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2008/03/04

「明日への遺言」みた。

Ashita ずしっと重みのある邦画を久しぶりに観た気がする。
この作品に於ける裁判がいかなるものか、何が争点であるかについて、歴史を振り返りながら背景を説明していく冒頭。これを知らないと裁判の内容には付いていけないだけに丁寧に説明されていて良かった。(竹野内のナレーションは声質が好みではなかったが)
しかし、言葉遣いが古く、小難しい言い回しの多い裁判なだけに、字幕はおえても咀嚼できないまま通過・・なんてことも。

この戦争裁判を簡単に言えば、パラシュート降下した米兵を捕虜とせず、即刻斬首刑に処した岡田中将以下東海軍十数名の罪について審議するものである。戦時中の混乱では、どこからどこまでが合法で、どこからが違法なのかなどの線引きは難しい。結局は問答無用で敗戦国の行いが全て間違いであるとして責任追及され、処罰されるのが筋という結果に落着しているように思っていた。
映画は、そんな理不尽には断固として屈せず、不手際や過ち、事実は事実として認めるところは認めるが、言うべきことはキッチリ主張し、また責任の在りかを明確にした上での相応の処罰を要求する、岡田中将最後の闘いを描いたものだ。米兵の処刑にも、斬首に至るまでにはそれ相当の経緯があり、その理由も、米兵の攻撃は国際法で禁じられている”無差別爆撃”であり、岡田中将は”違法”と判断した上で、あくまでも”処罰の対象”として扱ったということが法廷で明らかにされている。
岡田中将の真摯な言、毅然とした態度から、揺るぎなき信念がひしひしと伝わってくる。愚かな日本軍といえども、中将クラスともなると人格者はそれなりにいたのかもしれない、なんて思えてくる。(でも、岡田中将の言葉の通り「全員失格」には違いない・・か。)
判決までには数度の公判が行われ、殆どが法廷内でのやり取りだけで進んでいくこの作品。休廷の合間には、(会話は禁止だが)家族との目でのやり取りや触れ合いであり、岡田と部下の交流が挟み込まれ、観ている者にも休憩が与えられるかの如く、和むところがある。実際法廷でのやり取りには集中力を要するだけに、このインターバルには助かった。(しかし一瞬にして切り替わる場面転換は立て直し、一層の緊迫感を齎す見せ方の上手さを感じる。)
岡田中将の言うことは正論にも聞こえるし、都合のよい解釈とも取れる。要は主観の問題でどちらにも転ぶものだ。しかし、そもそも岡田中将はの本意は別のところにあったわけで、保身の為ではない主張と弁明は法廷にいる誰もが感じ取れるたことだろうと思う。
判決と結末には、例外を認めないマッカーサー元帥の(コチラも)信念を感じるところだが、つくづく惜しまれるものだった。
色々と難しい作品だけれど、岡田中将の人となりには感銘をうける。偽装・隠蔽工作、責任の擦り合いが常套手段となっている今日の日本。今の時代に在って欲しい人物。特に政治家さんや各方面での上層部の皆さんには是非ご覧になっていただきたい作品かもしれない。

総評:★★★★☆  好き度:★★★☆☆++  オススメ度:★★★☆☆++

それにしても、”報復”ならば”合法”とは知らなかった。それでは戦争なんて決して無くなるハズがないよね(苦)

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コメント

こんにちは♪
報復なら合法、処罰なら違法。っていう部分には驚きましたよね。
通訳を介しての裁判はかなりもどかしいものを感じました。
専門用語も多いし、あの裁判を戦い抜くのは大変だっただろうな~。
だからこそ最後まで一貫した姿勢で戦う岡田中将が毅然として見えました。
たいむさんはスティーブ・マックィーンはあまり馴染みが無いかな?彼の息子さんがバーネット検事役で出ていて、そっくりで懐かしかったです。

投稿: ミチ | 2008/03/04 23:26

■ミチさん、こんにちはsun
「報復」には本当に驚きました。感情論であり、制定には賛否などいったことと思いますが、今となっては文字通りの意味しか残されていない気がします。

>スティーブ・マックィーンはあまり馴染みが無いかな?
Jr.ははじめて見ました。似てましたねー(^^)
何を隠そう、私の(アニメ以外での)初劇場映画は「タワーリング・インフェルノ」ですよ!リアルで6歳くらい?? 火事と大水はそんな子供でもドキドキで、食い入るように見ていたと思います。
母親がマックイーンとイーストウッドのファンで、結構見てます(笑)
有名どころではやはり「大脱走」が(^^)
もちろん、生まれる前の作品は後追いですけど。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/03/05 16:35

こんばんは。

マックィーンって、エンドクレジットに出て
同じ苗字だと思ったのですが、
息子さんとは知りませんでした。
ミチさんありがとうございました。

この<報復>は合衆国の法律。
なるほどねって感じですね。
これじゃあ、戦争終わらないわ。

投稿: えい | 2008/03/06 00:25

■えいさん、こんにちはsun
>報復
今もその条項は残っているんでしょうね(^^;)
この裁判では、瞬間的に「報復と言え!」なんて思ってしまうところだけど、全てを正当化し兼ねない条文には真面目に驚きでした。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/03/06 18:59

こんばんは。コメント、TB有難うございました。確かに今の政治家の人達には大いに見て勉強していただきたい映画だなぁと思いますw それから報復なら合法ってのも驚きでした…。

投稿: | 2008/03/06 19:04

■豪さん、こんにちはsun
岡田中将の全てが立派かどうかはわかりませんが、上に立つものの責任など、しかと知っておいて欲しいものですよね。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/03/07 19:08

こんにちわ。

「勝てば官軍」などといいますが、この映画を見る限りは、岡田中将にGHQが無理難題をいった印象はなくとも、女性の私は複雑な気持ちで鑑賞しました。

これを観賞した事を昭和ヒトケタの父に話すと「いいものを観たな」と言われました。が、一緒に鑑賞した戦後派の両親を持つ私のパートナーは「時間の無駄をした」(!!)といい、受けた教育と生きた時代の差を痛感した作品でした。

投稿: 紫(むらさき) | 2008/03/09 12:32

■紫さん、こんにちはsun
>受けた教育と生きた時代の差
ほんとそうですよね。
一方的な視点のような気もして、私も釈然としない部分は残ります。結局、岡田中将も「仕方がない」のひと言で片付けている部分もありますし。

とはいえ、真実はひとつじゃないですしね。観てよかったと私は思ってます。

投稿: たいむ | 2008/03/09 13:11

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