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2008/03/06

『図書館戦争』 有川 浩 〔著〕

Librarywar 4月から”ノイタミナ”の枠ではじまるアニメーション『図書館戦争』。Production I..Gの制作であり、ボイスキャストに石田彰さんが含まれていることから興味がわき、調べてみたらなかなか面白そうそうな原作。「オススメ」ともいうことで、早速読んでみた。
正義の味方の如く颯爽と現れ、自分と本を救って去っていった図書隊の「王子様」の後を追っかけて、同じ道を進んでと図書隊員になっちゃうような単純かつ一途な女の子がこの物語の主人公:笠原郁。まっすぐ過ぎて無鉄砲、思慮の浅さから暴走すること数知れず・・でありながら、仲間や教官・上官の叱咤激励と経験で、(一応)使える隊員に成長していく物語、になるのかな?

なんともありきたりなキャラクターとストーリーだが、図書館が武装組織を有するなど、時代背景や諸設定は斬新かつ面白い。また、ドタバタ劇には一気に読み進めたくなる勢いがあり、気の利いたオチで大笑いする場面もしばしば登場。ただ、社会人を描いた物語でありながら、内容がどうも中高校生程度のレベルでしかないのが玉に瑕。(ひとえに郁の”バカさ加減”が原因だろうけれど。) 政治的な対立と仕組みでなんとか大人でも耐えうる作品といったところだ。
主人公:郁を取り巻く主な人々は、直属の教官:堂上、同じく教官の小牧、上官の玄田、同僚の手塚、同期でルームメイトの柴崎の6人。どのキャラも個性がはっきりしていて分かりやすく、同属嫌悪?からそりが合わない堂上と郁、明らかなる能力差から郁に納得が行かない手塚、内々のトラブルでは温厚で緩和剤的存在の小牧、郁の理解者でありながらも、的確な指摘で甘やかさない親友の柴崎、洒落の通じる豪快な責任者に玄田といったありがちな相関関係と役割分担で意外性はほとんど無いと言ってよい。(公式では、笠原郁:「熱血バカ」、堂上篤:「怒れるチビ」、小牧幹久:「笑う正論」、手塚光:「頑な少年」、柴崎麻子:「情報屋」、玄田竜介:「喧嘩屋中年」となっている)
また、教官として郁に厳しく接しながらも、危なっかしい郁を見守るかの堂上であり、能力的には数段劣る郁だが、やがて郁を仲間と認める手塚、理解ある上官や痛いところを突く親友もよくある設定で新鮮味がない。
更に、郁の憧れであり、目標である「王子様」。最後まで登場しないことはしないのだが、どう考えても最初から一人しかいない。ネタバレ心中は面白いものだが、すべてが予想の範疇であり、もう一工夫欲しいところだった。
・・・と辛口評だが、嫌いじゃない。特に”小牧”のキャラは多いに気に入っている。”温厚柔和な人”というよりは必要以上に優しくない、どちらかというと”曲者”なところに(私の)ポイントが高い。良くあるパター ンでの小牧の立ち位置なら、堂上や手塚と衝突する郁をフォローしたり、慰めたり、何気にヒントを与えるような、誰にとっても素 直に話せる相談役。しかしこの小牧は笑い上戸で物腰は柔かいが、ニッコリ笑って突き放すタイプ。フォローはするが必要以上に世話は焼かないし、誰に対しても「自分で決め ろ・考えろ・やらせろ」として、本質は堂上以上に辛辣でストレート。・・・実に私好みだ(笑)
それはともかく、郁の入隊から、最初の一山を越えるところまでが描かれた『図書館戦争』。剣呑な事件や小競り合いと、その合間に起こるラブコメディではあるけれど、どこか読者を引き込ませるだけの”パワー”があるように思う。軽率で浅はかな「熱血バカ」の郁には感情移入できない私だけど、「早く続きが読みたい」と思った。
絶賛はし難いが、面白い読み物としてなら、確かに私も「オススメ作品」と太鼓判を押せそうだ。この勢いのまま残り3巻を読もうと思う。(あわせて6000円以上の出費はカナリ痛いが。)

ところで、アニメでは石田さんが小牧役ということで、すっかり石田ボイスで読む私だが(小牧好きは相乗効果かw)、ほんと石田さんはこの手の役がぴったりだと思う。(有能で主人公キャラと対等の力を持ちながら、熱血バカには適わないスーパーサブ・・・今回は若干違うけど。) 「直情熱血バカ」より「冷静な視点(秘めたる熱き想い)」を持つ者に感情移入する私なので小牧や堂上への注目度は必然的に高くなる。再び揺れる堂上だが、現在は変化球を習得した理想的な教官で魅力的。小牧の次に気に入っているキャラだ。ということで、小牧と堂上のやり取りはアニメで一番期待するところになりそうだ(^^)(結局ソコか、と独り言・・^^;)

※アニメの公式サイトは こちら 

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コメント

こちらにも・・・。
このシリーズ大好き~~☆☆
堂上がタイプです。
(最近ツンデレ好きなの)
でもね、堂上は身長が低いのよね。
そこだけがネックなの。
ご存知のように私の場合身長で人を見るところがあるから(爆)

投稿: ミチ | 2008/03/09 11:56

■ミチさん、こんにちは
わー、さすがミチさん!これも守備範囲ですかw

堂上、いいですよね(笑)
ツンデレもそうだけど、アツくてデキル(賢い)ひとって大好き。(千秋とかもそうよねw)
でも今回は小牧♪単なる優しい人じゃないところが気に入った。私も正論好きだしー(笑)

今、「内乱」の途中まで読み終わってます。既に終わっているシリーズで、何でもかんでもまるく収まりそうな気もするけれど、堂上班+αはみんな好きだから、予定調和でもなんでもハッピーエンドを期待しちゃってます!

投稿: たいむ | 2008/03/09 13:17

由香さんところから、来ました。
このシリーズ、最高にいいですよね。
登場人物、一人一人がいとおしい。
『別冊図書館戦争Ⅰ』まで読んだので、Ⅱを楽しみに待っています。

投稿: | 2008/07/23 20:48

■花さん、こんにちは
とりあえず『別冊Ⅱ』で(またしても)一区切りになるようですが、サイドストーリーの短編でもかまわないから、延々と続けて欲しいシリーズですよね。

8月9日が待ち遠しいですね!

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/23 22:02

こんばんは!
たいむさんはシリーズのファンでいらっしゃるんですね~
これは、どんどん面白くなるタイプの作品なのかしら?
私は荒唐無稽な世界観にのれませんでしたが(汗)、キャラクターの描き方は結構ツボでした。
郁と堂上の今後がスッゴク気になります。
郁が自分の憧れの君の正体を知った時の反応が知りたい~~~(笑)ウズウズ
続編も探して読んでみたいです♪

投稿: 由香 | 2008/07/24 21:43

続けて失礼します。
最近コチラのTBが反映されないようです。
どうもスミマセン・・・
回復したら、またTBさせて下さいね!
ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。

投稿: 由香 | 2008/07/24 21:45

■由香さん、こんにちは
これはどんどん面白くなるタイプの作品ですよ。
期待してのとおり、堂上と郁がすごくいいんです。
この先、小牧にもいろいろあるし、柴崎や手塚も、玄田隊長もスッゴクいいんです。
ココでやめるのは一番損!是非読んでくださいな。

有川作品としては、ワンパターンなのでやや飽きます。でも、時間をあけるとガンガン読めます。特に「阪急電鉄」がオススメです!!

投稿: たいむ(管理人) | 2008/07/25 18:24

設定は面白いと思ったのですが・・こんなにも漫画的だとは思っていませんでした。
郁のキャラが苦手で苦手で・・それ以外の小牧や手塚、柴崎なんかのキャラは個性的で好きなのですが。

段々慣れてくるかな~と期待しつつ、今後の展開は知りたいのでシリーズ制覇するつもりです♪

投稿: hito | 2008/09/18 18:13

■hitoさん、こんにちは
私もこの本が有川作品の初モノだったのですが、奇抜な設定には期待していたのに、あまりの漫画チックに面喰ったクチです。後に有川作品はどれもそんな作品ばかりだと知って、リサーチ不足を痛感しまいましたが。
それから同じく「図書館戦争」の郁は私も苦手!(><)どのキャラクターも個性的でいい味だしているのに、本当に熱血バカなんだもの。
「でも!」なんです。
郁はこれからどんどん成長していくので、今では可愛くて仕方ないくらい好きになりました(^^)

>段々慣れてくるかな~
きっと大丈夫!と太鼓判をおしますので、残り3冊+2冊を読破してください。
ラブコメだけじゃない、社会派な内容も気に入っています。特に「革命」は考えさせられますのでこうご期待!(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/09/18 18:58

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