『おおきく振りかぶって』 (1-8巻)を読んで。
放送中のアニメ『おおきく振りかぶって』は、9月28日の25話で最終回。原作は「アフタヌーン(講談社)」で連載中の漫画、ひぐちアサ著の同タイトルの作品(8巻までが発売中)。
アニメの24話で三橋・阿部らの西浦高校の、初めての甲子園県予選(夏大)初回戦が決着した為、コミックス7・8巻の封印を解き放った。
当初は、最終回を見終わったら8冊を”大人買い”と思っていたが、少し前に古本屋で「美品」を見つけてその場で即買い。(やっぱり大人買い。けど、美品の古本の割には初版だったりして、誤植まで見つけてしまったのは良かったのか良くなかったのか・・・)
手に入れてしまったし、やはり8冊を一気に読むのは疲れるので、O.A.済の分をチビチビ読み進め、7・8巻だけを保留させていた(ネタバレはNGにしていたから)。 本当ならまだ最終回が残っているから読めばネタバレになっちゃうのだけど、桐青戦の決着は着いたし、あとはすっきり大団円しか考えられないので、”ネタバレ解禁”として、自分にGOサイン!
アニメの24話「決着」は、【BS-i】では10月5日の放送。しかし先週フライングで23話まで観てしまった為、我慢できずに奥の手を使わせてもらった(^^;)。9回表での西浦再逆転で終了した23話。24話「決着」が、3週間もお預けだなんて辛すぎっ!(><) 葛藤の末、”奥の手”を拝み倒した。
おかげさまで無事に「決着」を見届けることができて感涙(TT)。良かったよぉ。
モヤモヤは消え去り(やや燃え尽き感も?)、残す最終回は自然のままに、もう一度23・24話をBSでのフル画面でおさらいし(地上波はアナログサイズだから)、再度の感動を噛み締めながら3週間後を待つことにした。(最終回のタイトルや予告によると、原作のまんまみたいで焦る必要はなさそうだし)
(以下は、ネタバレありでの漫画とアニメとの比較、及び、原作おさらいから「頭の整理整頓」という分析から導き出した今後の方向性を独断と偏見で予想したものであり、超長文。興味があるか、覚悟がある方のみどーぞ)
まずは、叫んでおこう。
泉くん、ナイキャーっチ! 花井くんのレーザービィ~~ムっ・・・でサインはV!!
やってくれましたよ、西浦がっ!!!くぅーっ。
奥の手を使った甲斐があったってもんだっ。この瞬間をどんなに夢見たことかっ!
・・・さて、1-8巻を読み、アニメが如何に原作に忠実であったかが良く分った。範囲も見事に既刊分1-8巻全てを網羅。(最終回は8巻の後半部分だね)
完全にカットされたエピソードは「試合経過予測とプロテイン」くらいかな?(細かなカットや順番の入れ替えは多少見られるが)。西浦ナイン全員で観戦した「武蔵野第一」の試合。4回以降の経過と結果を、3回裏までに各自で予測し、実戦と照らし合わせて”的中”に近い方(優秀予測者・・モモカンの判断)から、” 美味しい”プロテイン・”普通”のプロテイン・”マズイ”プロテインが配布されるという”プロテイン争奪戦”のエピソード。ちなみに結果は、”マズイ”チームが、いい加減なスコアを書いた三橋と田島、武蔵野のピッチャー榛名にキビシイ予測を立てた阿部。愉快なエピソードだったけど、本編からカットしたところでなんら影響のないエピであり、おちゃらけによって「榛名と阿部」のマジなエピソードがブレるよりは、カットされて良かったのかもしれないと思える、良い構成だったと私は思う。
アニメにはアニメの、原作には原作の良さがある。
アニメは、まず効果音と音楽で、目だけではなく耳からの刺激をプラスしてくれる。そこに、漫画では(吹き出し内に入らない)手書きでのちょっとしたやり取りである”情報”を、言葉(セリフ・音)で盛り込み、コマでは味わえない動画での連続した時間の経過を見せ、一層の臨場感を獲得させた。一連の動きでも漫画ではパラッとひとめくり、ひためくり。確かにほとんど同じ結果と感動はあるものの、じっくり溜めて魅せてくれるのはやはり動画。リアルと同じだけの時間を使ったハラハラドキドキな展開には大興奮!たまらんっ!(スポーツモノの見せ場は間違いなくアニメに軍配だよなー)
ただ、この作品には、そんな”タメの効果”がマイナスになり兼ねない部分がある。それは三橋君の挙動(言動)不審。三橋君のアノ性格・ドモリ(のリアルな演技)にはイライラして拒絶反応起こす人がいるんじゃないかな?って思ってしまう時がある。
なにせ声優さんの演技の巧さも手伝って、私でも阿部君さながらマジで突っ込みたくなる時があるから(漫画なら雰囲気は貰っても自分の都合でタメを読み飛ばせるから、三橋君のオドオドはさほど気にならないんだよね)。 私は西浦ナインと同じ感覚で三橋君が嫌いじゃないから、大半は「おーい、しっかり日本語はなせ~」と栄口君風にボソッとこぼすどまりで済むからOKなんだけど(笑)
原作での良さは、やはりより多くの”心の声”(心情)が描かれていることだね。かなり頑張って”セリフ化”されていたけれど、情報量ではやはり原作には及ばない。志賀先生らの”蘊蓄”も、例題や繰り返しによって、より詳しく説明されているため、とても理解しやすいように思う。いずれにしても、アニメ→原作の順の場合、原作はとても良い補完になると思う。逆だと多少の物足りなさはあるかな?でも、原作があってアニメ(実写)でも成功!と評価できる作品が多くない中で、私は、アニメ『おおきく振りかぶって』は大成功の分類に入ると思う。
・・・ということで、この物語の続きは、引き続き漫画で読みたいと思う。
桐青戦をギリギリでモノにしたものの、前途多難な西浦ナインには違いない。田島君が”4番サード”を外れるとある”9巻”での「予告」には、田島君の桐青戦最終打席で負った怪我の具合や、強豪を破った投手として注目されることでの三橋君のメンタル面がとても心配だ。他校の動向も気になる。桐青をや破ったことで、もはやノーマークではいられない西浦。特に「美丞大狭山」が不気味。美丞大狭山のコーチの兄を持ち、田島君とはメルアド交換をした”桐青の利央”がいったい何をしでかすか・・・。(まさか本気で田島君を落とし穴に落したりはしないだろうけど・・^^)
この先、『おお振り』がどう展開を予想するにあたり、結局のところ「勝利のカギ=三橋の成長」、コレしかないと思う。
県予選を優勝するにはあと7つ勝たなければならない西浦高校。決勝まで行くのか、途中敗退で終るのかはわからないけど、もう1試合に4巻分を消費させたりはしないと思う。(そんなに使っていたら一生終わらん) けれど、三橋に「気付き」をもたらす(成長させる)のは試合での経験(体験)が一番で、それしかないと思うから、細かな展開の予測はちょっと出来難い。ただひとつ思うのは、三橋が”ホントのエース”になった時がラストで、逆に言うなら、三橋自身がそうと認め、バッテリーが”対等”な信頼関係で結ばれる、例えば、阿部のサインに首を振ることが出来るようになるまでは終われない、そんな気がしている。
難題は、三橋を思わず怒鳴ってしまう阿部に対する、三橋の畏怖と萎縮。
>>>阿部くんはスゴイ人。阿部くんに付いていけば大丈夫。安心してピッチャーが出来る。だから逆らっちゃイケナイ。首を振ったら怒られる。叱られるのは嫌だ。頑張る。でも失敗したらオレのせいだ。恐い。逃げたい。それで阿部くん見放されたらどうしよう。もっと嫌だ。オレだけじゃダメだ。阿部くんと一緒でなきゃダメ。でも阿部くんはオレに怒ってる。恐い。怒鳴られる。恐い。阿部くんが恐い。阿部くんに嫌われたくない。恐い。・・・でも、やめたくない!<<<
・・・・全て自己中心的で自分本位でしかない三橋君の思考回路。そこを改めない限り、”ホントのエース”の道は果てしなく遠い。
まず三橋君は、肉体的にも精神的にも”自分”が傷つくことを何よりも恐れている”自分”に気が付かなければならないんだよね。そうしてることが他人を傷つけていることも。
自分で自分を追い込んでいるようでいて、実は率先して安全地帯に逃げ込んで、「ダメピー」だと卑下することで自他に許しを請う。その行為が全て解決したかの錯覚を引き起こしてくれる”自己満足”であることにまるで気がついてない。最初は「そんなことないよ。」という優しい言葉を期待してのことだったろうに、甘えすぎて限度を超してしまったのだね。強烈な”ネガティヴ自己暗示”に変化しちゃったみたいだ。とにかく叱られる理由の全部が全部を「ダメピー」に直結されてしまう悪い癖が元凶。本当の理由や原因を考えも確かめもせず、「ごめんなさい。全部オレが悪かったです」と縮こまられたら、阿部君でなくたって掴み掛かりたくなる。あまりの思考レベルの低さに辟易し、「指示に逆らうな!」としか言いようがない。試合中に納得するまで説明してあげる時間などあるわけないんだから。一方的な会話しか出来ないって、言わなきゃならない方が傷ついてくんだよね。情けなくって。
出来る奴がやらなかったり、直ぐに「デキナイ」と諦めた言葉を吐くことが、どれ程やりたくてもデキナイ者を傷つけるか、自分が”デキナイヤツ”だと勝手に思い込んでる”デキル三橋”にはわかっていない。しかも、三橋君の場合はめちゃめちゃ努力して”デキル”ようになった尊敬にも値するヤツだから、尚更にイヤミだ。
簡単に言えば、三橋君は”お子様”だってことなんだけど、どうやら叶君のおかげで気がつき始めたように思うので経過観察かな?(修ちゃんに感謝!!)
それから、「あとはちょっとずつでも自信を持ってくれれば何とかなるかもしれない・・・」と阿部君はそこまで考えて頑張って相手をしているけれど、その忍耐がいつまで続くか、ちょっと不安だ。
阿部君は三橋君の技術と努力をいち早く見抜いた新たなる理解者。几帳面で計算高い性格で、真面目な割りには口が悪いのが玉に瑕なのが阿部君(意外と器用ではないんだよね)。いい加減な態度で返す三橋には血管が切れまくり、ツイ怒鳴り散らしてしまうのがやや問題ではある。真剣な分だけ倍返しだし。(阿部君には誰もが同情してるけど・・^^;)。ただそれが裏目となって、どんなに懸命に手を差し伸べても三橋君の防衛ブロックに阻まれて、いま一歩近づけずにいるまるで報われない不憫な子になってしまっている。今の三橋君との関係性は仲間(バッテリー)というよりはまるで保護者。だから三橋君の悪意のない仕打ちに一番傷ついているのは、たぶん間違いなく阿部君だ。返信されないメール。繋がらない会話。目が合っても必ず視線を反らされるんじゃ、へこむし寂しくなる。「俺ってもしかして嫌われてる?」阿部君が不安に思うのも無理は無い。(どんなに三橋がクセモノでも、あれだけ面倒をみてれば情が移るってもんで、独り相撲では哀しすぎ。従順な子犬のように三橋君がスキスキ光線出しているんなら救いようもあるが。それもビミョーか?)
三橋君の信頼は感じられても(むしろ頼られすぎ)、万が一にでも三橋に必要とされているのが「阿部隆也」という人間ではなく、自分をエースにしてくれる「キャッチャー阿部」だ、ってなっちゃったらオシマイだ(今のところ微妙にアヤシイ)。それでは榛名の時と同じ。ドーンと傷ついて阿部君はきっと壊れちゃう。いくら大人びていても阿部君だって所詮は高校一年生だもんね。しばらくは立ち直れないだろうなぁ。
「友達になりたいわけじゃない」とは最初に言っていたし、未だに「時々マジで三橋が殴りたくなる。」なんて言ってもいるけど、三橋君に対して、本音の部分では花井君だって同じだ。でも、仲間としてバッテリーを組んだ以上そんなのが本心であるはずがない。確かに「従え、逆らうな。」とは言っているけれど、絶対に意見を聞かない器量の狭い阿部君じゃない。腹を割って話ができるならそれが一番だと思っているはず。ちゃんと友達にだってなりたい。拳固で頭をグリグリするのも、怒鳴るのもアイだよアイ♪(たぶん)。(・・・・とはいえ阿部君の真意も計りかねている私でもあるか? どこか「ピッチングマシーン三橋」な感じもゼロじゃない気もするし、もしかしてお互い様?・・^^;;)
「オレは、阿部君の構えたトコに投げる、だけ。」 三橋君の阿部君に対する信頼は、どこか”敬意のこもった服従”にも見える私。最高の信頼は信頼なんだけど、阿部君も自分の放った言葉の重みを”リード”ということだけじゃなくて、少し考えてみるべきかな?
とはいえ、それもこれも三橋君がもう少し大人になって被害妄想を捨て、仲間に目を向けて思いやる心が持てるようになったなら、万事解決なんだろうな。きっといいバッテリーになるよ(希望・願望)。
今は、辛うじて「ありがとう」が言える三橋君だからやっていけてるようなもの。どうか阿部君!もう少しだけ辛抱して、長ーい目で見守ってやってくれぃ!
「野球」とは何か?・・・チームでやる球技。例えば、ピッチャーが打たれても、野手がカバーして挽回ができるスポーツ。例えば、零点で押さえられなくても、相手より一点だけ多く取れば勝てちゃうゲーム。それが「野球」であることを”三星”時代に忘れちゃった三橋君。試合を重ねることで、「野球とは何か」「チームとは何か」を思い出し、「それでいいんだっ。」と開き直れるかどうかがポイントだね。(これにもちょっと気がつき始めたようだけど♪)
ということで、勝ち進んで行く為にも、これまで以上の「意識改革」が今の三橋君に必要不可欠として要求され、火急速やかに改善すべき最優先事項ってことになる。ここが上手くいけば、本来優しい子で努力家な三橋君だし、ググッと急成長を遂げて、夢に一歩も二歩も近づけるハズ。あの榛名とだって張り合える”スゴイ投手?”になれるかも?(^^)・・・「ムリだぁ・・ムリですぅ・・」とはもう二度と言わないでしょう。
・・・今後は、これらが徐々に段階を経ながら描かれて行くのではないかしら?と予想する私だ。(願望が勝っているのは自覚アリ)
実際、甲子園への敷居は高い。三橋君だけ頑張れば済む話ではない。けれど全員が「頑張る三橋」に何らかの影響を受けているのも確かで、相乗効果がチームを盛り上げ、実力以上のチカラを発揮しているのもまた事実。だから”諦めない西浦”に見えちゃって、もしかしたら(三橋君の成長次第では)マジ甲子園まで行っちゃうかも?・・と思ってしまう。作者の気分次第でどっちにでも転べそうだから展開は予測不可だけど、成長し切れてないままどっかでコケて三橋君が崩壊したら意味がないし、負けても悔いの残らない試合が出来るところまで・・ってのが妥当なところではないかな?
最近、アニメのレヴューは、深読みや現実対比をやめ、物語に入り込んだ、あくまでも表面部分(見たまま)の検証とそれによって得られる想像のみを(意図的に)書くようにしているが、『おおきく振りかぶって』は、裏表でしっかりしたメッセージ性のある良い作品だと思っている。私になら忘れちゃってた何かを思い出す切っ掛けになりうる作品だし(”青春♪”という清清しさや、高校野球らしい礼儀正しさが、特に気に入っている部分ではあるけれど)、ナインと同世代の読者なら、今得られるモノが多くある作品だと思う。だからずっとずっとそんな作品であって欲しい、路線を変えずに最後まで描き続けて欲しいと心底思う。(途中放棄した某作品のように)卑怯だったり、無礼だったり、魔球なんてのはもってのほかで、ダラダラな展開もご勘弁願いたい。・・そこさえ守られているならば、あと何年でも最後の最後まで見守りたい(読み続け)と思っている。(9巻はいつだろう?残念ながら10・11月はなさそうだが、12月情報を待つことにしよう。・・っと、その前に最終回だわ!)
あー、書いた書いた♪こんなに書いたのは久しぶりだ。 今ある想いをぜーんぶ吐き出しちゃって満足!・・・・・と言いたいけれど、残念ながら田島君に栄口君ほか、あとの西浦ナインにほとんど触れてないし、モモカンも千代ちゃん(マネジ)も・・・・えーん全然書ききれてないーっ(><)
いずれ、コミックスの発売時にちょっとずつ書ければいいかな~?
とにかく、ここまで読んで下さった方には多大なる感謝を!
「サンクス!」&「お疲れ様でした。」
追記:結局書いてしまった。。。
『おおきく振りかぶって』( 1-8巻)を読んで。ぱーとⅡ
| 固定リンク | 0
コメント
コメントありがとうです♪
アニメは途中リタイアです。深夜厳しいです(泣)
私もこの作品とっても好きです。
強烈な「ネガティヴ自己暗示」上手い表現です~!
このままでは絶対いけないけど、
彼の場合悪い点を指摘したところで萎縮するだけで、
仲間も彼のよさとして認め、半分あきらめムード。
この優しさが、今後吉と出るのか凶となるのか?
やっぱりもう一波乱あるのか・・。
阿部君と作者ひぐちサンに(笑)期待しましょ♪
投稿: くろねこ | 2007/09/24 14:25
■くろねこさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます。
オマケにコレを読んでいただけたようで・・・感謝!
今の三橋君は良く言っても悪く言ってもダメなんですよね、困ったことに。
田島くんの持ち出す”明後日の解決策”が三橋君の一番ツボだったりするのが面白いところです。常人の思考では理解できない程「単純」なんでしょうね、実は三橋君。
「1」番をあげる。「怒ってないぞ」と通訳する。三橋君の一番気になっていることを見抜く。これも能力かしら?田島くんも宇宙人だからね(^^)
メンバーも2種類だし、アメとムチで騙し騙しなんとかしてくれると期待。その間に三橋君も成長するでしょう!(希望!!)
ひぐち先生お願い!!ですねwww
投稿: たいむ(管理人) | 2007/09/24 19:10