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2007/12/26

『しゃばけ』シリーズ

Omakenoko_2 11月にTVドラマ化された『しゃばけ』(次回作の『ぬしさまへ』もドラマ化決定との事)。
そうと知らずに読み始めたのはTV放送前だったが、チビチビと読み進め、とりあえず文庫化された4作分(『しゃばけ』『ねこのばば』『ぬしさまへ』『おまけのこ』)までを読み終えた。
シリーズは、『しゃばけ』以外はどれも短編で、文体もやさしく小学生でもサクサク読めてしまいそうな軽ーいファンタジー時代小説。
主人公の長崎屋一太郎(=若だんな)は血筋柄、様々な”妖(あやかし)”を視ることができ、妖たちに取り巻かれた暮らしをしている。ほとんどがフレンドリーな妖ばかり。よって和やかな雰囲気に包まれている。(ちなみに”妖≒妖怪”である。混同している人が多いようだけど、作者もそこはキッチリ線引きしているのでご注意あれ。)
物語は、病気で寝付いているか、甘やかされているか、という若だんなの日常の中で、”人間”の起こした騒動に巻き込まれたり、あるいは自ら首を突っ込んだ りして関わってしまった事件を、ほとんど一太郎の保護者的な妖の兄や達(仁吉&佐助)や、優しい若だんなが大好きな小物の妖(鳴家=やなり)、”付喪 神”らの手を借りながら事件を解決へと導くような”謎解き・捕り物”系の要素なども盛り込まれ、病弱だけど頭の切れる若だんなの(ちょっとインチキ)な” 安楽椅子”探偵っぷりが爽快感をもたらしてくれるお話が多い。

若だんなのお披露目だった『しゃばけ』。しかし以降の短編は、若だんなと若だんなの身近な者の“誰か“が中心となった視点で描かれた話になってい る。”誰か“とは、家族や友達といった人間であったり、兄やら妖であったりと、様々な角度から切り込まれている為、バラエティに富んだ話が繰り広げら れることになる。『しゃばけ』から登場している岡引の日限の親分や、幼馴染でお隣さんの栄吉・妹のお春、仁吉に佐助・屏風のぞきに鳴家といった妖のレギュラー 陣がそれぞれにクローズアップされたエピソードは、すでに4冊のどこかに収録されている。事件や騒動つながりで登場した新キャラたちも、ポツリポツリと再登場して 準レギュラー化し、”しゃばけわーるど”はどんどん賑やかになってきているようだ。
デヴュー作で1作目の『しゃばけ』は、全体を通したほのぼの感が心地よくはあっても、やや物足りなさを感じる作品だったが、シリーズが進む毎に守備範囲の広がりが感じられ、どんどん面白くなってきている気がする(偉そー・・^^;)。作者の(文章の)上達はもちろんだが、回を重ねる毎に若だんなのキャラが立ち、他のキャラもそれぞれの特別なエピソードのおかげで感情移入しやすくなったからだと思う。
虚弱体質で病気がちな事以外は非の打ち所のない若だんな。超“箱入り”な扱いで、籠の鳥に近い暮らしを強いられてばかりでは、さすがの若だんなも飽き飽きして時折ささやかな抵抗を見せることはある。けれど常に家族や仲間に守られているから在る自分だという事実を認識し、己の未熟さと非力・無力さを自覚しては涙する好青年。ボンボンにありがちな優柔不断さもなく、立場をわきまえつつもハッキリとした物言いができるしっかりした若者でもある。強いて言うなら、頭の回転が速くて機転も利くけど、ちょっぴり強引で迂闊なところはあるかな?(やや世間知らずだからね)。背伸びをしたがる幼さもまだ抜け切らないけれど、すべき事と無茶・無謀を履き違えるようなことはない。思いやりがあって心根の優しい若だんな。穏やかで人当たりの良い若だんなを嫌う者は、劇中でも読者でも、まず居ないのではないかしらね?
読者、特に若い女性に人気の若だんならしい。これはなんとなく分かる気がする。
確かに、なんともひ弱で頼りなげで、いつも困り顔した若だんなの挿絵を見つつ、本文でジタバタと奮闘する若だんなを想像すると、なにやら愛おしく思えてくる。俗に言えば母性本能をくすぐる僕ちゃんキャラなのだね(^^) また、色恋沙汰にはまるで縁遠い若だんな。「ありんすこく」(by『おまけのこ』)では、吉原へ行って「禿(かむろ)の足抜けを手伝って逃げる。」なんて台詞をしれっと言ってのける若だんなにドキッとさせられたりもするけれど、いやぁ、まだまだ(^^)。そんな僕ちゃんの活躍を嬉しく思い、成長して“男”になって行く様を見守ってあげたくなってしまう、といったところだ。

現在シリーズは6作。未読が2作残っているが文庫化は4作目まで。単行本で読むべきか文庫化まで我慢するかと悩めるところだ。(けど、5作目の文庫化はたぶん1年後なんだよね)。いずれにしても『しゃばけ』シリーズは、今後も読み続けたい作品のひとつになった。
ちなみに、「仁吉の思い人」(by『ぬしさまへ』)には仁吉の恋、「産土」(by『ねこのばば』)では佐助の話が披露されている。どちらも趣向を凝らした作風がなかなか良かった。(騙されはしなかったけどw)
『ぬしさまへ』では「空のビードロ」。『おまけのこ』では「こわい」が胸にツンとくるお話で印象深かった。
さあて、、5作目『うそうそ』と6作目『ちんぷんかんぷん』&番外『みぃつけた』をどーしよーかねぇ。(きっとここにはまだエピソードのないレギュラー達のお話があるんだろうなぁ)

Dokuhonn すげー笑えるとか、すげー泣けるというものではないけれど、万人に気軽にお勧めできる良い作品だと思う。気になる方は、『しゃばけ読本』という解説本も発売されているので書店でパラパラっとめくってみるも一案かと。(表紙の鳴家がキュート♪)

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