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2007/08/27

「海坊主」~モノノ怪より

今度の”物の怪”は海に巣くう「海坊主」。その「真」は、「化猫」のそれとは対になるかのモノだった。
これまでの亡くなったヒトの”無念・怨念”からカタチをなしたモノとは異なった、生きた人間の”本心”。つまり、邪心や欲望を隠そうとするが故に、己の体内では抑制しきれずに解き放たれ、海に彷徨いでたヒトの分身が「海坊主」となった。いずれにしても、物の怪とはヒトが創り出す異形のモノ。ヒトの「真」とは、いかヒトに都合よく出来ている事か・・・ということだ。
(以下ネタバレ)

Umibouzu3 「海坊主」は源彗の分身だった。
出家した身でありながら、心は邪念や欲望で満ち溢れていた源彗。妹を犠牲した「うつろ舟」での一件以来、周囲に己の本心を悟られては身の破滅とばかりに、心を二分したのは源彗自身だったのだろう。残った心は聖人君子のような源彗を作り出した。もう一方の真っ黒な心は海を彷徨い、ありとあらゆるアヤカシを寄せ付け、”魔物の海”を作り出す。
良き心のみの源彗には生まれようのない恐怖心は、別たれた心と心が呼び合うことで生まれたものであり、己の本心を知る(思い出す)ことへの恐怖そのものだったといえる。(残された”醜き姿”はその現れだったのだね) 
”退魔の剣”によって”分身”を斬ることで、別たれた心は源彗へと帰る。本当の心を取り戻した源彗の、人間らしい顔にほっとするラストとなった。それは、「化猫」の時とは違い、自らの過ちと”愛”に気付き、悔い改める覚悟が本来の美しい姿を取り戻させた、と考えられそうだ。
しっかし、こうして「海坊主」は綺麗に終わらせておきながら、ED後にやってくれるよなぁ。しかも、これも「化猫」の時とは正反対を見せるなんてね。”新たなる物の怪を宿す者の発生”という幕閉じ。オマケにしっかりと”退魔の剣”がカタチを見極めて反応しているし、もう、ゾクゾクするような余韻の残し方が上手すぎ!お見事!!

薬売りの、「真」を見破る技にも磨きが掛かってきたようだ。
「化猫」では、一刻の猶予もない状態の中、それでも抜けぬ”退魔の剣”に『何が足りぬ!』と焦りを隠せない薬売りであり、斬るに当たっても、物の怪に『許せ』と苦渋の言葉を漏らす薬売りだった。「座敷童子」でも、志乃のまさかの反応に動揺を隠せない薬売りだった。それが、今回は「真」を手繰り寄せることにも成功。難事件が経験値を上げ、広い視野と余裕を持たせ始めたようだねw
相変わらず掴み所のない怪しげな雰囲気を漂わせている薬売りだけど、意図的なはぐらかすかの物言いは、(半分は)単に加世さんをおちょくってるだけのようでもあり、私の薬売りに対する好感度はあがる一方。
はぐらかした物言いは、安易にイエスともノーとも言い切れない、(実は)とても難しい質問だからであり、可能性としてどちらも否定できないからあのような答えになるわけで、実に的確な答えだと私は思う。ただし、「まだ・・」だの「さあて・・・」だのと、いかにも曰くありげな言い方は、他人の反応を見て愉しむという薬売りの”悪趣味”の仕業ではあるかもしれない。とにかく嘘は付いていないから、結果オーライにもなるわけで、どう答えようとも「真」はやはり「真」ってことではあるのだけど、やっぱ勿体つけるのも悪趣味だよね(^^;)

毎度の事ながら、映像表現には惚れ惚れしてしまう。風や水の流れの先には花が咲き、雪のように消える。斬った物の怪が紙吹雪となって降り散る様が、とても穏やかで美しい(今回の魚型には笑ったが)。加世さんの、お馴染み”ハート”をあしらったカワイイ着物が良く似合っていた。そして、今回のお庸さんは、なんと”いちご”模様。こちらも愛らしい彼女にぴったりだった。

そうした、型に囚われず、こだわらない作風が最大の魅力だと思う私は、こうしてバンバンと太鼓判を押し続けることになるわけで、次回「のっぺらぼう」では、一体何が起こるのかとワクワクしながら待つのであった(^^)
放送予定は、あと「鵺」と「化猫」。本当にこれで終わってしまうのだろうか・・・・?

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