「精霊の守り人」~第26話:旅立ち
最終回。それぞれがそれぞれの在るべき場所へ。
兄サグム皇子亡き今、必然的にチャグムが皇太子を継承する。一度は父帝に命を狙われながらも、なんとも都合の良い話だが、国を統べる家系、血筋は絶対である。
選択の余地はなく、チャグムも自分の立ち位置を知っている賢い子。別れの予感から、新ヨゴ王国まで最後の旅をバルサやタンダと共に自分の足で進む。
建国の祖、英雄トルガルの生まれ変わりとして、チャグム皇子の帰宮を国内外へと通達させる父帝。帝は、チャグムの”父親”としてはいささか冷徹ではあるけれど、己がすべき事を”帝として”決断し、命令を下すことのできる人物だ。国を第一に考え、自国に無二の英雄を、しかもその人物がやがては国を統べる皇太子であることが国に安寧と繁栄を齎すであろうことを良く知り、利用しようとする賢者でもある。
「英雄」(=カリスマ性)は天より与えられし才能であり、金銭で買えるものではない。英雄の存在は国の象徴となり、国民の尊敬と信頼がある限り、国は安定する。嘗て、新ヨゴ王国歴代の帝が”建国史”を改ざんしたことも同じ理由だ。嘘も方便。
それがチャグムは”真実の英雄”として帰還した。これ以上のことはない。だから”水妖”に憑かれ、当の帝に逆に命を狙われていた・・などという事は封印しなければならない事実だ。用心棒バルサとの逃避生活は抹消し、都合の良い部分だけがチャグムの「英雄伝」として語り継ぐ必要があるし、事実、そうなることだろう。
事が成就したあかつきには、「バルサを滅せ」とシュガに命じた帝の真意はここにあるはず。けれど、狩人に制され、シュガも”人として”命令に逆らった。それを許す帝には、帝の器量が計れるというもの。・・・だから、チャグムはバルサを忘れなければならない。チャグムにとっては酷な物言いだけれど、それならば万事が解決する。バルサの器量を見切った上での帝の発言は、本当は感謝現れであり、優しさなのかもしれないね。
宮へ帰還して以来、チャグムとの交流を持つことが出来ないバルサ・タンダ・トロガイ師。それ相当の持て成しを受け、褒章を受け取る。一段高いところに居るのはチャグム皇太子殿下だ。顔を布で覆い下々の者には素顔を晒さない事がしきたり。もはやそこにチャグムはいない。分っていたことだが、皇子の顔すら拝むことすら出来ないバルサがどこか切ない。
宮を辞する時点でやっとチャグムとの対面が叶ったバルサ。裏庭の片隅でひっそりと最後の別れ。「皇太子になんかなりたくない。ずっとバルサと旅をしていたい。」バルサに抱き着き泣きじゃくりながら本音を漏らすチャグム。ぎゅっとチャグムを抱き返し、「一緒に逃げるかい?ひと暴れしてやろうか?」というバルサの本音とも、戒めとも取れる優しい言葉に落着きを取り戻すチャグム。冗談のひとつも言ってのけ宮中へ戻るというチャグムだった。
「さようなら、”チャグム”と言ってくれ。」と最後の願いを言う。もう、「チャグム」と呼び捨ててくれる人はどこにもいない。
「さようなら、チャグム。」
「ありがとう、バルサ。・・タンダ、トロガイ師、さようなら。」
どちらも後ろ向き。笑顔で送り出せずに泣きながら言うチャグムだ。バルサの表情はわからなかったけれど、きっと同じだね。
泣けた~(TT)何であれ、別れの場面はそれだけで泣けるのだけど、立場の壁があまりにも大きいため、これが最後と思えばより一層泣けてくる。(続編があるなら、必ず”暴れん坊将軍”よろしく、お忍び大好き、闇にはびこる悪を退治する若様!だろうけどねw)
トーヤとサヤは街で仲良く暮らしていた。トロガイ師は山へ。タンダには見合い話があるようだが、バルサを待つ覚悟に変化なし。バルサは想うところあってか1人カンバルへと向かう。やっぱりそれぞれの道を進み始めた。
・・・やがて、空を雲が覆いはじめ雨が降り出す。チャグムの護った”ニュンガ・ロ・イム”が無事に生まれ育ったようだ。。。めでたし、めでたし。
総評は後日に(予定)
ところで、早くも再放送が決定!
11月6日よりBS2で毎週火曜【月曜深夜】午前0:00~(1日2話放送) ※11月6日は、午前0:10~
商売至上主義じゃないNHKだし、そんなことだろうと思っていたけど、予想通り速攻でエンドレス再放送の開始だね。この分だと、来年の春には地上波かな?
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» 精霊の守り人 第二十六話「旅立ち」 [よう来なさった!]
以前潜ませていた兵士は、やはりバルサを暗殺するための兵士でしたか。
あまりにも重要な事実を知りすぎ、そしてチャグムの今後の為でもあるかな
帝がシュガに暗殺を命じていたようですが、その帝の命にもかかわらず
モンとジンの進言で案外あっさりとシュガは引き下が....... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 12:44
» 精霊の守り人 第26話【最終回】 [ACGギリギリ雑記]
『旅立ち』
さようなら、バルサ姐さん・・・
今期、一番最終回を迎えるのが惜しいアニメ。で、あるのと同時に。
放送後、良い意味で、これ以上は見たくないと思わせてくれたアニメ... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 14:40
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精霊の守り人 5ジェネオン エンタテインメント安藤麻吹(俳優)安達直人(俳優)辻谷耕史(俳優)真山亜子(俳優)浅野まゆみ(俳優)広橋涼(俳優)麻生我等(デザイン)神山健治(監督)上橋菜穂子(原著)発売日:2007-10-24Amazy
公式ページ 、タガ役とスン役の声優さんインタビューに爆笑。「女装のスンと夫婦役での出演がなかったのが残念」「夫婦姿は狩人が主役になった第2部があれば是非!」って! わははははははは。
でも、狩人主人公で番外編は是非見たいものです。今になって思えば、彼らが主人公... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 15:28
» 精霊の守り人 第26話「旅立ち」 [バラックあにめ日記]
最終話としては申し分無し。 サグムの部屋(だよね?)を尋ねるチャグムとガカイ。 母と子とバルサ。王と子とバルサ。 その他、全てのキャラクターに「ご苦労様」という配慮。 ただ、ここまでの大風呂敷を畳むのでしたら、尚のこと前回、痛快なバトルを観たかったか..... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 16:44
» 精霊の守り人 第26話 旅立ち(最終話) [Happy☆Lucky]
第26話 旅立ち(最終話) [続きを読む]
受信: 2007/09/29 16:49
» 精霊の守り人 26「旅立ち」 [はざまの欠片]
バルサとチャグムの旅の物語も今日で最終回。まさにそれぞれが決断した「旅立ち」のお話でした!
心配していたバルサ達の暗殺はシュガが思いとどまったようです。っていうか、狩人達が止めてくれなかったら危なかったですね…。最終回なのに意外に危うい男でした(笑)。
...... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 17:33
» 精霊の守り人 第26話 「旅立ち」 [空色☆きゃんでぃ]
トロガイ師の入浴シーン(*/∇\*) [続きを読む]
受信: 2007/09/29 19:08
» [アニメ『精霊の守り人』]『精霊の守り人 第26話』 [どっかの天魔日記]
『精霊の守り人』 ※下記の日記内容には、アニメ本編に対するネタバレの要素が多々記述されています。少しでも気になさ る方は御覧にならない様に注意をして下さい。 今週のお話は、第26話 『旅立ち』。 ストーリーは…。 運命の戦いは終った…。 光扇京へ戻る一行。 チャ... [続きを読む]
受信: 2007/09/29 21:46
» 精霊の守り人 ♯26 旅立ち [鳥飛兎走]
『あ、それってタンダとバルサの子だったりしてね』 ねっ♪ 『え”ぇぇ"ぇ"""』 (゜□゜*...... [続きを読む]
受信: 2007/09/30 00:31
» アニメ「精霊の守り人」最終話。 [ぎんいろ(旧夢の日々)。]
最終話「旅立ち」
伝令にございます。
無人が光扇京にいる聖導師の下へ駆け寄り、声を潜めて知らせる。ご苦労であった、と無人を下がらせれば、吉報であろうなと帝から声がかかる。
はい。チャグム皇太子殿下は悪しき魔物を退け、水の精霊の誕生にご尽力あそばし、ただいま帰宮の途にあるとの事にございます。
無人からの知らせを、帝と二ノ妃に伝えた聖導師。涙を流して帝を見やるニノ妃。帝は、瞳を閉じたまま、大儀であったと呟く。
緘口令を解き、宮を上げての式典の準備に入ると聖導師。天の加護を受け、建国の道を開... [続きを読む]
受信: 2007/09/30 02:01
» 精霊の守り人 『旅立ち』 [日々是「紫」]
うわ〜ん、最終回だよ(泣)
いい作品に出会うと、本当に半年って速いよね。
欠かさず見て、クオルティーがずっとキープされてたおかげで
一度も不平不満をこぼさなかったという
すばらしい作品だよ!
無事に卵を産... [続きを読む]
受信: 2007/09/30 10:07
» 精霊の守り人 第26話 「旅立ち」 [神奈川辺境交通(かなへん)]
バルサの唇に使ってるグロスって、どこのメーカーのでしょう? [続きを読む]
受信: 2007/09/30 16:53
» 精霊の守り人#26「旅立ち」 最終話 [Sweetパラダイス]
うわ〜〜〜〜〜ん遂に来ちゃいましたかこの日が。チャグムはバルサ姐さんたちと並んでお食事ラルンガを倒したお祝いの宴会のようチャグムは神輿に乗らずタンダを支えて歩く皆、肩身が狭そう。『だめだよ。タンダが怪我してるのに俺だけ神輿に乗るなんておかしいよ』なんて...... [続きを読む]
受信: 2007/10/02 22:09
コメント
長いようで短い半年間でしたね。
なんだかちょっと寂しいです。
最後の会話、泣けて泣けて仕方がなかった。
作画監督は後藤さんでしたね。
「最終回は僕なんですよ~」と
懇親会で教えてくださった時のお顔が浮かびます。
今頃はほっと一息ついておられることでしょう。
「闇」のアニメ化、実現して欲しいですね。
ではまた^^。
投稿: shamon | 2007/09/29 21:31
こんばんは、たいむさん。
気がつけば終わってしまっていた精霊の守り人なんですね。
最終話は、何とか見ることができました。
飛び飛びにしか見れていないですけど…。
ちゃんと話を見ていなかった私が見ても、あの二人の「最後」の会話のシーンはぐっと来るものがありました。
もっとちゃんと見たかったなぁ。
それぞれのこれからの未来が、それぞれに輝いていると信じて…。
そう思いたくなるラストだったと思います。
再放送、見れたら見てみようっと。
ではでは(^_^)/~
投稿: 農家の嫁 | 2007/09/29 22:54
すべては帝である父帝の過ちから起こったことだけに、父帝は なんとムシのいいことかとも思う。
国として皇族の威厳については良いかもしれないが、人としてはどうかともあり、板挟みでもあり。民に頭を下げない、ありがとうと言わないのが皇族なんだろうな。
ひとつ気になっているのは、長い白ヒゲをたくわえた聖導師の扱い。結果的にシュガを碑文の地下室に閉じこめることになった事件以来、聖導師の出番がなかったこと。あの事件は何だったのだろう。非常に気がかりだ。
投稿: 地黒 | 2007/09/30 04:26
■shamonさん、こんにちは♪
やはり後藤さんでしたね(^^)
まぁ、〆はきちんとネ。
全体的に統一されてはいたけれど、なかなかねぇ難しいですよね。
半年・・あっという間でしたね。
さほど中だるみすることなく楽しめましたが、オリジナルの余計なものを回収できずに終わったような気も・・・
闇があればもちろん、応援しますよ!
■農家のお嫁さん、こんにちは♪
いろいろお忙しそうで・・・運動会とか(^^)
楽しそうで、羨ましいですw
(体調くづしちゃったので、コチラでのコメントでごめんなさい)
なかなか通してみるにも時間が時間だし厳しいですよね。これからエンドレス再放送でしょうから、いずれ全部繋がりますよ♪
チャグムくらいのお子さんのいる家庭には是非観てほしい作品ですねw
親子の絆・・・とか。(最近の殺人事件こわっ)
■地黒さん、こんにちは♪
上下関係のくっきりしたお話ではありましたね。
父帝の過ち・・というよりは、聖導師の助言が元でのこと。帝は当然のことをしたと私は思っていますが。手の平を返す待遇にはさすがに苦笑いですけど、それも記事に書いたとおり。
帝の、息子を救ってくれた恩人に対する感謝の言葉がないのは非常に残念なことですけどね。(原作にないのではしかたなし)
ただ、原作者は、”文化人類学”を先行する大学の助教授であり、王皇族とは「神」のような存在であり、間違いは犯さない、だから、過ちに於ける謝辞や下々に対する感謝などありえない、ということで、歴史的にみてもそうしたものなのではないかと私は解釈しました。
サグムを亡くした時に、瞬間的に「父」にもなっているし、気持ちはあると信じたいです。
しかし、聖導師はなんですね。描ききれて無かったですね。「閉じ込め」も確か原作には無い話で・・場を盛り上げる為のもので回収しきれず・・かもしれません(><)
もう少し、まともなお方でしたから。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/30 12:02