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2008/02/29

『蟲師』(9巻)

Mushishi9 一年ぶりの新刊。5編が収録。
9巻は5編中4編が人として痛みの残る作品がだった気がする。(いつもどれかしらそうではあるけれど)
蟲と人間とが共生している世界。そうと知らずに蟲を利用している人間、翻弄させられる人間。けれど蟲は、蟲と自然の摂理のまま、蟲の時間を生きているだ け。共存・干渉しあう関係といえども決して友好で結ばれる存在ではないと、事ある毎に繰り返すギンコの言葉が良く分かる話が多い。
摩訶不思議な蟲ワールドはまだまだ続きそうだね。

●残り紅
誰かと入れ替わることは、誰かを犠牲にすることと変わりが無い。たとえ不可抗力であっても、当事者も当事者に関わった人も、身代わりとすること、犠牲とした誰かに罪悪感を持ってしまうような切ないお話。果たして選択が正しかったのか、繰り返される悲劇を思えばやはり切ない。
●風巻立つ
人の心に闇を齎すのは人のみ。正の力と負の力が一対ではじめてバランスが取れるもの。何であれ不均衡は何かを歪める。人は受けたダメージに対して、「復讐」をもってバランスを取り戻そうとする生き物だという、悲しい余韻が拭えないお話。
●壷天の星
異世界の扉が開く。好奇心は境界線を越えさせる。けれどより強い絆と想いが、引き返す事と留まる事の選択肢を与える。
この話が唯一しこりの残らないお話。ギンコの幽体離脱?技もスゴイ!(^^;
●水碧む
所詮、捻じ曲げられた人間の摂理は、摂理をもって精算されるもの。蟲によって生かされた人間はいずれ、ツケ(対価)を払う時が来る。奇跡は起こらない。あってはならない不自然なものは消え失せる事こそが自然。はじめから無かった命とはいえ、これもとても切ないお話。
●草の茵
ギンコが如何にして今の蟲師になったかという物語。
ヌイと別れた後、ギンコは流しの蟲師に拾われたという話は以前明かされていたけれど、ギンコの体質は下手な蟲師では対処し切れず、何度と無く捨てられては拾われるといった不遇な暮らしを強いられていたとのことだった。行倒れたところを蟲師のネグロに救われ、一人で生きてゆく術を初めて学ぶギンコ。蟲の世とこの世の理を知り、生きている自分を知り、自分の運命を受け入れるギンコだった。今のギンコをギンコたら占めたエピソードとして納得のゆくお話。

久しぶりに登場した化野先生はいいねぇ。なんだかそれだけで和む。決して重苦しい作品ではないと思うのだけど、どちらかというとシリアス系。ちょっと楽しかったり嬉しかったりする話も欲しいかなーと思うこの頃かもしれない。

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コメント

たいむさん、こんばんは。
化野センセはいいですよねー。私も大好きです蟲師の癒し系アイドル?マスコット?うーん、何と表現してよいやら。

ギンコは彼と一緒だと、イキイキして楽しそうに見えます。悪友って感じですかね。

投稿: アビ | 2008/02/29 22:59

■アビさん、こんにちは
>蟲師の癒し系アイドル?マスコット?
うはははは。
マスコットというには可愛くない!(爆)
なんでしょうねぇ。道草処、かな?(笑)
どう知り合ったか、こっちも知りたいですねw

投稿: たいむ(管理人) | 2008/03/01 10:32

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蟲師 9 (9) (アフタヌーンKC)漆原 友紀講談社このアイテムの詳細を見る 待ってましたの9巻今回も、幻想的な世界を満喫です どれもこれも切ない余韻が残るお話ですが、一番好きなのは影踏み遊びを題材にとった「残り紅」かな。陽吉じいさんの人柄のせいか、優しい気持ちになる話でした。 神隠しネタの「壷天の星」は、どちらの次元からも「家に目に見えない何かがいる」と同じように思っているのが面白いね。xxxHoLicにもあったような気もするけど。座敷童子って実はこんな感じかも。 ギンコ... [続きを読む]

受信: 2008/02/29 22:52

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