「サウスバンド」みた。
なんだか一郎さんとさくらさんに感動してしまった。その血をしっかりと引いている姉弟妹も素敵だ。今時ありえなさそうな上原家。とても私には真似のできない彼ら一家がどこか羨ましい。
二郎くんの視点で、二郎くんを中心に描かれた<東京編>も、一郎さんの本領発揮な<沖縄編>も、どちらもとても良かった。
(以下、若干ネタに触れてます)
なんてカッコイイお父さんだろう。
過激派でアナーキスト。聞こえは良くないけど、純粋に自ら信ずるものを信ずの精神を貫き、間違っているモノに対しては断固として「NO」と言える日本人(一応)。人として世界に生きる自分自身に君臨する王様だね。けれど、自分以外の世界を否定しているわけではないし、権利を主張し、偽善を語っているわけでもない。ただ利害のない人として、助け合う心・無償の愛こそが人としての基本であり本来の姿であると言っているだけなのである。よって、それなくして、強制的に理不尽が行われようとしていたならば、身を挺してでも闘う男であり続けよう、ってことなんだよね。
確かに、世界中の誰しもが同じ心を持つことが出来たなら、おそらく戦争なんて起きないんだろうなぁ~と思える。理想だ。
しかし、現実はかけ離れたもの。人々は、「何が当たり前なのか?」等と考えることなく、当たり前を受け入れる。権利があれば当然義務がある。そういうものだと思っていることは確かであり、それが「オトナになること」なのだと勝手に悟っていく。
破天荒で世間ズレした父の言動や背中をみて育った二郎は、表面では父の非常識を恥じ、”世間”と同化したいと思いつつも、”これは何かが違う”とハッキリモノが言える子に育っていた。事件を起こしてしまった二郎の正義を理解し、決して二郎を責めない両親(褒めたり庇ったりもしないが)。そして、児童施設送りを頑なに拒絶する二郎の姿にグッときた。長女洋子もそんな両親を理解し、家族を愛し、父には手を余しながらも尊敬の念を抱いている。なんてステキな家族なんだろう。
ちょっと夢のような生き方と、理想を地でいく家族ではあるけれど、「こういうのもアリなのか?」と、無為に大人になってしまった自分自身を顧みてしまう作品だった。
総評:★★★★☆ 好き度:★★★★☆ オススメ度:★★★★☆
豊川悦司に天海祐季は言うまでもなく、どちらも見事にハマリ役だった。
二郎君役の田辺修斗くんは、張り過ぎない演技の中にも華があってとても素晴らしかったし、松山ケンイチの新垣巡査!味があって良かったぁ~(^^)
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コメディ&ドラマ&青春
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【物語】
東京、浅草。小学6年生の上原二郎は、両親と姉、妹の5人家族。そんな
二郎の悩みの種は無職の父親、一郎のこと。年金....... [続きを読む]
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【脚本】森田芳光
【原作】奥田英朗 『サウスバウンド』(角川書店刊)
【主題歌】中島美嘉 『永遠の詩』
【時間】114分
【出演】
豊川悦司/天海祐希/北川景子/田辺修斗/松本梨菜/松山ケンイチ/平田満/吉田日出子/加藤治子/村井美樹
<ストーリー>
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□作品オフィシャルサイト 「サウスバウンド」 □監督・脚本 森田芳光□原作 奥田英朗(「サウスバウンド」角川文庫刊) □キャスト 豊川悦司、天海祐希、北川景子、田辺修斗、松本梨菜、松山ケンイチ、平田満、吉田日出子、加藤治子■鑑賞日 10月14日(日)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)
<感想>
ここのところあちこちの映画に顔を出しているトヨエツ。 この作品では破天荒な元学生活動家の過去を持つ父親を演じている。 そしてその一家の物語を描いていくハチ... [続きを読む]
受信: 2007/10/22 08:46
» サウスバウンド [bibouroku]
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作品は、ある意味今の日本の現状も映し出してました。
あらすじは・・・
東京、浅草。小学6年生の上原二郎は、両親と姉、妹の5人家族。そんな二郎の悩みの種は無職の父親、一郎のこと。年金の督促に来た区役所... [続きを読む]
受信: 2007/11/04 13:10
» サウスバウンド [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
『この一家、どこへ行っても何かある!!』
コチラの「サウスバウンド」は、奥田英朗の同名小説を「間宮兄弟」、リメイク版「椿三十郎」の森田芳光監督が映画化した青春コメディです。
主人公は、破天荒な父・上原一郎(豊川悦司)、いわゆる学生運動に身を投じた青春時...... [続きを読む]
受信: 2010/03/11 21:04
コメント
こんばんは♪
あのぶっ飛んだお父さんさえクリアできればこの映画は楽しむことができるかな(笑)
いつものことですが、原作はもっともっとちゃんとしてるんですよ。
上原家が東京から沖縄に行くことになったきっかけは二郎のことではないんですよ。(映画ではそう見えるような脚本でした・汗)
言ってもせん無いことですが、それでもたいむさんがこんなに感動してくれてなんだか嬉しいです。
マツケン君、本当に主でも脇でもいい味出しますね~。
投稿: ミチ | 2007/10/09 21:31
■ミチさん、こんばんは♪
ぶっ飛んだお父さんに拒絶反応を示す人は、確かにいそうですね。
非常識だなぁーとは思うけど、話を良く聞けば筋が通ってますし、一理あるかな?とも思えます。
>上原家が東京から沖縄に行くことになったきっかけは二郎のことではないんですよ
そっか、違うんですか。
映画では二郎君の事件が切っ掛けにしか見えないですよね。
いや、それだけではないだろうとは想像がつきますが、映画ではあまりにも唐突で、これでは「逃げた」と思われちゃうんじゃないかな?って思ってました。
なんか目から鱗のような感動でしたねー。
松山くんサイコー!「L」も楽しみです。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/09 22:31
こんにちは♪
二郎クンは親父さんのことを恥じてても友人の
黒木クンを守ったり、不良少年に立ち向かった
りと、血はもちろんのことその精神もきちんと
伝わってましたよね。
親父さんも西表島の校長先生や新垣巡査と体制
側の人間でも気にいれば受け入れる姿勢がカッコ
よかったです♪ (゚▽゚)v
投稿: 風情♪ | 2007/10/14 00:06
こんにちは♪
言いたいことは分かるんですけどこの映画のお父さんだと
わがまま言ってるようにしか感じられませんでした(苦笑)
きっと原作はいいんだろうなっていうのは分かりました。
松ケンはいい味出してましたよね★
投稿: こーいち | 2007/10/14 00:27
■風情♪さん、こんにちは♪
良し悪しはともかく、信念を持ち、貫く覚悟のある人はカッコよいです。
二郎君は、もしかしたらお父さん以上の好人物になるかもしれませんね(^^)
■こーいちさん、こんにちは♪
この映画ではちょっと足りないのかもしれませんね。東京も逃げ出した見たくなってしまったし。
オススメされたこともあり、原作を読んで補完してみたいと思ってます。
松山くん何をやらせてもイイですね~ww
投稿: たいむ(管理人) | 2007/10/14 09:28
こんばんは!
コメントありがとうございました。
キャストは確かにハマってましたね。
トヨエツの振り切れ具合がよかったです(笑)
松山ケンイチの素朴そうな警官役も。
投稿: keikei | 2007/11/08 22:52
■keikeiさん、こんばんは♪
トヨエツ&天海夫婦は絵になりますね~(^^)
松山くんは何ヤラしてもいい味を出してくれますね。
「L」と「椿三十郎」の松山君が楽しみです!
投稿: たいむ(管理人) | 2007/11/09 17:14