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2007/10/07

「シッコ」みた。

Sicko 冒頭、医療費が払えないからと、パックりと割けた”自分の足を、自分で縫う”痛々しい映像に「しまった。」と思った。次なる映像は、如何にも指の切断を彷彿される歯がむき出しの工具。「まずい・・・」。話を聴くだけでも手足と目がうずきだしてきて、スクリーンを直視できない。・・・しかし、彼らの話ではないとナレーションが入る。ホッと胸をなでおろしたが、そこからの話もイタイ話で満載。実に興味深い作品だった。
(以下、若干ネタに触れています)

アメリカには国の医療保険制度はなく、すべてが個人と保険会社の契約であることは、英会話教材の中の『病気や事故にあった時』の項目を勉強した時に知った(カナリ以前ではあるけれど)。教材とはいえ、日本との違いを面白く感じたものだったが、これほどまでにシビアなモノとは想像だにせず。
この映画では、アメリカの保険制度が如何に偽善を謳った儲け商売であり、儲け分はより儲ける為にのみ使用される仕組みを暴露していた。医療保険会社や製薬会社、そして病院、関連企業と政治家が絡みあい、必然的に優遇措置がとられ保護され続けるループな仕組み。そこに医療を必要としている者の存在は欠片もなく、結局のところ保険に入っていようがなかろうが、”無条件”で万人にアイの手が差し伸べられることはない、ということだ。
医療がほぼ無料で受けられれるカナダや英国・フランスの実体と対比し、ほとんどカルチャーショックに近い反応を見せる監督が面白い。嘗てヒラリー・クリントンを中心に、「アメリカにも”国民皆保険”の政策が打ち出され、潰された経緯と合わせて、”誰でも同じ”という条件に「支配と社会主義(者)」を結びつけてしまう発想が実に興味深い。
アメリカの国民性か?「フランスは、国民を恐れているから国民保険は成り立っているのではないか?」という地元の発言からも、各国の制度・政策の中には、国の歴史や伝統、根深い国民性の反映がありそうだと想像できる。
日本は有り難い事に、一応『国民健康保険』の制度が確立され、基本的には誰でも気軽に医療を受けることができる。最近では保険料の値上がりが相次ぎ、負担額も増える傾向にはあるけれど、アメリカの実体を見ればマシだとツイ思ってしまった。けれど、それで安心しているようでは、いずれ日本もアメリカと同じ轍を踏む可能性が十分にありそうだぞ、と思い直すことにした。何故、保険料も医療費も上昇し続けているのか?高齢化社会だから?本当に?それだけ?? 年金問題を鑑みても、対岸の火事、アメリカのことだと笑っている場合ではないのだ。

笑う・・そう、ところどころ笑っちゃう作品でもあった。医療を受けられずに大切な人を亡くした家族のインタヴューの直後に笑ってはいけないのかもしれないが、深刻になり過ぎない為の監督の配慮からか、保険会社や政治家を揶揄する形での笑いがカナリ盛り込まれている。音楽の使い方も軽くて分りやすい。・・で、ありながら『9.11』のボランティア後に不自由している人々、キューバでの出来事に思わず涙してしまうオカシな作品。

面白い・・というと語弊はあるけれど、いろいろな意味で面白い作品だったと思う。また、毎度の事ながら、一方的な見せ方ではあるので、これで全てを知った気になってはイケナイという事は、忘れちゃいけないね。

総評:★★★★☆  好き度::★★★★☆  オススメ度::★★★★☆

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コメント

こんにちは。TB&コメントありがとうございました。

深刻な社会問題をコメディに仕立て上げるマイケル・ムーア監督の手法が大好きです。社会問題の勉強になる上に娯楽としても楽しめるんだから一石二鳥ですよね。

ここ数年医者の世話になっていない僕は日本の医療制度の問題に対しては実感が湧きませんが、よりよい国にするためにも医療先進国であるキューバやフランスを見習って欲しいですね。

投稿: えめきん | 2007/10/07 07:53

たいむさん☆

こんにちは!
コメントありがとうございますー^^
マイケルムーア、いつも興味深いネタを暴いてくれますね、
次回は同性愛に切り込むらしいので?それもまた楽しみです。
医療問題も奥が深いから一概に鵜呑みにも出来ないかもだけど、
いろいろと考えるきっかけになりますよね☆

投稿: mig | 2007/10/07 09:52

■えきめんさん、こんにちは♪
ドキュメンタリーは好きなのですけど、あまりにも深刻過ぎなのは恐怖を感じちゃいますよね。
とても見やすい作品でよかったです。

時々歯医者など、軽度な医者にかかりますが、1割が2割、3割とじりじりと上っていく診察料。健康保険料の給与天引き額も毎年見えない程度に上る一方。
理解は出来なくはないけど、破綻だけはカンベンしてほしいです。
いけないのは、気分が良いから病院へ行くお年寄りではなく、営利目的に動く人々の自己中心的な画策ですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/07 09:54

■migさん、こんにちは♪
次回は同性愛ですか・・・
コチラも興味深いけど、今度こそ実感はわかないし、理解しがたいだろうなぁ(^^;

映画の場合、興味のある人が観に行く・・というのはありますけど、出来るだけ多くの人に観てもらって、ちょっとしても知って考えて貰いたい内容でしたね。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/07 10:06

たいむさん
TB有難うございました。こちらからもTBしてみましたが、
反映せず・・・・。ということでコメントにて
失礼します。先進国のアメリカの医療制度がこれほど
まで、酷いとは思いませんでした。自由な国はすべて
自由というのも、問題ありですね。公的保険制度の導入、
ブッシュ政権は消極的だと聞きます。保険会社との関係
に何かありそうですね。

投稿: mezzotint | 2007/10/07 11:03

■mezzotintさん、こんばんは♪
先進国というよりは、お国柄なのかもしれません。
勝ち組で成り立っている国ですから、転落してみないと分らないのかもしれません。(買ってるうちは気になりませんし)
金額を表示したシーンが面白かったですね。
大統領が最高額なのも(^^;;;;

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/07 17:58

こんばんわ。

ムーアの作品って非常に独特ですよね。
ドキュメンタリーというには視点が偏りすぎているし、
エンターテインメントと言うにはあまりにも辛辣すぎる。
もはや彼の作品って、『マイケル・ムーア』という一つの
ジャンルなのかもしれません(笑)。

この作品に描かれていることを全て鵜呑みにすることが
正しいとは言えないけれど、医療制度というものに対する
意識を改めるという意味では非常に意義深い作品でした。

冬にアメリカに行こうと思ってるんですが・・・
しっかり日本で保健入っていこうと改めて思いました(笑)

投稿: 睦月 | 2007/10/08 00:33

■睦月さん、こんにちは♪
>『マイケル・ムーア』という一つのジャンルなのかもしれません(笑)。
さすが、上手いこと言いますね~。
アンチ「マイケル・ムーア」が居るくらいですし、まさにそんな感じですねw

>全て鵜呑みにすることが正しいとは言えない
そうそう、アンチ派もそこを言いたいんじゃないかな?って思います。
とはいえ、毎度の驚愕の事実は、興味を持つことへの切っ掛けになりますし、今後もこのような作品を期待したいですね。

アメリカへの海外旅行保険!同感です!!(^^)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/08 14:35

トラコメ感謝です
主張は偏り気味かもしれないけど、見せ方が上手いですよね、ムーア監督。
酷い深刻な話なのに楽しく見られちゃうのが不思議です。
影響力もかなりなものらしいので、世直しに邁進して欲しいです。

投稿: くまんちゅう | 2007/10/08 18:09

■くまんちゅうさん、こんばんは♪
ええ、ほんとにムーア監督、見せ方が上手いですよね~(^^)
深刻にならずに見られた「シッコ」とても良かったです。
偏見から見ない人も居るでしょうが、それを越えてみてみて欲しい作品ですね。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/08 18:50

こちらにも・・。
新潟と同時期に公開なのかしら~(笑)
保険でカバーできない病名がスター・ウォーズのテーマに乗って宇宙の彼方へ消えていくシーンが好きでした(SWオタクです)
ヒラリーが大統領になった暁にはもう一度制度を考え直してくれるのかしら?
日本の今後のこともかなり気になりますよね。

投稿: ミチ | 2007/10/09 21:35

■ミチさん、こちらにもw♪
今回は(遅いなりに)似たラインナップでしたねw

>スター・ウォーズのテーマに乗って宇宙の彼方へ
私もここが大好きです(^^)
「A」から始まってどこまでやってくれるかと思っました。段々テンポが速くなるのも可笑しくっておもわず笑っちゃいましたw

ヒラリー女史の豊富な政治資金は一体どこから出ているか・・・かもしれませんよ。このテーマの復活イカンは(><)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/09 22:37

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