『四季』(森博嗣:著)~春・夏・秋・冬
さて、『四季』4部作。
四季が頭角を現し始めた少女時代を描いた『春』~Green Spring
妃真加島であり、両親殺害、”道流”へとつながる『夏』~Red Summer
犀川&萌絵、各務&保呂草、四季のその後を描いた『秋』~White Autumn
更にその後の四季と犀川の邂逅と、四季の回想から描かれる『冬』~Black Winter
その存在感から、描かれているようであまり描かれていない四季なだけに、面白い・・というよりは興味深い内容であり、四季の哲学やモラルという、決して既成の枠に収まることのない世界観に圧倒される。それでいて、「四季も人間なのだ」と思えてくるのが面白いところか。
四季自身であり、過去の事件についてかなりの謎が明かされていた。そして現在も。特に”殺人犯”である四季の真実には、それが四季の世界でしか通用しない解釈だと分かっていても、道理であったものとして認識せざる得ない、納得させられてしまうような、そんな奇妙な感覚を覚えてしまう。『四季』を読むことで、”真賀田四季”に対する印象がだいぶ違ってくるようだ。
読み物として一番楽しいのはやはり『秋』。
”S&M”、”V”シリーズでお馴染みの面々が登場する。
私は「Vシリーズ」をまったく読んでいないので、瀬在丸紅子であり、各務亜樹良、保呂草潤平にある背景を知らない。けれど『春』や『夏』で既に登場する彼らであり、それなりの説明が添えられていることにより「知らないから困った」ということはなかった。(「エンジェル・マヌーヴ」というキーワードに隠れている事実を知らないのは少し残念だけれど)
時代背景は長崎から2年後。犀川と萌絵の関係にほんの少しだけ変化の兆しがあることが微笑ましい。(犀川先生の真意が分らずじまいではあるが)
変わらない犀川先生は勿論だけれど、(私の)萌絵の株が少し上がった。それだけの成長が分ったのは収穫だったかも。(相変わらずの部分はあるけれど、かなり大人になったと感じられるからね。)
更に彼ら全員、加えて儀同世津子やその両親をも含めて、どこかしら何かしらでリンクしていることが発覚し、そこに四季が絡んでくるというサービス満点な構成にドキドキ。如何に”犀川創平”がキーマンであるかが分るし、その正体(?)には驚きだった(出来すぎではあるけれど)。珍しく一気に読んでしまった。
この相関関係を見てしまうと、今のところ”Vシリーズ”を読む予定はないけれど、「いずれ機会があれば・・・」、という気なってくる。(”Gシリーズ”はまた萌絵が事件に首を突っ込むらしいのでパスしたいかな?)
”S&Mシリーズ”の締めくくりとして『四季』シリーズを読んで良かった。四季がまだどこかで登場するお話があるのなら、それは読みたいかな?
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コメント
たいむさん、こんにちは。
四季シリーズ、読破されたんですね。
私は未だに「春」止まりです(汗
このシリーズは四季という狂気の天才を生み出すきっかけ、
エピソード0なので、機会があれば読みたいと思いつつ、
結局読めずじまいですね。
「スカイ・クロラ」の映画化もあるので、
森シリーズにリベンジしても良いのですが、たぶん取っ掛かりの
問題だけかと。ハマれば一気にいくんだと思いますが。。。
四季シリーズの「秋」はたいむさんの記事からも気になりますね。
Vシリーズの登場人物も絡んでるなんて、まるで「ラブ・アクチュアリー」。
そのあたりの構成も気になるので、時間作ってみようかな。
と言いつつ、お盆前の仕事に追われても忘却されそうな予感も・・・爆
投稿: GAKU | 2007/08/04 08:28
■GAKUさん、こんにちは♪
春は読まれたのですねw
春は見事に「なるほど」でしたよね。一人称に惑わされないようにしないと大変だけどw
夏は、私にはちょっとイライラ。それでもやっぱり「なるほど」なんですよねw
そして秋は是非に!でも、夏を読んでからが良いです。そんなにページも多くない本ですしこの”夏”にガンバですよ(^^)
このシリーズを読んでいて、これ読まないのは勿体無いです。
冬は全部がエピローグみたいな感じかなぁ。秋のテンションを持ち込むとアララ?かも(^^;)
けど盆前は忙しいですよね。ならば盆明けにでも!
暑い日が続いて外出は避けたいナーってそんなに日でもいかが??
投稿: たいむ(管理人) | 2007/08/04 09:43