「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」みた。
交通事故によっていっぺんに両親が亡くなり、残されたものは借金のみ。兄1人、兄嫁1人、妹1人の同居生活に”家族”という風景はなく、微妙なバランスで保たれた単なる共同生活が残った。そこにトンデモ長女が戻ったことから、遂に均衡は破られ崩壊へと突き進んでしまう、たぶん悲しい物語。”たぶん”なのは、兄嫁以外は誰もがそれを望み、”破滅による再生”を願っていたように思えるフシがあるから。よって、張本人達は本当に喜んでいるのかも、と思うとちょっとコワくなったりして(^^;)
けれど、そんな屈折した想いも、もしかしたらアリなのかと思えば、「ああそうか」と思えてくるから面白い。この兄妹のように極端ではないしにしても、誰しもどれかしかの要素を持ち合わせているような、まったくありえないお話に見えないのが素晴らしい・・んだろうなぁ。
それにしても”清深”の描く漫画・・というか表現力がすごい。(あまり読みたいとは思わないけど) 実の体験に基づいてるのだからそりゃリアルだわね。ネタ元が姿を消したことで、穏やかに暮らしていればそのまま封印していけただろうに、”ネタ”が次々に飛び込んできちゃったら、そりゃ我慢も限界だぁね。彼女の苦悩がまさかそっちにあったとは驚きだった。最低な人間だと知りつつも止められず、自虐的でさえあるだもん、哀れだよね。
”澄伽”も、世界は自分中心に回っている女王様ようでいて、自らが回ってしまっている矛盾に気が付かない気の毒なひと。媚びまくってる滑稽な姿は傍から見たら面白過ぎ。ホント”ネタ”そのものだわね(^^;)
しかし、一番哀れなのはマチコさんか?結局はまたひとりぼっち。せめてもの思い出が出来てよかった・・のかな?
最終的に残ったモノは再び動かなくなった扇風機だけ、ってことか?
再び動いた扇風機のように、少なくとも姉妹は破滅の限りを尽し、本当に再生してしまうそうなラストは喜ぶべきこと、救われたのだ・・と考えるべきだろうか?ちと解釈に迷っている。それにしても凄い愛憎劇だった。
総評:★★★★☆ 好き度:★★★☆☆+ オススメ度:★★★☆☆+
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コメント
あの「マンガ」は凄かったですねぇ。とても効果的だったと思います。
最近流行の「家族愛」とか「家族が一番」みたいなノリ、私的には抵抗があるので、こういう「家族」の扱いというか、スタンスは好みです。
「家族なんだから」というのに「抑圧」や「甘え」「依存」、そして「ヒエラルキー」を感じてしまう方なので。家族でなくても、むしろ家族でない方が、共感したり、甘えのない相互関係を築くことができる、そんな気がしてます。サトエリ、良いキャスティングだったと思います。
投稿: あかん隊 | 2007/09/11 21:13
■あかん隊さん、こんばんは♪
漫画も凄かったし、実写の漫画的なカット割りの効果は絶大でしたね。
そこで終わらないものビックリでしたが(^^;)
私も同じく「家族が一番」なノリはちょっと・・・という部分があるので、この手の描き方に嫌悪感はおきません。
「家族だから」って言うと、どっちの意味でもあるので「家族って難しいです。
誰にとっても都合のいい存在であることは、間違いないのですが・・・(><)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/11 21:33
トラ・コメどうもです。
主演のサトエリがこの映画にはまってたかどうかは、
ひらりんにとって、あんまり関係なかったようです。
よーーーく考えると、
サトエリ・MEGUMI・小池栄子あたりが苦手なひらりん・・・
って、三人とも、所属事務所一緒だったかなっ。
巨乳タレントが苦手なひらりんでした。
投稿: ひらりん | 2007/09/12 01:10
こんにちは。TB&コメントありがとうございました。
澄伽のキャラクターがとにかく印象的でした。サトエリの存在感が凄かったです。そしてそんな澄伽を最後に手玉に取った清深がさらに凄い。ラストの怒涛の展開はちょっと唖然としてしまいました。
投稿: えめきん | 2007/09/12 06:54
こんにちは♪
またまたTBが不調になってまいりました(泣)
ホラーマンガって苦手ジャンルなので、清深の描く物をチラっと見ただけでもゾゾーっとしました。
最強キャラは清深だと思っていましたが、本当の最強キャラはマチコだったんだな~と思います。
あの不気味な歌と人形はある意味イタくてコワい。
身寄りの無いあの田舎で彼女はずっと暮らし続けるんでしょうかねぇ?
投稿: ミチ | 2007/09/12 09:04
■ひらりんさん、こんばんは♪
元イエローキャブのメンツが苦手ってことかしら?
なるほど、それじゃぁね(^^)
私はなかなかハマッていたと思いましたが、好みの問題は仕方ないですね。
■えきめんさん、こんばんは♪
今年最強の姉妹!ってことですね(笑)
原作も何も知らずに観ただけに、なかなかの衝撃でした。
それでも、なーんか我が身に帰って痛い部分がある、面白い作品でしたw
■ミチさん、こんばんは♪
昔は嫌いじゃなかったのですけど、私も、最近はちょっと敬遠しているホラー漫画です。
グロというより、虫っぽい気持ち悪さがダメですね~
>本当の最強キャラはマチコ
ああ、そうかも(^^;;;;;;;;;
あの人形、なんですか??魔よけ??
東京の出身でしたよね、でも・・・
と謎多き女性でしたね。案外、だからアノ家に入れたのかも(><)
ほんとこの先、どうするんでしょうね?彼女。。
借金、膨らんでるだろうしねぇ
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/12 21:41