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2007/05/10

「善き人のためのソナタ」みた。

Photo_31 ヴィースラーが小田和正に見えた。。。というのはともかくとして、ラス前からラストにかけて恥ずかしげもなく号泣。ぐっと込み上げてきたものに堪え切れなかった。
ベルリンの壁の崩壊直前のお話。壁が崩壊してからカナリ経つというのに、まだまだ明かされていない闇は多そうだ。そんな闇と希望のひと欠片を描いた物語。すごく良かった。
(以下、若干ネタに触れています)

東ドイツの国家保安省”シュタージ”。いわゆる諜報機関であり、秘密警察でもある闇の組織。ほとんど軍のような階級社会。結局はナチの流れを汲むのかしらね?なんてね。
非人道的な囚人への尋問を録音したテープを題材に、指導教官として教鞭を握るヴィースラー大尉。その鋭い洞察力と冷酷無比さは恐ろしいまでに洗練されていたかのように思えた。それがどうしてどうしてここまで変われたのだろう。彼の信じた世界の狭さに気がついたから?何に対しても純粋で誠実(ひょっとしたら潔癖?)だったから、ただ知らなかっただけなのかな?
次々と新しい何かに目覚めていくヴィースラー。まるで心が溶かされていくかのような、盗聴の任務についてからの変化(表情の緩和や苦悩)がとても素晴らしかった。
やがては、裏切りと知りつつも動かずにはいられなかったわけで、その代償も決して小さくはなかったけれど、それでも命があるだけでも良しとできる境地にたどり着いたように思えた。
後半での急展開。
「ファン」を連呼し、クリスタにメッセージと伝えようと必死なヴィースラー。
無表情な中にも穏やかさが感じられた、メール室でのヴィースラー。
ベルリンの壁が崩壊しても、郵便の仕事を続けたヴィースラー。
もう、この辺りから泣けて泣けて。。。
ドライマンから贈られた『善き人のためのソナタ』
ドライマンがヴィースラーに声を掛けなかった時点で、こうなることは読めちゃったんだけど、思ったとおりの文章には嬉しくなって新たな大粒の涙をボロボロとこぼした私だった。彼は本当に「善き人」だった。

総評:★★★★★  好き度:★★★★☆+  オススメ度:★★★★☆

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コメント

良かったですよねぇ。この映画の監督さん、これが初監督の作品で、脚本も手がけていて、まだお若いのですよね。末恐ろしいくらい、すごい人がいるものです。ヴィースラーの俳優さんは、私と同年齢だということがわかって、なんとなく親近感も覚えちゃったんですが…。(^^;)
ラストへの展開は、圧倒的なヒューマニズムに心が震えます。
日本でこういう映画を作るのは、無理だろうな。「戦争は残酷」みたいな映画ばかりじゃ、本当の意味での「反戦」にはならない、と私は思うわけで…。

投稿: あかん隊 | 2007/05/11 00:45

こんにちはー。
>ヴィースラーが小田和正
…むはは。たいむさんの感性は凄い。爆
いえ、良かったですよね。音楽も演出も脚本も、お見事でした。
音楽や芸術って自己表現の一つでありますが、こういうご時勢や社会体制の国では結構な弾圧に苦しむアーチストは多かったと思うのです。
何を誰を信用していいのかわからない時代なんて、ちょっと考えられませんです。結構アーチスト達は素直に自己表現しちゃってますから、裏を覗いてもそれらは真実でしかないんですけど、ヴィスラーのような人はきっとそういうこと自体が新鮮だったのでしょうか。
ヴィスラーの裏がとても綺麗な善き心の持ち主だとわかってくるのに気がつく時、私達も彼に対する偏見を取っ払う事ができる。
大粒の涙を流したたいむさんも善きお人ですー。
善き人のためのソナタは見る者にも響いちゃいますよね~♪

投稿: シャーロット | 2007/05/11 15:19

■あかん隊さん、こんばんは♪
初監督?!・・・しかもお若いとは!
スゴイ方がいるものですねぇ・・・(´□`;)ハゥ
日本での戦争映画。
明日から某都知事の泣かせる作品が公開ですが、某パッチギな監督さんは「いい加減、戦争を美化するのはやめろ」との暴言?をはいたとかはかないとか。
表現方法は色々あるわけで、しかも「反戦」や「非戦」をテーマにしているのかとかも読みきれませんが、いい作品は何かが違いますし、茶番なのかどうかはわかりますよね。(観る人次第でもありますが)
いつかとんでもない監督さんが日本にも登場することを期待して待ちましょうか。


■シャーロットさん、こんばんは♪
>>ヴィースラーが小田和正
すみません・・突拍子もないことを書きました。。。(^^;;;
>何を誰を信用していいのかわからない時代
わからないというよりは、最初から選択肢はひとつで無条件に信じていた時代かな?
だから余計なものは見せない、聞かせないって世界だったわけで、何か違うんじゃない?と思った人の末路は言わずもがな。
疑問に思わなかったことをはじめて疑問に思ったヴィースラーであり、何もかもが新鮮だったでしょうねぇ。

見逃すことが「善き人」ではなく、あ~これも結局は「情けは人のためならず」なのかなぁ。
とにかく、心洗われるような清浄な流れにいっしょに溶け込んでいくような感覚でした。
が、私など、まだまだ黒いものがいっぱいこびりついてますぞ(爆)

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/11 19:18

たいむさん、こんばんは♪
ナチス物はよく見て来ましたが、とうとう旧東ドイツ物も見れる時代になったんだな~と思いました。
ここまで厳しい監視社会だったとは、想像以上です。
ヴィースラー役の役者さんは奥様にずーッと監視されていたそうですね。
それも凄絶な体験だと思います。
芸術が人の心を溶かしていくというのがすごく良かったです。
あのソナタ、この映画を見た人には絶対に届いていますよね。

投稿: ミチ | 2007/05/11 23:23

これ見ましたよー!良かったですね!
今年見た中でかなりの上位かと。
年内にほかにも沢山の映画を見ると思いますが、これは自分の中で上位に居続けると思いますね。

投稿: h | 2007/05/12 00:00

■ミチさん、こんにちは♪
ナチが終息した後のドイツは謎ですよね。特に東は。
なんだかヘッドがスゲ代わっただけで、裏の世界はいつでもどこも変わらないのではないかしら?と思ってしまいます。
>奥様にずーッと監視
キツイですねー、もし気がついていたのだとしたら。
ドライマンはその分だけちょっとマシだったのかな?(事実はともかくとしても)
音楽も芸術もどんなに”バベル”でも無関係ですよね(笑)
これこそが唯一の解決法なのかもしれないですね。
ええ、ソナタはみんなにきっと届きますよね。


■hさん、こんにちは♪
これは観た人にしかわからない感動かもしれません。でも、おそらく観れば必ず感じられるという素晴らしい作品でしたね。
暗いイメージが先行し、敬遠している方も多そうなので、ちょっと勿体無い感じです。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/12 13:12

たいむさん、こんばんわ。
TB&コメントありがとうございました。

前半~中盤までのあの淡々とした物語は、全てあのラストに向けて
放たれていたように思います。
最後の展開には、予期もせずに涙が溢れて・・・止まりませんでした。

それにしてもヴィースラーが小田和正とは(爆笑)。
言われてみればたしかにそう!!フフフ・・。

最近は、若くして初監督で秀逸な作品を生み出す方々が結構いますが、
この監督さんも例外ではありませんね。
この監督さんの今後の活躍がとっても楽しみです♪

投稿: 睦月 | 2007/05/12 23:50

■睦月さん、こんばんは♪
冒頭の講義には「うへ~」と思いつつ、分析にはなるほど・・とヘンなところで感心してしまいました(^^;)
おっしゃるとおり前半は淡々としていたのですけど、既に引き込まれてました。
バレて窓際に追いやられてしまったところで、余韻を残して終わるのかと思ったら、ここからが本番というかのようにガツンとやられちゃいましたね。涙なみだでした。
でも、悲しい涙じゃないんですよねー。

>小田さん
ヘッドフォンなんかしちゃってるし、とくに劇場チラシのヴィースラーはカワイイ目元が(笑)

普段は映画ではあまり監督とかスタッフを意識していないのですが、今後が楽しみな監督さんの一人になりました。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/13 00:25

こんばんは^^
>ヴィースラーが小田和正に見えた

たいむさん、笑わせないで下さい(笑)

さて、映画のほうですが、派手さはないのですが
いつのまにか惹き込まれて、ラストは涙、
涙でした・・・・
たいむさんが、泣けて、泣けてと言うのが
すごくわかります。また、あのラストを
見て泣かない人は、いなのではないかとも
思いました。本当に秀逸なエンディングだった
と思います。あの余韻がいつまでも心に
残る映画です。。。

投稿: ひろちゃん | 2007/12/19 22:34

■ひろちゃんさん、こんばんは♪
瞬間的に脳裏の浮かんだんです>小田さん(笑)

切なさに堪えきれない涙をひとしきり流して、そしてラストは嬉し涙でもうひと泣き。可哀相な涙がどこにもないから素晴らしい作品として心に残りました。
観れば辛くなる作品ではあるので、そうそう何度も繰り返して観たいとは思いませんが、なにかの折に観ることがあるとすれば見入ってしまい、たぶんまた大泣き(笑)
ほんと、あの余韻が溜まらない、名作といえる作品だと思います。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/12/19 22:55

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