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2008/02/05

BSハイビジョンシネマ「ホテル・ルワンダ」

Hotelrwanda ルワンダ国内での民族紛争が引き起こした惨劇の一部始終を描いた作品。以前から気になっていた作品で、やっと見ることが出来た。
ルワンダにおける先住民族であるフツ族と、フツ族曰く”侵略者”である少数民族のツチ族。民族間和平を締結しようと努力した大統領が、和平を望まぬ一部のフツ族によって暗殺されたことから、大惨劇の幕が上がる。
この物語は、フツ族でありながらツチ族の妻と3人の子供を持つ、外資系4つ星ホテルの支配人ポールを中心に描かれている。ほぼ実話らしい。

主人公のポールは、これまで不安定な国政から「もしも」の時に備えて家族と我が身を守らんが為、外資系ホテル支配人の地位を利用して、政府の有力者や白人達に対して賄賂等の便宜の限りを尽くしていた。決して褒められた行いではないが、金次第で簡単に物事が動かせる腐りきった世情だと思えば、浅はかではあるが理解できなくはな い行動に思う。事実、事件が勃発した際、幾度となく賄賂がポールを救済した。しかし、所詮金で成り立った関係は金の切れ目が縁の切れ目である。また、不安定な情勢はいつ形勢が覆されないとも分らないところにまで発展。事態は一層深刻化している。結局ポールは当てにしていたモノ全てに裏切られる形でやっと現実を認識する。なんであろうと国籍・民族・種族・部族の壁は決して越えられないこと痛感し、甘い言葉を信じた己の愚行を悔いることになる。しかし、その絶望が逆にポールを奮起させ、ホテル内に匿われ取り残された人々の為に尽力させる原動力となった。日毎に激化するフツ族民兵による一方的で無差別な殺戮。ツチ族を根絶やしにすべく行われた大虐殺は100万人にも上ったという。ツチ族を匿うポールの身辺にもジワジワと危険が迫り、唯一の希望であった国連も、軍隊派遣には消極姿勢を崩さず、極少数の”国連平和維持軍”の助けを借り、民兵に包囲されたホテルを脱出することだけが残された道となる。

妻がツチ族だったこともあるけれど、ポールは家族のみならず、民族も関係なく従業員や友人知人、総勢約1300人もの人々の命を守ろうと奮闘した。持てるチカラの全てを総動員して乗り切ろうとする捨て身な姿と、凄惨極まりないルワンダの現実に幾度となく涙が溢れた。
”憎悪”という得体のしれない悪魔に取り付かれた人々の狂気。
「何故こんなにも非情になれるのか?」「何故分り合えないのか?」・・決して明確な答えなど得られないと知りつつ、いつものようにこうした問いが頭をもたげ、無力感に打ちひしがれてしまう。
「例えこの映像を見ても、世界は”怖いね”と言うだけ。言いながら食事を続けるのだ。」
虐殺の様子をカメラに収めたカメラマンの言葉が胸に突き刺さった。
情けない話だが、まったくそのとおりなのである。”知る”ことで嘆きながらも何もせず、結局変らぬ日々を送るに過ぎない自分の軟弱さが嘆かわしい。
「出来る事は”知る”ことだけ・・・」なんてそれすら自己満足でしかないのに、劇場での鑑賞を逃してしまえば、内容の重さを想像するが故になかなかDVDには手が出ない、出さないいい加減な自分が嫌になるが、こうしてNHKBS-hiでの放送を逃さずに観ることができて良かった。今後も逃げずに知る努力をしていきたいと思う・・・が、それも努力目標か?

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コメント

お邪魔します。
この映画はwowowで2度鑑賞しましたが、2度目に観た時の方が心にズシンと響き、涙が止まりませんでした。
『例えこの映像を見ても、世界は”怖いね”と言うだけ。言いながら食事を続けるのだ。』-このセリフはこたえましたね~
私もそういう考えでいるんだな・・・と思って改めて自分の不甲斐なさを恥ずかしく思いました。
この映画を観た後に『ルワンダの涙』も観たいと思って何度もレンタル店で手にとっていますが、いまだに観ていません。
いつか観たいな・・・と思っているのですが勇気がなくて。

投稿: 由香 | 2008/02/06 21:44

■由香さん、こんにちは♪
知らないことがまだまだ沢山あるのに、知れば知るほど逃げたくなる自分がいます。
やはり、自分は生粋の日本人なのだと思い知らされます。
人と人が分かり合えないのは、人だからか?などと哲学し始めてはエンドレスにグルグル・・・・
私も、「ルワンダの涙」はいずれ・・と思っています。
TVで放送してくれれば必ず観るのだけど・・・とやはりDVDには手が出せないような気はしますが。ちなみに、WOWOWは登録してないので、NHK待ちかな?(^^;
お互い、壁を破らないとダメみたいですね~~。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/02/06 23:07

ルワンダで紛争があったなんてことを知ってる日本人は決して多くはないですよ。
その意味でも苦手な分野を観られたたいむさんは素晴らしいですよ。
『ルワンダの涙』も同じで主人公がルワンダ人か外国人かの違いですが、その違いが大きいと思います。
こちらも機会があればチャレンジしてみてください。

でも、ホントこういう民族紛争が絡むものを観るたびに日本人が民族意識の低くて良かったと思います。
でもその反面、差別も無意識のうちにしてるわけで・・・。
それを思うと複雑な気分になります。

投稿: エミ | 2008/02/11 04:24

■エミさん、こんにちは
>ルワンダで紛争
おぼろげながらも、ニュースで聞いたことがある世代ではあります。けど、「恐いね」どころもなく聞き流していた家庭のひとつですね。

積極的に見たい映画でありながら、しり込みしてしまうジャンル。自分が辛くなるのが嫌なのかもしれません。自宅は集中できないし、出来るだけ劇場公開を逃さないようにしたいです。

『ルワンダの涙』も、由香さん同様(笑)いずれチャレンジしようと思います。ご紹介ありがとうございます。

日本人って楽ですよね。政治は混沌としているこの頃だけど、国民が金持ちである以上はまだ安泰でしょう。けど、そこも格差が広がる一方で、数十年後は闇かもしれませんが。

>差別も無意識
イジメの陰湿化もしかり。痛みを知らない人間が増えてきているのですよね。便利になりすぎて・・・

投稿: たいむ(管理人) | 2008/02/11 10:23

たいむさん、こんにちは。なんか、私が劇場で観て、たいむさ
んがあとから、、という作品は、もう記憶がないくらい久しぶ
りのような。や、ひょっとすると、初めて?


やっぱり、ホアキン・フェニックスの言葉が残りますよね。こ
の言葉は、アメリカ人のみならず、われわれ日本人にも当ては
まってしまうだけに、余計に。

アメリカではジョージ・クルーニーがこの件で行動を起こした
りしてますが、日本はこの作品の公開さえ危ぶまれ、署名運動
でようやく公開にこぎ着けた、なんて事実も、先の言葉の意味
を重たく感じさせます。


本作品と全く関係ないですが、2年前に鑑賞した際に、鑑賞マ
ナーについて自分の記事で書いてました。たいむさんの『L
change the WorLd』の記事を読んで、2年経っても映画鑑賞の
マナーは向上してないんだなぁ、と、ちと哀しくなりました。

投稿: ラフマニノフ | 2008/02/14 14:12

■ラフさん、まいどどーもです
私が後からって・・・それはラフさんが最近観てないからでは??
>や、ひょっとすると、初めて?
たぶん違う気がするなぁ。
TBこそないけど、「パルプ・フィクション」はそうでしょw

>ジョージ・クルーニー
そうでしたか!いろいろやってますよね。今後も頑張って欲しいです。
そういえば脚本家のストも後押ししている彼ですよね?アカデミー賞が盛り上がらないのは残念だけど、俳優に何億も払うんだったら、ちょっとはねぇ、って思いますのでトコトンやればよいのでは?って思っています。

>2年経っても映画鑑賞のマナーは向上してないんだなぁ
2年前と同じ観客じゃないですしね(^^;
戦争がなくならないのと原理は同じかも知れませんよ(笑)

そうそう、SWのアニメ、全米8月公開が決まりましたねー。けどキャラ画が微妙~(><)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/02/14 19:25

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