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2007/12/11

「パンズ・ラビリンス」みた。

Panslabyrinth おとぎ話の大多数は「めでたし、めでたし。」で締めくくられる。けれど、そんな大多数には必ずといって残酷な場面が盛り込まれ、主人公には試練が待ち構えている。試練を乗り越えた者だけがたどり着くことのできる「めでたし、めでたし。」
ハッピーエンドとも、バットエンドとも受け取れるこの作品。本当はどっちなのかな?
以下、若干ネタに触れています。

ファンタジーらしからぬダークグレーな大人のファンタジー(たぶん)。
物語は、独裁を断行する軍と、自由と平等を勝ち取るためにゲリラ作戦を展開するレジスタンスとの攻防が日常的に繰り広げられ、人も土地も荒れ果てている時代のお話。主人公の少女:オフェリアは母親の再婚と妊娠によって、軍の大尉である新しい父親のもとへ引き取られることになる。その引越し先に”夢の世界”へとつながる迷宮があり、”魔法の国”のお姫様の魂を持つオフェリアが本来の居場所へ帰るべく、現実との狭間に苦悩しながら3つの試練に立ち向かって行く、というありがちで単純な物語。
・・なのだけど、基本的に”現実の出来事”により重点を置いた描かれ方になっている為、妙に生々しくて、直視できない残酷な場面も度々挿入される等のことから、失敗や成功、ギリギリセーフなどの一つ一つはありがちなモノなのに、時々ファンタジーであることを忘れてしまいそうになるという、とにかく捉え方次第で正反対な印象に変化する作品だったように思う。(都合の良い展開や強引な物語運びは、まさしくファンタジーだったけど)
そして、衝撃的なラスト。オチ自体は”3つ目の試練”を知った時から想像が付いたけれどあの結末には、もしかしたら全てオフェリアの空想を描いた物語だったのでは?なんて思えてしまい、観終っても言いようのない奇妙な後味に苛まる私になってしまった。
一応ナレーションは「めでたし、めでたし。」というものではある。だから私も”魂はハッピー”な解釈をして一件落着にしたいところ。でも、なんだか引っかりを払拭しきれない。実は、”空想好きの少女の現実を描いた悲劇”、なんてね。切ないわ~(><)

それにしても残忍な描写が多くて、何度スクリーンから視線をはずしたことだろう?まるで容赦のない”悪趣味な大尉さん”ってば、酷すぎ。(口裂け男はちょっと可哀相だったけどw)それに、手のひら大の昆虫が”妖精の化身”ってどーよ。既に薔薇色のファンタジー路線から逸脱していない? とにかくこれはダメだぁ。気味が悪くて寒気がしてしまった。(虫嫌いなもので・・^^;)

果たして”夢の国”は現実か?否か? ズンとくる作品。
久しぶりに頭がグルグルしてなかなか感想が纏まらない作品だった。

総評:★★★★☆+    好き度:★★★☆☆++  オススメ度:★★★☆☆++

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コメント

切なくて悲しいハッピーエンドながら、私はこの結末が好きだったりします。嗜虐趣味かも〜。

感情もかき乱されますが、妖精が虫だったり悪趣味な極悪非道な大尉といい、生理的にもおぞっときますね〜、たはは...。

投稿: あん | 2007/12/12 08:37

こんにちはー。
私も映画ブロガーさん達からすると随分遅く見たほうだったのですが;実は見に行く前に内容をちょっと知ってしまったこともあり、ストーリーの方は冷静に受け止めていたかもです。結構評判も良かったですしね。
でで、たいむさん的にはちょっと厳しいのでは??って思ってきてみたら…やっぱりムシムシ虫~・・・に閉口ですか;
でもクモで免疫を作っていただいたし(笑)この作品でナナフシ?もOKだし。もうダークファンタジーはどんとこい!だわだわ。爆
空想の世界は子供にはどんな時も勇気をくれますね。
大人も時には逃避ではなくファンタジーの世界を楽しむ心のゆとりが欲しいものです。まあ、でも年末は無理でしょうが;・・・今年もあとわずかですが、まだまだ頑張りませう♪

投稿: シャーロット | 2007/12/12 15:21

■あんさん、こんにちは♪
なんだか妙な魅力のある作品でしたね。
私もこの結末はなんだか好きです(ぐるぐるしちゃいましたけど)
けど、弟くんはどうなるのかちょっと心配かも、です。

生理的にはチト厳しい!それが狙いなのだとしても・・・う~~ん(><)

■シャーロットさん、こんにちは♪
私はネタバレ完全シャットアウトで挑んでいるこの頃です。原作もあえて先に読んだりしないことにしましたw(不可抗力はともかく)
何も知らないで見るとさすがに衝撃的でした。もうそれだけでグルグルです。
ムシムシ攻撃もうへぇ~~でしたから尚更に(^^;
そうそう、昨年は”シャーロット”を頑張りましたが、今年年末に虫と戦うハメになるとは思ってもみませんでしたよー(><)

想像力はトレーニングしないとなかなか広がりませんよね。空想や妄想は見たり聞いたり経験したことにスパイスを振りかけるものなわけで、空想にふけること=現実逃避とか決め付けないで、頭の引き出しを開けまくる脳トレって思うと良いのにナーって思います。(私も空想肯定派ですw)
とはいえ、私の場合は空想(妄想)というよりは、仮説の組み立てにはじまり論理的証明・・みたくなっちまう傾向が強いので、カチンコチンでちっとも想像力の訓練になりませんが(^^;;
でも考える楽しさは多分いっしょ?(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/12 19:27

たいむさん、コメントどうもでした。

こんなん大好きなんですよね、困った困った、化け物とか迷宮とか・・・・
>”空想好きの少女の現実を描いた悲劇”
違いますよ、地下王国の姫君が王国へ帰る物語なんですよ、目出度しメデタシなんですね~・・・
地上で生き残る方がよっぽど地獄だったと思うのです。

投稿: くまんちゅう | 2007/12/13 22:28

■くまんちゅうさん、こんばんは♪
メデタシメデタシならいいんです(^^)
それでも、メルセデスとはどーなるの~って思ったりしてしまうんですよー(^^;)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/14 20:35

TBありがとう。
3つの試練そのものは、よくあるパターンなんですけどね、その見せ方が、とっても想像力を喚起するモノだったと思いますね。

投稿: kimion20002000 | 2007/12/14 23:25

■kimion20002000さん、こんにちは♪
ごくごく普通のゲームにもなりそうなファンタジーなのですけど、生々しかったですー。
こういう暗くて濃いファンタジーもよいものですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/15 10:17

こんばんわ。
たいむさん、お邪魔するのが遅くなってしまって
ごめんなさい・・・。

この作品ってね、私ファンタジーというくくりよりも
戦争映画というくくりの方が合っている気さえしました。
もし、自分に幼い子供がいたとしても、決してこの映画は
見せないだろうなあと思うのです。

トラウマ必至でしょ・・・大人の私たちが観たって、
こんなにダーキーな気持ちに陥ってしまう。
クリーチャーよりも、変な虫よりも、
一番怖いのは人間だということに気づいてしまう
ファンタジーなんて・・・・なんとも斬新な1作でございました。

投稿: 睦月 | 2007/12/17 20:15

■睦月さん、こんばんは♪
>戦争映画というくくりの方が合っている気さえしました。
ああ、その感覚わかります。
私も、ダークファンタジーってくくりでもどうかと思いましたから。とにかくリアルですよね。

>一番怖いのは人間だということに気づいてしまう
御伽噺も結構エグイですから、子供がどの位気がつくかは感性の問題だとは思うけど、大人が観るとかなりイタイ作品でしたね。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/17 21:33

たいむさん
あけましておめでとうございます
本年もよろしくおねがいします。
新春第1弾の劇場鑑賞映画は,コレでした。
思いっきり暗い気分になりましたぁ
好きじゃないですけど,傑作だとは思いますね。
すぐは無理だけど,時間がたったら見直したくなると思います。
ところで,たいむさんのブログを拙宅にリンクさせて
いただきたいのですが,よろしいでしょうか?

投稿: なな | 2008/01/06 20:30

■ななさん、こんにちは♪
明けましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします!

今年の一作目がコレですか~。それはさぞかし・・・(^^;ファンタジーで、幸せに考えれば重苦しくもないのですけど・・・。
私も好きの対象にはならないのだけど秀作だと思います。けど、中てられてるんで2度と見ないかな、きっと。。。たぶん?(笑)

リンクは了解です(^^)
こちらからも貼らせていただきますねー

投稿: たいむ(管理人) | 2008/01/06 22:54

たいむさん、こんにちは♪
一本目が「マリア」で二本目が「パンズ」
かなりの落差にクラクラしています。
けれど、今年の映画鑑賞もこの調子で落差を楽しみつついろんな物を見ていけたらいいな~なんて。

予告編を見たときに、妖精のヘンさとパンのキモさにビビってました。
でも、なんとか許容範囲内だったの(笑)
クリーチャーの造形が好みに合わないと見てても辛いですもんね。
それにしてもあの大尉サン、ヒトラー並みに怖かった。暴君ってあんなものなのかな。
あの王国が現実じゃないとしたらオフェリアが悲しすぎるので、王国はあるって信じてあげたいです。

投稿: ミチ | 2008/01/11 17:45

■ミチさん、こんにちは♪
その落差は激しいですね(^^;
切り替えと言う意味では「落差」って好きですけどw

予告編で私もドンビキ(><)あんな妖精ないですよね。
ミチさんのところで『ダークファンタジー』っていう紹介を見なかったらきっと観てません。
思い出せば未だに切なく、私も王国の存在を信じて上げたいけれど、観てよかった作品。
ミチさん、ありがとう!!(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/01/11 18:18

たいむさん、こんばんは。
私も「空想好きの少女の現実を描いた悲劇」というのは、見る前から何となく思っていました。ラストは「そう持っていったか!?」という感じで良い意味(?)で予想を裏切られた感はありましたが、やはり「逃避だよなぁ」と思ってしまうわけで。。。

>気味が悪くて寒気がしてしまった
同じくあの蟲君たちには私もさすがにちょっと寒気がしました(;^_^A あのデカさの昆虫相手にオフィリアはよく普通でいられるなと…。子供の頃は昆虫とか大丈夫だったんですが、今じゃムシキングですらちょっと駄目かも(苦笑)

投稿: GAKU | 2008/04/30 21:27

■GAKUさん、こんにちはsun
見てよかったとは思うけれど、手放しで絶賛というわけには行かない作品でしたね。
ファンタジー思考=現実逃避とは思わないけれど、彼女場合は九割方逃避に思えるし。

ラストも何とでも取れるようなもので、王国が存在しているといいなって思うのだけど、現実のままのような気もして(><)

>今じゃムシキングですらちょっと駄目かも(苦笑)
私もですよ!大昔はカブト虫とか飼っていたんだけどねぇ(^^;

投稿: たいむ(管理人) | 2008/04/30 22:43

現実が恐ろしかったです。
オフェリアは、大好きな母までも、とられたような気持ちになったのでしょうね。彼女の気持ちを思うと心が痛みます。

投稿: | 2008/11/27 22:59

■花さん、こんにちはsun
コレはまぎれもなく現実なのだけと、悲惨さを否定できないところが辛いですね。
オフェリアが不憫で切なかったです。せめて魂だけでも・・・と思ってしまう作品でした。

投稿: たいむ(管理人) | 2008/11/29 13:30

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