「クワイエットルームへようこそ」みた。
さすがは松尾スズキで、やっぱり松尾スズキだなーという作品。
ヤヤお下品な会話と吐しゃ物やらズルズルな流動食はお約束か。あの手のものがちょっと苦手な私には「はやく顔を洗ってくれ・・」と、明日香のアップに耐えられないのだった(><)
(以下、ネタバレあります。)
「あなた、ありますよ、ここにいる素質が。」・・・明日香には、この別の作品でのセリフがふと頭をよぎった(^^; ※『才能、ありますよ、ここにいる才能。』が本当です。
「あなただけは違う。」・・・と手渡されたアドレス。一瞬チラリと目に入った『loop.com』の文字には「やっぱり?」と思い、ラスト、近づいてくる救急車の音で、旦那と写真を見るまでもなく確信してしまった。あのアドレス、後にバーンとなったけど”loop”の確認に気を取られて前半を読み取れなかったのは大失敗だった。(なんて書いてあったんだろう?小説にもあるのかな?)
・・ということで、明日香の笑顔でのエンディングとは裏腹に、「同類」と太鼓判を押された明日香もいずれはそうなのかな?そうじゃなきゃ良いなーと思いつつ、結局は繰り返しそうな気がしているのは私だけだろうか?
明日香のすっかり抜け落ちた記憶が徐々に甦り、やがて(最終的には暴露されることで)すべてを知るという、行きつ戻りつの構成が上手かった。前半は小ネタで笑うことが多かったけれど、いつしか「笑いの要素」は消え去り、明かされた衝撃的な真実に(少しだけ)切なくなってしまった。
精神科の隔離病棟とは、一見どんなに”普通”に見えても、何かしらの病気があるから入る場所であり、ミキなどはその典型。そこに収容されてしまった明日香もたぶん例外ではない。なんとも痛々しい話だった。
個性的なキャストはとにかくスゴイの一言。謎の女医さんには思わず誰もが絶句では?(爆)。不気味な大竹しのぶは貫禄ありありだし、優ちゃんには言うことなし。妻夫木くんは「うわっ、やったかっ!」であり、クドカンは(あまり好きじゃないけど)ピッタリだった。
そもそも松尾作品だし、最初から好き嫌いの分かれる作品だと思うけど、笑いあり、黒いものありなこの作品、私はそこそこ楽しませてもらった。
総評:★★★☆☆++ 好き度:★★★☆☆+ オススメ度:★★★☆☆
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» クワイエットルームにようこそ [そーれりぽーと]
今年は俺にとって松尾スズキ元年(謎)。
この3週間はそのピークで、『ヒートアイランド』への出演をチェックし、『クワイエットルームへようこそ』を大いに楽しみ、11月4日のミュージカル『キャバレー』観劇に臨む、みたいなワクワクしたテンションの日々。
つうことで、芥川賞候補にもなった(らしい)自筆小説を、自ら監督した『クワイエットルームへようこそ』を観てきました。
★★★★★
完全なる松尾スズキワールドに誘われた感覚。
第一回監督作の『恋の門』では作家性と技術力の差、俳優の力量不足が目立ってとっつき難... [続きを読む]
受信: 2007/11/02 20:53
» クワイエットルームにようこそ [描きたいアレコレ・やや甘口]
眼が醒めると、隔離病室で5点拘束されていた。ここはどこ?私は何をした?
佐倉 明日香さくら あすか(内田有紀)は、800字のコラムを書く締め切りのはずが、気がつくと、仕切りのない便器がある真っ白い部屋に居る。原作... [続きを読む]
受信: 2007/11/02 22:40
» 『クワイエットルームにようこそ』 [ラムの大通り]
----偶然にも松尾スズキ離婚発表の日に観たんだよね。
キャッチコピーの
「目醒めたら、『そこ』にいた。」って、どういうこと?
「うん。これはね内田有紀演じる28歳のライター佐倉明日香が、
ある日目醒めると、白い部屋で拘束されていたというところから
話が始まっていくんだ。
そこは通称“クワイエットルーム”と呼ばれる、
女子だけの閉鎖病棟内にある保護室。
明日香はアルコールと睡眠薬の過剰摂取により、
自宅で昏睡状態となっているところを
同棲相手の焼畑鉄雄(宮藤官九郎)に発見され、
ここに運び込まれたわ... [続きを読む]
受信: 2007/11/02 23:48
» クワイエットルームにようこそ [5125年映画の旅]
バツイチのフリーライター明日香は行き詰る生活に耐え切れず多量の睡眠薬を飲んで意識不明になってしまう。明日香が目覚めたのは病院内の何も無い個室。そこで完全拘束されていた彼女に一人の少女がこうささやきかけてきた。「クワイエットルームにようこそ。」
俳優、脚...... [続きを読む]
受信: 2007/11/03 09:27
» 『クワイエットルームにようこそ』 [アンディの日記 シネマ版]
感動度[:ハート:][:ハート:] 2007/10/20公開 (公式サイト)
泣き度[:悲しい:]
笑い度[:ラッキー:][:ラッキー:]
満足度[:星:][:星:][:星:]
【監督】松尾スズキ
【脚本】松尾スズキ
【原案】松尾スズキ 『クワイエットルームにようこそ』(文藝春秋刊)
【時間】118分
【出演】
内田有紀/宮藤官九郎/蒼井優/りょう/中村優子/高橋真唯/馬渕英俚可/筒井真理子/宍戸美和公/平岩紙/塚本晋也/平田満/徳井優/峯村リエ/武沢... [続きを読む]
受信: 2007/11/03 13:50
» 「クワイエットルームにようこそ」レビュー [映画レビュー トラックバックセンター]
映画「クワイエットルームにようこそ」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *出演:内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶ、他 *監督・原作:松尾スズキ 感想・評価・批評 等、レビューを含む記事・ブログからのトラックバックをお..... [続きを読む]
受信: 2007/11/03 17:32
» クワイエットルームにようこそ(映画館) [ひるめし。]
わたしは ここ で生まれ変わるのだ [続きを読む]
受信: 2007/11/04 14:56
» 【映画】クワイエットルームにようこそ [新!やさぐれ日記]
■状況
109シネマズ佐野にて無料鑑賞券で観賞
■動機
松尾スズキと平岩紙と主題歌
■感想
満足。
■あらすじ
仕事も恋愛も微妙な28歳のフリーライター明日香(内田有紀)は、ある日目が覚めると見知らぬ白い部屋にいた。そこは“クワイエットルーム”と呼ばれる隔離された閉鎖病棟で、ナースから薬物とアルコールの過剰摂取により運び込まれたと説明される。
■コメント
満足。
本当はもう一本見て行こうと思っていたのだが、これだけで満足してしまった。
これ1本でキレイに完結している物語で、... [続きを読む]
受信: 2007/11/04 22:46
» クワイエットルームにようこそ [C note]
やっとこさ上映中のリンチ最新作『インランド・エンパイア』も観たんだけども、先に [続きを読む]
受信: 2007/11/08 18:44
» 【劇場映画】 クワイエットルームへようこそ [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
佐倉明日香は28歳のフリーライター。ようやく手にした署名コラムの執筆は行き詰まり、同棲相手ともすれ違いが続く微妙な状態。そんなある日、明日香は気がついたら、真っ白な部屋のベッドに拘束されていた。やってきたナースに「アルコールと睡眠薬の過剰摂取により、丸2日間昏睡状態だった」と説明されても、記憶があちこち欠如した明日香は戸惑うばかり。だが非日常的な空間で見知らぬ人々と出会ううち、明日香の中で何かが変わり始める…。(goo映画より)
松尾スズキが監督・脚本・原作ということで、想像... [続きを読む]
受信: 2007/11/11 01:53
» クワイエットルームへようこそ [ダイターンクラッシュ!!]
11月25日(日) 18:30~ シネカノン有楽町1丁目
料金:1300円(会員料金) パンフ:700円
『クワイエットルームへようこそ』公式サイト
一人の女性の再生の映画。舞台は精神病院なんだが。
各界の色々な人たちが、なんか楽しく演技している。
シニカルなコメディーかと思っていたら、後半はかなりシリアスだった。最後の最後で一安心。
可愛らしい子しか演じていなかった蒼井優が、大人びた人間を演じている。成長したな。
妻夫木が軽薄な男を好演。
大竹しのぶが貫禄の怪演。
お勧め度:☆... [続きを読む]
受信: 2007/11/29 22:29
» クワイエットルームへようこそ [ソレはソレ。 コレはコレ。 (仮)]
脚本・監督は平成の鬼才・松尾スズキ。
同名自著の実写化。
佐倉明日香(内田有紀)は28歳の駆け出しフリーライター。
でも、フリーライターと言ってもやっとこ手にした、たった800字のコラムに行き詰まり、記事の督促に追われる身。
そんな行き詰った彼女は....... [続きを読む]
受信: 2007/12/01 21:11
» クワイエットルームにようこそ(-_-)zzz [銅版画制作の日々]
Welcome to The Quiet Room ようこそ、この世界の果てのワンダーランドへ
10月30日、MOVX京都にて鑑賞。あの「大人計画」の主宰者、松尾スズキが、原作・脚本・監督を手がけた作品「クワイエットルームにようこそ」、主役には9年ぶりの長編映画に体当たりで挑む内田有紀。久しぶりに観る彼女は、ブランクを感じさせない。
松尾スズキといえば、最近観たのは「図鑑に載っていない虫」。役者として登場していたが・・・・・。今ひとつインパクトなかったな。
... [続きを読む]
受信: 2007/12/11 23:24
» クワイエットルームにようこそ ─ 人は未完成、そして未完成だから面白い ─ [Prototypeシネマレビュー]
─ 人は未完成、そして未完成だから面白い ─
劇作家、俳優、コラムニスト、小説家などマルチに活動、劇団「大人計画」を主催することでも有名な松尾スズキが、原作・脚本・監督を務めるこの作品。小説は芥川賞候補にもなった珠玉の一作です。
通常、一般の目に触れる....... [続きを読む]
受信: 2008/03/31 01:05
コメント
>『あなた、ありますよ、ここにいる素質が』
う、う、言われたくないですねー!この場所で?!
でも、けっこう、誰にでもありえるコトかも...。
笑いもあったけど、黒いのもあり、でしたね。
松尾スズキ、よく知らずに通り過ぎてきたけど、いいですねー!
投稿: あん | 2007/11/02 22:39
こんにちは。TB&コメントありがとうございました。
謎の女医さんには僕も絶句でした(笑)。彼女の登場場面は本作で一番インパクトがありましたね。
松尾スズキは最近頑張ってますよね。本作だけじゃなく、『ヒートアイランド』やチョイ役だけど『自虐の詩』にも出てました。
投稿: えめきん | 2007/11/03 09:56
こんにちは。
ほんとうに最後は切なかったです。
最近、『17歳のカルテ』との比較もよく見かけますが、
なるほど、この映画の最後の方を思い出すと、
あながち間違ってはいないのかもしれませんね。
投稿: えい | 2007/11/03 11:01
こんにちは♪
僕も早く顔を洗ってくれって思ってました(笑)
>「あなた、ありますよ、ここのいる素質が。」
あの世界に馴染める方が問題なんじゃないかと心配になりました。
やっぱり明日香もまた戻って来ちゃうんですかねぇ。。
投稿: こーいち | 2007/11/03 13:55
こんにちわ。
謎の女医さんもさることながら、
冒頭で大コケぶっかます医者が庵野秀明監督だったことに
私は大笑いしてしまいました(爆笑)。
クワイエットルームって、シンジが目を覚ます
『知らない天井』の雰囲気に似てるんですよねえ・・・。
明日香の元旦那は、
私の大好きな塚本晋也監督だったし(笑)。
あの人・・・観るたびにおでこがヤヴァくなってる・・。
loopには気づかなかった!!
ぐあああ!なんか悔しいっす(笑)。
投稿: 睦月 | 2007/11/03 14:24
■あんさん、こんにちは♪
>誰にでもありえるコトかも...。
いや、ナイナイ(^^;;;。
そんな素質はいらないし、マジ言われたくないですよぉ(><)
松尾さんは、「イン・ザ・プール」ではまりました(^^)あの破天荒なドクターがね、ツボでしたww
■えきめんさん、こんにちは♪
>謎の女医さん
ですよねっ!(爆)
声を誰が担当していたのか見忘れてしまったのが残念です。
私が最近みた松尾さんは「図鑑」ですね。「ヒート」は試写会に当たったのですが、都合によりドタキャン。「自虐」は嫌いな劇場でしかやってないんです。今はほかに観たい作品がいっぱいですし、後ほどDVDでチェックしたいと思います♪
■えいさん、こんにちは♪
『17歳のカルテ』ですか。なるほど。
この作品、後半へかけてすごいことになって行きましたしね。
それにしても、なんとも言いようのない見応えがあった作品でした。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/03 14:35
■こーいちさん、こんにちは♪
明日香の今までの所業を見れば、繰り返しちゃいそうなきがするんですけどね~。もうブレーキもなくしちゃったし(^^;
固まった髪の毛もすごかったですね。普通の病院なら看護師さんが綺麗にしてくれるかしら?
■睦月さん、こんにちは♪
点滴で骨折のお医者さん。実は庵野監督と知ったのはどなたかの記事で(^^;そー言えば・・・と私も悔しかったです(笑)
>『知らない天井』
ぐわっっ!そーだ!!私にもどっか既視感が漂っていたのだけど「エヴァ」につなげることが出来ず・・・。
それもこれも庵野監督に気がつかなかったからですね。益々悔しい~(爆)
一生縁のない世界でありたいですけど、なんとなく「ああー」というお話でした。ディープだったすね。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/03 14:49
こんばんは!たびたびお邪魔しておりますkenkoです。
loop.comは気がつきませんでしたです、さすが!
明日香もまた例外ではないと思いますが
あくまで映画の中ではさわやかなところで終ってて
松尾さんなかなか潔いなと思いました。
女医さんには絶句でしたねー
でもああいう人いるかも?という気もします。。。
ちなみに声を担当していたのは、大人計画伊勢志摩さんだったみたい。
舞台でもちょくちょく男前な役をやってる方です(笑)
投稿: kenko | 2007/11/08 18:43
■kenkoさん、こんばんは♪
あのラストなら、もしかしたら・・という希望も持てますよね(^^)
ブラックをブラックで終わらせないところは毎度のことで、暗澹たる想いのまま席を立たなくて済むという、配慮が嬉しいところです。
>大人計画伊勢志摩さん
情報感謝です!!
・・しかし、「大人計画」ともかく、「で、誰?」ってググっちゃいましたが(^^;)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/08 20:35
まさに‘笑えるけど笑えない’ってカンジです。。。
明日香にやや感情移入、泣き入りそうになりました。。
正常・異常は紙一重、そんな重いテーマの中、
クドカンや他の笑いは「ほっと一息」、ビミョウなバランスを保ってます。
終わり方は、サッパリとなかなか良かったです。
投稿: 未来 | 2007/11/17 01:34
■未来さん、こんにちは♪
>‘笑えるけど笑えない’
ですよねー(^^;)
けれど、私は明日香に感情移入はまったく無く。
正直なところ、「自業自得」と冷めた目だったかなー。願わくは、戻らぬことを・・・てな感じですね。
クドカン、ちょっと男らしかった、と思うのは私だけ?(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/17 17:16
たいむさん、こんばんは。
劇場公開時に気にはなっていたのですが、いろんな事情で見れなかったこの作品。レンタルが開始されたのでさっそく見てみました。
なるほど松尾スズキらしいブラックジョーク満載の作品でした。おおっぴらに笑っていいのかがちょっと微妙でしたが、ラストに明日香が自転車のおばさんを見て笑う姿を見て、それくらいに笑い飛ばして生きていくのが幸せなのかなと、そんなことも思いました。
ちなみにloop.comのメアドの前半はlife_is_happyでした。ラストでこのメアドが出たときは「あっちゃー」と思いましたけどね(苦笑)せめて明日香の今後がHappyであってほしいとは思いましたが…。
投稿: GAKU | 2008/03/31 01:18
■GAKUさん、こんにちは
松尾系の作品は、ゲ○とか、失禁とか、その手のものが必ず出てくるので、時間とか体調を選ばないと気持ち悪くなるので得意ではないのだけど、汚いといっても生理的もので嫌悪するものではないのですよね、本当は(なので許せます)。
そして、軽く笑い飛ばずことで、他人事に出来る自分を確認して安心するような気がしてます。
反面教師とはいわないけれど、人は弱い生き物ですから、「自分は普通」って根拠のない確信が欲しいんですよね、たぶん(笑)
>life_is_happy
お!サンクスです!!
さすがにDVDで見たいとは思わなかったので、謎が解けたようで嬉しいです。DVDバンザイ!!
>せめて明日香の今後がHappy
まったくですね。でもやっぱりドメインが・・・(^^;
投稿: たいむ(管理人) | 2008/03/31 16:41