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2007/11/18

「題名のない子守唄」みた。

Theunknownwoman ウクライナからやってきたという謎の女。女の怪しげな過去。ある家族を監視する彼女の言動は嘘か真か・・・・。
全体的にはミステリー・サスペンス調なのだけど、女=イレーヌに殺気はまるで感じられず、単なる復讐劇とは異なり、彼女の悲痛を感じさせる表情が、すべてを物語っていたように思う。
実に痛々しい物語に、涙なしではいられなかった。
以下、若干ネタに触れてます。

イレーナの過去は、フラッシュバックによってある程度の想像は付くが、いざ断片がカタチをなしてくるとイレーナの真実に切なく胸が締め付けられ、事実が明らかになればあまりのことに涙が溢れ、嗚咽を堪えるのに必死となってしまった。
冒頭での衝撃的なエピソードが、すべての事の発端であることは分る。が、イレーナの計画性の無い行動に、彼女の真意が汲み取れず、やや困惑気味で見つめる私だった。そんな状態のまま、断片的に次々と挿入されるイレーナの忌まわしい過去のフラッシュバックと現実とが重なる。切ない。実は彼女自身、何をどうしたいのか解かっておらず、ただ心の拠り所を求めて懸命にもがいていただけであった。その不安定さが無計画の表れだと知れば、彼女の行動には理解ができるというもの。彼女は何も望んでいなかったし、彼女を生かし支えていたものは、言うなれば「幻影」に近かったんじゃないのかな、と。
女は、ひとりでは脆く儚くもあるけれど、拠り所の有無で逞しく強かな生き物へと豹変する。決して自らの命を断つ事が無かったイレーナの強さが、あの穏やかなラストを呼び寄せたと、彼女が積み立ていたものはテアの為だけのものではなく、自分自身への至上の贈り物へと変化させることが出来た事が嬉しく思われ、私の沈んだ気分を持ち上げてくれた。

全体を通して、重く、決して観ていて楽しい作品ではない。けれど嫌悪感は起こらない。作品として見せ方がとても上手くグイグイと引き込まれる。結果的にやや出来すぎ感はあるけれど、良い作品だったと思う。

総評:★★★★☆   好き度:★★★☆☆++  オススメ度:★★★☆☆+

『あなたになら言える秘密のこと』を彷彿する部分もあり、女としてダブルで切なくなったりはするかなー。

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コメント

哀しい内容でした。
そして、恐ろしい映画でした。
イレーナの思い込みがすべての不幸の発端ですが、
不幸な彼女の人生のなかで、
一瞬でも幸せだったあの時間、
あの瞬間だけに彼女は執着し、
そのために生き続けたのでしょうか?
一人でいちごを食べるシーンが哀しすぎました。

好きかと聞かれて、そうだとは言えないけど
今年5本の指に入るくらいの印象に残る映画でした。
映像の美しさが、よけいに恐ろしかったです。

投稿: mariyon | 2007/11/18 16:06

■mariyonさん、こんばんは♪
悲哀に満ちた作品でしたね。
イチゴの思い出がイレーナの人生で唯一幸せだと思えた時の事。
もしかしたらそれすらも自分で美化していたのかも知れません。父親が誰かなど、あの状態で分る筈がないでしょう?
それでも、全てを乗越え、嘘が真となったラストに救われました。

さすがに私も好きな作品としては挙げられませんが、エンタメ性で「R」な部分を見事にカモフラージュした出来の良い作品として、印象に残る作品となりました。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/18 18:40

こんばんは!、TB・コメント有難うございました。
イレーナが、もうこれで子供は出来ないと言われて、最後に生んだと思い込んでしまった娘テアに対する母性愛は、本物だったと思います。
それにしても、サスペンスの内容で”黒カビ”なるヒモのような男の恐ろしさには恐怖を感じましたね。
殺さなければ、いつまでもイレーナを食い物にする嫌なヤツ!
最後の方で、弁護士さんが全てを聞いて、弁護してくれて救われた思いがします。
刑期を終えて、絶対に迎えに来てくれると思っていた通りの終り方で、また涙が自然に出てしまいました。

投稿: パピのママ | 2007/11/18 21:44

■パピのママさん、こんにちは♪
母性ってのがイマイチ私には分らないので、それだけでみんな本物と思えてしまうのですけど、世の中思い込みは真実を凌駕するってことはあると思ってます。
「黒かび」は最低の男でしたが、若いイレーナにも問題はある。
真実に行き着くまえから真摯に受けてくれた弁護士さんの存在が意外でもあり、嬉しかったですね。
お迎えのラストは予想通りでしたが、想像以上に穏やかで救われるラストでした。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/18 23:14

こんばんわ。

≫女は、ひとりでは脆く儚くもあるけれど、
拠り所の有無で逞しく強かな生き物へと豹変する。

ああ、とても素晴らしい一文です・・・。
私はイマイチ母性というのものの凄さが分からない人間
なのですが、やっぱりこういう作品に興味を持ち、思わず
観てしまい、そして痛烈にいろんなことを感じてしまうと
「私、女なのね」ってちょっと思ったりします。

たしかに『あなたになら~』を連想させる作品でも
ありました。いつの世も女は暴力や性により傷つけられる
対象になりやすい・・・そういう意味ではホントに同性と
して心に痛く切ない作品たちでもありますよね。

投稿: 睦月 | 2007/11/19 01:22

こんにちはー。
この冷ややかさがたまらなく良かったです。
常にいろんな演出に惑わされドキドキしました。
これってやっぱり典型的な映画なのかもなあと思いましたが、ラストはいい余韻をいただけた気がします。
母性ってーのは子供を産んでから子供に育てられる物ですから。睦月さんがわかっていたらそりゃすごーいと思うところです。隠し子がいるなら別ですよぁ。あ、横レスすんまそん;
そうそう、睦月さんも指摘したたいむさんの文章、とてもすてきー。
>決して自らの命を断つ事が無かったイレーナの強さ
=たとえそれが憎しみのような気持ちでも、何かに執着することで生きる選択をしてこられたことは、見てるこちらも勇気が湧きます。そしてその憎しみは時を経て生きる喜びに転じることもあると思えたラストはまさに感無量でした。

投稿: シャーロット | 2007/11/19 14:10

■睦月さん、こんばんは♪
一文をお褒めいただきありがとうございます(^^)
ホント「母は強し」って思い知らされますよ。
私も母性ってものには縁がなく、やっぱ1人くらいは生んでみるべきだと、今更ながらに思ったりしてますです。
でもまぁ、劣等感を持つ必要はまったく無いですし、それぞれの思い描く「母性」でいいかなって思ってます。彼氏や夫に対する愛だって母性の一部かもしれませんしねー(^^)

仕事では対等って時代になっても、「女=弱者」は否定できないんですよね。
でも「男=強者」ではない。そこんとこを履き違えているオオバカ男が最低なんです。
・・と、ココで憤ってもしょうがないんですけど(^^)


■シャーロットさん、こんばんは♪
いっぱい惑わされましたねー。
じっとりじっくりネチネチと事実を見せ付けられる作品は見終わったときにツライんですが、そのあたりを上手に料理してくれて良かったです。
>典型的な映画
やはり、適度なエンタメはあってしかり。それが映画、でいいんじゃないすかね?

そうか、母性は子供に自覚させられるものなんですね。じゃ、誰の子でも可能性はあるってことよね?よっしゃー(何が?w)

>すてきー。
あはは。なんだか恥ずかしいなぁ。
良くも悪くも得体の知れないパワーを感じますよ、こういうのって。盲目的にエスカレートして狂気に転じちゃうと恐ろしくなりますけど。
それにしても踏ん張る女の姿ってカッコイイです。応援したくなりますし、自分も何とかしなくちゃって気になりますね。

テアとイレーナが似ていると思ったのはクルクルヘア♪
色も同じっぽかったし、クリスマスの写真は親子のようにみえませんでしたか?
私が真似をすると・・・きっとウーピーもどきになりそうだわ(><)顔じゃなくって髪の量が多いから爆発しすぎてって意味で(笑)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/19 20:45

お久しぶり,たいむさん
これはとってもよくできた作品でしたね。
好き嫌いは激しく分かれそうですけど・・・・。
私は好きかな。「母性」ということについて
なんだかどど~んと考え込まされました。
イレーナがあんなにも苛酷な人生の中で
一度も自殺を考えなかったこと
そう言われてみれば,ものすごく強い女性ですね。
ラストに彼女の苦しみが報われたようなあのあたたかい場面・・・。
あのシーンで,それまでの暗いイメージが一気に反転したような気がして,何ともいえない気持ちになりました。

投稿: なな | 2008/06/02 00:17

■ななさん、こんにちは
女の執念が女を強くするというちょっとコワイところもありましたが、背景を考えると痛々しい物語でしたね。
ラストには泣かされましたね。苦しみも悲しみも全て昇華されていたらいいなって思いますね(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2008/06/02 17:11

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