「アヒルと鴨のコインロッカー」みた。
瑛太くんは、若手の中ではカナリ贔屓の俳優さんです。この作品でまた私の株を上げました。
切なくって泣けちゃう物語だった。最後のにちょっとだけ嬉しさを感じちゃったのは、良いことでもないのだけど、沈んだ気持ちをふわっと軽くしてくれた鴨の温かさと、アヒルの本来の優しさと微笑みには、やっぱり嬉しく思ってしまう。そんな作品だった。
(以下、若干ネタにふれてます)
初対面にも関わらず、「1人じゃできないから、誰かが来るのを待っていた」・・と、いきなり”本屋強盗”を持ちかける奇妙な隣人”カワサキ”。しかも、鴨とアヒルの違いを調べる為に「広辞苑」っていうのもワケがわからない。持ちかけられた椎名はドンビキしながらも、奇妙な隣人”カワサキ”と交流を始め、遂には”本屋強盗”のお手伝いをしてしまうことになる。しかし、これで全てが終わったことを椎名は知る由もなかった。
”カワサキ”の興味深い話の登場するのが、元彼女の「琴美」とブータンからの留学生「ドルジ」。そして、琴美の勤めるペットショップの店長「麗子」。『店長を信用するな』という”カワサキ”と、『カワサキ君を信用しちゃダメ』という麗子に更に困惑する椎名だ。
私も、裏の裏をかいた見事な計画(設定)にすっかり騙されてしまった。・・イヤ、椎名がカモになっているのは分るのだけど、「もしかして麗子とカワサキが組んでる?」とか、見当ハズレな深読みしちゃったりしてね。
隠されていた真実は、なんとも悲しく虚しい理不尽なモノだった。琴美の勇気と河崎の無念、ドルジの嘆きが切なく、その決意が痛々しかった。
矛盾のない「種明かし方」が素晴らしい。勘ぐりながら見ていただけに”河崎”の登場からはイモズル的にわかちゃったけど(それまでは完全に騙されていた癖に)、それでも知れば知るほど、いくつかの”キーワード”と伏線の持つ本当の意味に愕然となった。ボブ・ディラン、鴨とアヒル、たぶん河童、広辞苑と広辞林、裏口、鳥葬etc.... (泣)
頓挫したままの計画。やがて季節は流れ、予定通りにアパートの隣室が空いた。そこに現れたのが”ディランを歌う男”じゃぁ、「”神様”のお導き」と言いたくなってしまう。最初に見たドルジの不気味な笑みが、全てを知って見直せばまったく違って見える。本当に嬉しい微笑だったことを誰もが納得するのではないだろうか。
ラストのラストを思わせぶりにしたのが良かった・・というか、私には救いだった。 麗子の助言が最良とは思うけれど・・・やっぱり世の中割り切れない事も、きっとあるから。
総評:★★★★☆++ 好き度:★★★★☆++ オススメ度:★★★★☆
瑛太くん贔屓の為♪
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» アヒルと鴨のコインロッカー [cococo]
近郊での上映は、もう終わってしまっている…と思う。京都シネマで観賞。 ほんとにミ [続きを読む]
受信: 2007/09/24 13:39
» 【2007-107】アヒルと鴨のコインロッカー [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
神さま、
この話だけは
見ないでほしい。
『誰かが来るのを待ってたんだ。一緒に本屋を襲わないか。』
ボブ・ディランを聴きながら誰かを待っていた男
引越し直後、本屋襲撃に巻き込まれてしまった男
二人が出会うとき....... [続きを読む]
受信: 2007/09/24 16:30
» アヒルと鴨のコインロッカー [描きたいアレコレ・やや甘口]
『ディラン?』と聞かれて『ディラン』と、果たして今ドキの若者が答えるものだろうか。
『ボブ・ディラン』はフルネームで言って欲しい。『デュラン・デュラン』とかも、あるわけだし。
ちなみにウチの息子に『ディラン?』と... [続きを読む]
受信: 2007/09/24 20:26
» 映画 【アヒルと鴨のコインロッカー】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「アヒルと鴨のコインロッカー」
伊坂幸太郎の同名小説の映画化。
おはなし:大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、奇妙な隣人の河崎(瑛太)に出会う。河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るために本屋を襲うという計画に、初対面の椎名を誘う。
第25回吉川英治文学新人賞を受賞した原作は発刊された当時に読んでいます。この作品はミステリーなので、原作を読んだことのある身としては未読の方よりも「あー、そうだったのかー」とか「上手いっ!」って感心する度合いが少... [続きを読む]
受信: 2007/09/25 13:32
» アヒルと鴨のコインロッカー / 映画 [あかねのたわごと☆本日記]
江戸っ鯉サン!!! 観ちゃいました〜映画 『 アヒルと鴨のコインロッカー 』デスSTORY:仙台の大学に進学し、初めて一人暮らしを始めた椎名。ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら引越の片付けをしていると、アパートの隣人・河崎から唐突に本屋襲撃に誘われる。やはり同じアパートに住むブータン人留学生が落ち込んでいるから「広辞苑」をプレゼントするのだと。。。。しかもそれは、奪った「広辞苑」でなければいけないと河崎は言う。困惑しながらもモデルガンを手に襲撃の手伝いをしてしまう椎名に、河崎は、ペッ... [続きを読む]
受信: 2007/09/26 08:47
» 『アヒルと鴨のコインロッカー』 [アンディの日記 シネマ版]
泣き度[:悲しい:][:悲しい:] 2007/06/23公開 (公式サイト)
笑い度[:ラッキー:]
切なさ[:失恋:][:失恋:][:失恋:][:失恋:]
満足度[:星:][:星:][:星:][:星:]
【監督】中村義洋
【脚本】中村義洋/鈴木謙一
【原作】伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社刊)
【主題歌】ボブ・ディラン 『風に吹かれて』
【時間】110分
【出演】
濱田岳/瑛太/関めぐみ/田村圭生/関暁夫/眞島秀和/野村... [続きを読む]
受信: 2007/09/26 16:34
» アヒルと鴨のコインロッカー [欧風]
土曜から公開だったこの映画、KBCシネマ1・2に観に行きました~。
この映画の注目点は、なんと言っても、オール仙台ロケ!最近日本全国いろんなところが映画のロケ地になってましたが、不思議と無かった自分のふるさと。観に行かない訳がありません。
話としては、地方から大学進学の為に仙台に越してきた男。隣に住んでる男に声を掛けられる。「一緒に本屋を襲わないか?」と、とんでもない事を言われ、戸惑う男だったが...、という感じ。
感想としては、これはいいね!まず自分としては、「あ、八木山動物園だ... [続きを読む]
受信: 2007/09/30 07:58
» アヒルと鴨のコインロッカー 〜 不自然な言動は全てがトリックの伏線 〜 [Prototypeシネマレビュー]
〜 不自然な言動は全てがトリックの伏線 〜
人気作家・伊坂幸太郎の同名小説を映画カしたこの作品『アヒルと鴨のコインロッカー』(2007年/日本)。オール仙台ロケのためか、仙台での先行上映などが話題になった作品ですが、ラストには大ドンデン返しが待っているため、....... [続きを読む]
受信: 2008/02/10 11:19
» 「アヒルと鴨のコインロッカー」映画感想 [Wilderlandwandar]
映画ブロガーさんの間で、昨年のベストランクに入れている人が多 [続きを読む]
受信: 2008/04/05 22:09
コメント
瑛太がブータン人を演るとは思いませんでしたけど、キャスティングは、良かったですね。私も瑛太さん、ご贔屓です。(^^;) 伊坂氏の原作は、未読ですけど、雰囲気は上手に表現されていたんじゃないかしら。若いから、こういう考え方もできるんだろう、できたんだろう…と理不尽なことに反社会的な反応を示しても、どこか共感できるお話でした。
投稿: あかん隊 | 2007/09/24 13:39
■あかん隊さん、こんばんは♪
瑛太くんの役どころがびっくりでした。
実際、そんなに似ているのかしら?日本人と。
文字で読むとどんな感じになるのか、興味がありますが、もう、刷り込まれちゃったのであの配役で読みそうです。
でも、やっぱりちょっと気になるので、読んでみようと思ってます。
瑛太くん、基本的には同じタイプの役どころが多いけれど、幅が広がってきて嬉しいです。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/24 18:50
私も、この映画で完全に”瑛太”が好きになりました。
2度目の『ディラン』には、涙が出ました。こういう時に聴いたのかって。
全く!ディランの歌は『神の導き』としか言えません。
だって、今時ディランを歌う若い男って、なかなか居ないですもの(笑)
悪い事は悪いけど『お願い!神様今度だけは見逃して!』と、切なくなりました。
瑛太のブータン人ぶりも、良かったなぁ〜(笑)
投稿: あん | 2007/09/24 20:24
■あんさん、こんばんは♪
2度目のディランは泣けますよね。
こうしてドルジが河崎になったのかと思うと泣けて泣けて。
今時ディランを歌う男はなかなかいないし、動機とオチがちょっと笑えるけど、めげない椎名ってやっぱり特別。
最初に神様を隠した琴美の発想がよいけど、ソコに繋げる椎名も気が利いていて、・・うなるラストでした。
瑛太くんの巧さにバンザイ。もう大好きです。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/24 22:16
こんにちは♪
瑛太君はこれまでテレビ向けの俳優さんかな~なんて思っていたのですが(失礼!)、この作品ではもう彼しか考えられないほどピッタリのキャストだったと思います。
喋り方が原作のイメージピッタリだったんですよ。
この手の伏線張りまくり、回収しまくりの作品はやはり何も知らずに見て気持ちよく騙されるのが一番ですよね。
原作未読でご覧になられた方が羨ましいと思いました、ホント。
投稿: ミチ | 2007/09/25 13:38
はじめまして、突然失礼いたします。
おお振りレビューのブログを渡り歩いてたどり着きました。
おお振りだけでなく、映画レビューや日々のこと、
京極作品についてなども、ぎっしりと密度の濃い、
質の高い文章群をたっぷり堪能させていただいていました。
「アヒルと鴨のコインロッカー」は大好きな井坂作品で、
映画化の話を聞いたときには「どうやって!?」と
驚いたものでした。
レンタルが出るまで映画を観られる見込みはないので、
こうして敬意を寄せつつ通っていたサイトさんで
内容の濃いレビューをあげていただけると、
さらさら言葉が沁みこんで来て、大変嬉しく、
心地よい思いをさせていただき、感謝しています。
ありがとうございました。
今後ともひそかに通わせて頂くと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: ミズキ | 2007/09/25 14:30
■ミチさん、こんばんは♪
>瑛太君はこれまでテレビ向けの俳優さん
私は「サマー・タイムマシン・ブルース」の頃から、そうでもないと思っていましたがww
「あのノリはもう無理、、」ってセリフのあたりから(^^)
作者も絶賛!とかどこかに書かれていたのを見たくらいだし、きっと雰囲気でているんだろうなーと思っていました。
いつも未読がほとんどですが、今回は本当に気持ちよく騙されてよかったです。
すっかり入り込んで共感しまくりでしたし、「デュラン」を本当に聴きながら観られるって最高ですよね。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/25 18:29
■ミズキさん、はじめまして♪
「おお振り」に来られて「アヒル・・」に着地には、一瞬「へ?」となりましたが、そういう自分のブログがめちゃくちゃですものね(^^)
なんだか過大な評価をいただき、お恥ずかしい限りですが、ありがとうございます。とても嬉しいです♪
>「どうやって!?」
本当にそういう原作なのですね。原作を読んだ方々は口々におっしゃってますし。
けれどその皆さんが高評価。劇場でご覧になれないのは残念なことと思いますが、DVDを待つだけの作品だと、太鼓判を押したいと思います。
私は、もうすっかり(ドルジ=瑛太)になってしまってはいますが、是非原作を読んで、もう一度作品の素晴らしさを堪能したいと思っています。
河崎の松田くんも素晴らしかったです。
私も、DVDが発売されたらもう一度観たいですね。
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します(^^)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/25 18:46
たいむさん、こんにちは♪
切なさの残る素敵な作品でしたね。
映画の後で原作も読んでまた映画も観てきました。
原作も素敵な作品だったんですけど
映画はかなりエピソードが端折られてるのに
全くもの足りなさを感じさせないところはすごいと思いました。
瑛太くんいい役者さんですよね~。
投稿: こーいち | 2007/09/26 16:39
■こーいちさん、こんばんは♪
原作お読みになったのですね。で、もう一回?
私も読もうと思ってます。(今読んでる本が終わったら)
>映画はかなりエピソードが端折られてる
やっぱりそうですか?
けれど、映画で意味不明なところはなかったし、辻褄もしっかりあってましたよね。
原作でもう一度あの感覚を味わいたいと思います。
瑛太くん、好き♪(告ってどうするんだ?w)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/26 17:55
たいむさん、こんばんは。
私もいろいろ勘ぐって観ていましたが、まさかあんなドンデン返しとは気づきませんでした。
観る前に仙台出身の会社の後輩からも「もう瑛太が最高にいいんっすよ~」と聞かされつつ、
「やっぱ仙台ロケだから良かったんだな~」なんて、わかるようなわからないようなことを聞いていたのですが、
それでもやっぱり良かったです(笑)。ただのドンデン返し映画ではなかったのも心に染みました。
冒頭の瑛太の微笑みも、たいむさんの言われるように後から観れば“本当に嬉しい微笑み”だったと思いますね~。
投稿: GAKU | 2008/02/11 23:24
■GAKUさん、こんにちは
地元ロケだと感慨もひとしお・・・というのは分かりますが、そうでなくてもすっごく心に染みましたよね。
小説では聞けない「音」~デュランを聴きながら、という効果も絶大でした。
出会いでの微笑みは、切っ掛けという運命を感じる微笑みであり、デュランを愛する者に出会えた喜びの笑み。瑛太君には拍手喝采。
チーム・バチスタと同じ監督と聞いて、ちょっとビックリしていますが、この監督さんは大物よりミニ系にむいているようです。
投稿: たいむ(管理人) | 2008/02/12 17:16