「オリヲン座からの招待状」みた。
純粋に映画を愛する気持ち。純粋に映画小屋を守りたいという気持ち。純粋に共に生きる者を愛する気持ちがひしひしと伝わってくる物語。
懸命に愛を貫き通す姿に胸が締め付けられる作品だった。
以下、若干ネタに触れてます。
浅田作品は、一つの場所(モノ)に複数のカップルや個人が、時には密接に、時には間接的に関わり合い、干渉・共鳴しあって互いに忘れていた何を思い出し、新たなるスタートを切り出すというお話が多いように思う(よくは知らないけど)。この作品もそうした色が強く感じられるものだった。
この作品での特定の場所(舞台)は京都でひっそりと営まれている私設の映画小屋「オリヲン座」。天涯孤独の身で、さらに無一文で「オリヲン座」に飛び込み弟子入した留吉と、館主の松蔵、館主の妻トヨ、松蔵が他界した後「オリヲン座」に足繁く通っていた子供達(祐次と良枝)の現在と当時の回想で綴られている。
戦後の大衆娯楽として人気を博していた映画。留吉が弟子入した時期が、映画の全盛(後)期だったのだろうな。直後のTVの普及により映画の長い低迷期が始まるのは周知の事。松蔵が病で他界し、若くして後家となったトヨと、松蔵に「オリヲン座」を託された留吉の共同生活は想像以上に厳しいものとなった。時代の変革という流れと、内実も知らずに留吉とトヨに向けられる悪意に満ちた世間の白い目。互いが自分を責め、互いを思いやる2人の姿に「負けるな!」って応援したくなった。
展開はベタで、思ったとおりに話が進んでいくのだけど、祐次と良枝の2人の子供達の登場からは分かっていても逆境にめげず、他人に当たらず、人と映画と互いをこよなく愛し続ける留吉とトヨの姿に胸が詰まらせながらの鑑賞となった。
控えめでどっか頼りな気なのだけど、一途な情熱と芯の強さを見せる留吉を好演した加瀬君がとても良かった。しかし、さすがに17歳にはちょっとムリが。直ぐに3年後でホッとした(笑)
儚げでありながら凛とした美しさを併せ持つトヨを見事に演じたりえちゃん(なんか「ちゃん」なんだよね、未だにw)。晩年の留吉の哀愁を見せてくれた原田さん、皆さんとても素晴らしかった。それから、祐次役の田口さんと、子役の男の子がなんだかそっくりに見えて笑っちゃったわ(^^)
総評:★★★☆☆++ 好き度:★★★☆☆+ オススメ度:★★★☆☆++
しっとりとした晩秋に似合う1作。ちょっと泣きたい気分の人にはオススメかな(^^)
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» オリヲン座からの招待状 [悠雅的生活]
オリヲン座をほかしたらあかん。 [続きを読む]
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映画「オリヲン座からの招待状」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *出演:宮沢りえ、加瀬亮、宇崎竜童、田口トモロヲ、中原ひとみ、樋口可南子、原田芳雄、他 *監督:三枝健起 *原作:浅田次郎 感想・評価・批評 等、レビューを含む記事・ブログからの..... [続きを読む]
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僕ずっとオリヲン座を守るさかい__ここでいつまでも、一緒に映画かけてもらえますか。時代に翻弄されながらも、映画館をまもり続けたふたりの愛と、優しい奇蹟の物語。
「さて突然ではございますが、昭和25年の開館以来半世紀以上にわたって、地元の皆様に愛され親し...... [続きを読む]
受信: 2007/11/09 17:01
» 映画 【オリヲン座からの招待状】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「オリヲン座からの招待状」
浅田次郎の同名短編小説の映画化。
おはなし:昭和25年の開館以来オリヲン座の館主を務めてきた松蔵(宇崎竜童)が病に倒れ、その弟子だった留吉(加瀬亮)が志を継ぎ、先代の妻トヨ(宮沢りえ)と映画館を守ることになった。
先週末公開の新作映画は東宝と東映の昭和ノスタルジー対決と相成りました。
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』に真っ向勝負しないほうがよかったのにな〜と思いました。こちらは大作というよりも小品の味わいで、私は最近の浅田次郎作品の映画化の中ではかなり... [続きを読む]
受信: 2007/11/10 00:12
» 『オリヲン座からの招待状』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「オリヲン座からの招待状」□監督 三枝健起 □脚本 いながききよたか□原作 浅田次郎( 「鉄道員」集英社刊)□キャスト 宮沢りえ、加瀬亮、宇崎竜童、田口トモロヲ、樋口可南子、原田芳雄、中原ひとみ
■鑑賞日 11月3日(土)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★☆ (5★満点、☆は0.5)<感想> この映画を観ながら『カーテンコール』や『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出していた。 そしてこの映画には関係ないけど、どこかでりえちゃんと芳雄ちゃんが出て... [続きを読む]
受信: 2007/11/10 09:21
» オリヲン座からの招待状 [ネタバレ映画館]
せめてホクロを・・・ [続きを読む]
受信: 2007/11/10 11:30
» オリヲン座からの招待状 [アートの片隅で]
「オリヲン座からの招待状」の試写会に行って来ました。
映画を観ていて、どうしても眠くなってしまい、不本意ながら寝てしまうことは度々あるのですが、、、、この映画は自ら寝ました(≧◯≦)ゞ
少々寝てしまっても、あまり話は進展していないと思って15分くらい寝たのですが、案の定ちっとも話は進んでいませんでした。
あまりのダラダラした進行に、途中で帰ろうかと思いました。
実際、前に座っていたじいさんが途中で帰ってしまいました。(私なんかよりこの映画のターゲットな筈なのにねぇ、、、)
そもそ...... [続きを読む]
受信: 2007/11/11 17:17
» 『オリヲン座からの招待状』鑑賞 [★☆★風景写真blog★☆★healing Photo!]
『オリヲン座からの招待状』鑑賞レビュー!
僕ずっとオリヲン座を守るさかい──
ここでいつまでも、一緒に映画(シャシン)かけてもらえますか。
人気作家・浅田次郎の同名短編を基に
閉館を迎えた小さな映画館を取り巻く
人々の人生模様をノスタルジックに綴る
ハートフル・ドラマ
主演は「たそがれ清兵衛」「父と暮せば」の
宮沢りえ、共演に
「それでもボクはやってない」の加瀬亮
監督は「MISTY」の三枝健起
2007年/日本
公開日::::2007年1... [続きを読む]
受信: 2007/11/11 19:36
» 映画『オリヲン座からの招待状』 [健康への長い道]
梅田ブルク7で『ALWAYS』と同じ昭和30年代を舞台にした映画『オリヲン座からの招待状』を鑑賞しました。公開日まで一緒って・・・#63897;。この映画にとっては良いことなのか、悪いことなのか。 Story ある日、夫・祐次(田口トモロヲ)と別居中の良枝(樋口可南子)..... [続きを読む]
受信: 2007/11/13 00:26
» 「 オリヲン座からの招待状 (2007) 」 [MoonDreamWorks★Fc2]
【オリヲン座からの招待状】 11月3日(祝/土)公開
監督 : 三枝健起
出演 : 宮沢りえ [続きを読む]
受信: 2007/11/20 22:54
» ロケ地にも興味津々「オリヲン座からの招待状」 [もっきぃの映画館でみよう(もっきぃの映画館で見よう)]
三連休というのにいろいろあって映画は、お預け。11/3の三丁目以来映画館には
行っておらず、そろそろ禁断症状がでそうです。頼みの福知山シネマも2スク
リーンあるのにいまは1スクリーンしかつかっておらず12/7までは三丁目。
来週は5本はみたいと思いながらいろいろと見に行きたい映画の内容を
妄想しております。今一番気になっている映画は「オリヲン座からの招待状」
ロケ地について、少し書きます。
京都駅烏丸中央口をでたところあたりに、3m×6mぐらいの広告用ショーウインドウみたいなのがあります。 先週の... [続きを読む]
受信: 2007/11/23 21:58
» オリヲン座からの招待状 [ケントのたそがれ劇場]
★★★★ とにかく中盤からは泣きっ放しで、ハンカチが水びたしであった。僕だけではなく、劇場中にすすり泣く声がこだまする。 TVが普及する前、娯楽の王様は「映画」だった。ニュース専門の映画館もあったし、都内の国電ならほとんどの駅に、私鉄でも急行の止まる駅な... [続きを読む]
受信: 2007/12/01 14:57
コメント
こんばんは~♪
先週、珍しく試写会に当たって観たのですが、
今日、もう1回観に行ってしまいました。
初見よりも、ずっと胸に迫るものが多くて、
途中から、嘘みたいにずっと涙が溢れて止まらず、
自分でもびっくりしてしまいました。
>祐次役の田口さんと、子役の男の子がなんだかそっくり
ホント、ホント!もう、何の違和感もなかったです。
加瀬くん→原田さんはちょっと。。。と思うのだけど、
じゃあ、原田さんじゃなければ誰?というと、思いつかないのです。
それにしても、りえちゃん(やっぱり、ちゃん、です)、加瀬くん。
この2人の好演のおかげで、わたしは暫くこの世界から抜け出せそうにありません。
投稿: 悠雅 | 2007/11/08 00:08
■悠雅さん、こんにちは♪
2回もご覧になるほど気に入られたのですね(^^)
若い2人がとても良かったですよね。
私は泣くまでには至りませんでしたが、ズンって胸に来てました。
>じゃあ、原田さんじゃなければ誰?
私も考えたんですけど、これといって思い浮かばなないんですよね。10年後の役所広司あたりは・・・ちょっと違うし間に合ってない(^^;)
りえちゃんは、やっぱり「ちゃん」ですよねw
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/08 17:09
こんばんは♪
留吉の「17歳です」には噴き出しそうになりました。
いくらなんでもおこがましい~(笑)
加瀬君、りえちゃん、原田さん、みなさんすごく良かったのですが、やはり大人→大人の役代わりってかなりリスクがありますよね。
映画館が舞台のお話ってどうしても肩入れして見てしまいます。
明日は早朝から出かけるので「ボーン」の最新作が見れません(泣)
お会いした時にでも感想をお聞きしますね~。
月曜日が楽しみです☆☆
投稿: ミチ | 2007/11/10 00:16
■ミチさん、こんにちは♪
どう見ても「17歳」はムリですよね(^^;
しゃぁしゃぁと言ってのけた加瀬君に吹き出してしまいました。
大人→大人は難しいですよね。
けど、「グット・・」でのマットみたいに何歳の役だよ、ってのもいただけないし(><)
月曜が楽しみですね!
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/10 17:52
こんにちはたいむさん、ケントです。TBお邪魔します。
予告編を観たとき宇崎竜童は、宮沢りえの父親かと思いましたが、妻だったんですね。
子供の頃の映画館を思い出して、ホロリとさせられました。
投稿: ケント | 2007/12/01 14:56
■ケントさん、こんにちは♪
>宇崎竜童は、宮沢りえの父親
そうですよねー(^^)
前知識を入れていなかったので、夫婦と言われるまで、私もそう思ってましたw
私は、こうしたミニシアターに通った経験が皆無なので憧れます。随分変ってしまいましたね、日本は。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/01 16:34
たいむさん、こんにちは☆
コメントありがとうございました~
この映画、宮沢りえ主演と言うことだけで、興味を持った作品なのですが、日本人ならではの相手を心から思いやる優しさに溢れた静かな愛の形が描かれていて、地味ながらも心にしみる映画でした。
こんな愛の形は日本人じゃないときっと理解できないでしょうね~
良くも悪くも、古き良き時代の人情に溢れていました・・・
投稿: rikocchin | 2007/12/09 11:22
■rikocchinさん、こんにちは♪
宮沢りえも何をやっても宮沢りえなんですけど、それだけ女優の貫禄が付いたって気がしています。
本音を言えば、彼女の元気な役がもっと見たいのですけど。
思いやりに溢れたやり取り、奥ゆかしさがとても美しかったですね。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/09 13:03