上は見所のひとつ。堂上にとっても眩しかった5年前の郁。けれど及んだ行為に悔い無しといえども、その後の経緯から郁を「姫」とはしなかった堂上。郁に対する評価と感情は、上官としても個人としても、現在の堂上のものに他ならない。過保護が恋愛感情によるものなのかは今のところ定かではないが、憎からず思っていることは間違いない(自分を慕って入隊するようなバカが気にならないわけがないってねw)。これまでの郁の赤面モノの発言や堂上に対する暴挙暴言の数々。こと「王子様」に関しては感情的になる堂上の様子からも、まず一筋縄ではいかないカップルだろうが、いずれはきっと鞘に納まるだろうと期待しつつ、成り行きを見届けたいと思う。
柴崎の周到さは、必要から身につけた自己防衛・処世術だった。しかし柴崎にとって、裏表の無い郁との出会いはかけがえの無いものになったようだ。郁の存 在は確実に柴崎の意識を変えている。柴崎にとって最高の味方で最大の弱点となった郁。今後も適度な距離感を取りつつ・・・だろうと思うけれど、良き関係でいて欲し いと思う。
さて、新キャラとして登場したのが手塚の兄:慧。しかし”図書館&タクスフォース”最強の敵となりそうなキケンな奴とはね(^^;)。手塚の入隊理由が”大好きな兄”との決別だというのだから穏やかじゃない。入隊当初の手塚の刺々しさも理解できるというもの。今はすっかりクダけたかの手塚で、優秀かつユーモアの分かる好青年へと変化。傍からみればエリート路線まっしぐらな手塚だが、手塚には手塚なりの事情や苦労、葛藤を抱えている。更に”自分の為に他人が巻き込まれ傷つけられる痛み”を知った手塚の闘いは始まったばかり。辛く厳しい日々が続きそうだ。・・っと、そういえば柴崎!利害の一致から密かに協力関係を結んでいた2人。同じ痛みを味わい、なんだか弱みまで見せ合っちゃった2人に発展、って何なにぃ?? こりゃ柴崎風に言うならば、”長期ウォッチ物件”だよね?(笑)
最後にヒロインの郁。コレまでの暴走のツケを一気に請求されたかのように、過酷な状況へと追い込まれてしまった。(郁の純粋さが踏みにじられる卑怯な手段には誰もが黙っちゃいないが。) 郁も(堂上の根気強い教育の賜物で?)何とか”瞬間湯沸かし器”を抑えられるだけの知識と忍耐力を獲得したようだが、まだまだ危なっかしくて隙だらけ。(査問の時は、「堪えろ!頑張れ!ボロだすな!」ってハラハラしながら応援しちゃったわ。さすがに”エスパー”には爆笑だったけどw)。タクスフォースのウィークポイントであると同時に手塚や柴崎と親しい友人の郁は打ってつけのターゲット。今回はなんとか凌いだものの、敵は手を換え品を換えて”図書館&タクスフォース”を襲ってきそうな予感。(長期化しそうな攻防戦だなぁ。なにせ内側の猫を追い払ったら、虎を呼び込んでしまっていたしね。まさしく「図書館の明日はどっちだ」だわ。)
最後の最後、一連の事件の果ての追い討ちのように「王子様」の正体を知らされた郁だが・・・「内乱」では、激しく動揺するところまででお終い(><) 同じであって違う2人の「堂上」。それぞれに尊敬し、慕い、目標とした郁。次巻でどう折り合いをつけるのか見もの。早速『図書館危機』に取り掛かることにしよう♪

すっかり気に入ってしまった「図書館戦争シリーズ」。感想の長さでもうバレバレか。(一種のバロメータだもんな、私の場合。そしてこうなると読んだ人にしかわからないような、分析的感想になっちゃうんだよね・・^^;;)

※『図書館戦争』の感想は こちら 

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コメント

いいですね~スッカリはまっています♪

今回は手塚や柴崎達の視点から郁を見れたのがかなり良かったです!いい子じゃないですか~郁!!

私も小牧と堂上の会話好きです~ビール片手に男同士の会話がいいんですよね~

手塚兄の登場も面白いですね。とうとう王子様バレてしまったし~

別冊1&2とレインツリーも購入しましたので、今後が楽しみです!

投稿: hito | 2008/10/21 09:44

■hitoさん、こんにちは
私も郁が苦手だっただけに、hitoさんの感想も良く分かったのですが、読み進んでうちに変化した自分でもあり、hitoさんもそうだといいなって思ってました(^^)

郁と堂上だけでなく、周りのキャラがみんな魅力的なのですよね。嫌いなキャラクターがいない本って大好きです。

既に全巻お買い上げ??(笑)サクサクっと読める本だから一気かもしれませんねw

投稿: たいむ(管理人) | 2008/10/21 18:23

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