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2007/05/24

『犀川&萌絵シリーズ』:森博嗣(著)、読了。

今年1月から読み始めた森博嗣氏の小説”犀川&萌絵シリーズ”(全10作)をやっと読了。5ヶ月もかかってしまった。”分厚い”京極夏彦作品を苦に思わない私ではあるが、さすがに”10冊”となると一気とは行かない。これまでにも何度か『どうしても萌絵が好きになれない』と言ってきたけれど、これも進まない原因の一つ。やはり最後までダメだったわけで、それがこのシリーズの第一番目の感想。

1作目の『すべてFになる』から10作目の『有限と微少のパン』の間には、約4年という月日が流れていた。本来は前半の5作で終了するはずが、プラス5作で全10作になったとのこと。全般的に”普通”な前半5作だったが、追加された後半では”見せ方”に「作者のチャレンジ性」を感じ、作者に対して『こんな書き方も出来るようになったんだ。。』と、思ったものだった。(偉そう~...^^;) 「違った作風」へのチャレンジと同時に「読者対するチャレンジ(挑戦)」も感じらるようになった。それは確かに『ああそうか、すっかり騙されたぜ。』・・なのだけど、その”騙す内容”と”騙し方”が許せるか、許せないかは読者の好感度次第かなー?なんて思う私だ。(私は、どちらかというと、後者かなぁ)

以下、シリーズの雑感など。

①『すべてがFになる』・・・は以前に書いたので省略。
②『冷たい密室と博士たち』・③『笑わない数学者』
・・・どちらも推理モノとしてのサプライズはない。読みながら答え合わせしていたようなもの。楽しみといえば、本筋とは全く無関係ない犀川先生の思考からのトリビアな話(地球の大きさとか)かな?
④『詩的私的ジャック』
・・・推理で、はじめてちょっとした敗北感を味わったもの。前半の犯人は当たっていたけれど、最後までは読み切れず。
⑤『封印再度』
・・・本筋はともかく、決定的に萌絵がダメになったエピソードがコレ。あの”嘘”だけはどんな言い訳があっても許せない!それどころかその後もあまり反省の 色がない。叔母様の(強引な)采配がなかったら暴れそうだった。・・・とはいえ犀川先生の意外な言動が見物ではあった。なんで?とは思うのだけど(それは私が萌絵を嫌いだからw)、犀川先生の深層心 理がそうさせたのなら仕方なし。
この頃から犀川先生の”安楽椅子探偵”ぶりがより強化された感じ。本筋とは無意味な思考はあれど、一見突飛で無意味な発言は、実は本筋の核心をついていたりする。その分、本当に無意味な雑学が無くなってしまいちょっと残念。
⑥『まどろみ消去』
・・・短編集であり、同一人物のような違うような書き方が面白い。『封印再度』での池波志乃さんが後書きで書かれていたとおり、一幕と二幕の間の”ショータイム”短編集だね。
⑦『幻惑の死と使途』・⑧『夏のレプリカ』
・・・同時期に進行していた別々の事件を、共通する人物を絡めながら別々に進行させていくという、裏表とも違う書き方が面白い。この2編だけは必ず順番どおりに読むべきものだね。
『幻惑の使途と使途』では、ラストにほんの少し”金田一耕助”を彷彿させる犀川先生が好きだ。
『夏のレプリカ』は、このシリーズで唯一泣いた話。でも、最後の出会いはまずあり得ない偶然で、都合良すぎに少々興醒め(嬉しくはあったけど)。ほのめかす程度に留めてあったならば、一番好きな話になったと思う。
⑨『今はもういない』
・・・完全なるミスリードに引っかからない人がどれだけいるだろうか?手法には拍手を贈りたいけれど、いちばんイライラした本だった。西之園嬢以上に”ダメ男”風な「笹木」がいけない。とにかく犀川&萌絵の”幕間”が待ち遠しかった。
⑩『数奇にして模型』
・・・『今はもういない』に次いでまたしても巧妙なミスリード炸裂。「なるほど、そう来たか」ではあるけれど、そのままの結末だけ考えるとたぶん一番つまらない。経過においての萌絵の言動ひとつひとつが、とにかく私を不愉快にさせるからかもしれないが。
⑪『有限と微少のパン』
・・・真賀田四季博士の再登場が嬉しい。でも、ズバリ最初から正体と存在をあかしてしまったのがなんだか勿体なく感じられた。”暗号”風の言葉遊びが面白く、やはり犀川と四季との絡みがいい。10章であることと、各章の冒頭の一文の暗示?が最初からねらったものだったとしたら・・・すごい、かも。

とりあえず、ここまで読了。
既にお気づきだろうが、「全10作」と言っているのに、11タイトルあるのは・・・単に間違ったから(笑) 10冊を山と積み、覚悟を決めて読み始めたのだけど、文庫のカバーを見ながら本を購入していたら、必然的に『まどろみ消去』が紛れ込んでしまった(笑) 当初は10冊に満足し『数奇にして模型』が欠落していることに気がついていなかったのだけど、『まどろみ消去』を読み始めて、可笑しさにやっと気がつき、補充。
ついでに言えば、更に『地球儀のスライス』なる、やはり”犀川&萌絵”の番外編が収録された短編集があると最近知り、一応手元に準備してはいるがコレはまだ未読。
ちょっとばかり”萌絵疲れ”したので、しばらくお休みしてからにしたいと思う。(決して萌える疲れではない!)
四季シリーズは既に準備してあるし、読むつもりだが、Vシリーズは、『地球儀のスライス』を読んでから考えたいと思う。(おそらくパス、もしくは相当後回しかな?)

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コメント

たいむさん、こんばんは。
「犀川&萌絵、S&Mシリーズ」懐かしいです。
私も以前に読んだような気がしますが、トリックまでは
ちょっと思い出せないくらい前ですね。

大抵の話は、萌絵がトリック解明のギリギリまで行くけど、
実は犀川は既にトリックを見破っていて、
「そんなつまらないことには興味はないよ~」
みたいなことを言って、萌絵がすねると。
そんなパターンだったような気がします。

あと余談ですが、萌絵は犀川に好意を寄せていたようですが、
犀川自身はたぶん萌絵よりも、四季に惹かれていた印象を受けました。
あの萌絵の自分勝手な性格は、私もちょっと共感はできませんね。
一応美人という設定なので許されているのだと思いますが。。。

投稿: GAKU | 2007/05/25 01:32

■GAKUさん、こんばんは♪
そうそう、物語の牽引役は萌絵なのだけど、詰めが甘いために最終的には犀川先生が補足、のパターン。
萌絵が事件に首を突っ込みたがるのは、犀川を巻き込みたいという下心から。そんな風にしか感じられず、とにかく傍若無人で無謀極まりない行動が私をイライラさせてくれます(笑)
犀川先生も、興味がないのは本当だろうけれど、今ひとつその真意がくみ取れない変人。
「来る者は拒まず、去る者は追わず」を見事に地でいってる人ですね。
掴み所が無いようでいて、そうでもない。掴んでしまえば案外素直。
私は、犀川先生のものの考え方には、少なからず共感する部分があるので、かなり好意的で、贔屓目ですねw

萌絵よりも四季により好意を抱いている、という感想については私も同じです。
でも、きっとどちらに対しても恋愛感情とは違っている気がします。
四季には叶わない夢と理想を見て、萌絵には現実を発見し留まらさせられる。心の奥深くではどちらにも魅力を感じているのではないかと思う次第です。
素子からみた、クゼとバトーみたいな、そんな感じかな?(笑)

GAKUさんは、その後の作品は読まれたのでしょうか?
私は森作品はもういいかな?って思ってるのですけど。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/25 22:07

たいむさん、こんにちは。

>素子からみた、クゼとバトーみたいな、そんな感じ
なるほど!納得の例えです。
確かにあの犀川の思考は恋愛感情ではないですよね。恐らく彼の思考は作者である森氏本人の思考に起因するところが大きいと思います。

ちなみに、私は「四季 春」で森氏作品を終了しました。
見限ったというわけではないのですが、なかなか読書自体する時間が取れないのと、S&Mシリーズ以降のものが肌に合わなかったということですね。
四季シリーズは機会があれば読破したいと思います。
アナキンがダースベイダーに、ハンニバルが人食いになるのを、観たくないのに観たい、という興味と同じですね。

投稿: GAKU | 2007/05/26 09:33

■GAKUさん、再びありがとうございます♪
私も最初から素子を考えていたわけではないのだけど、書きながら、「あれ?コレは??」と浮かびました。

犀川先生が森氏を投影したものか?というと、おそらくそうではないのでしょうけれど、自分が考えたことのない思考は生まれませんし、理想であり、現実であり、どこかしらに近いモノはあるのではないかと私も思ってました。

春で終了ですか?(笑)
肌に合わないのでは、そんなもんですよね。
限られた時間なら、肌に合うものを優先させたいですしね。

>アナキンがダースベイダーに、ハンニバルが人食いになるのを、観たくないのに観たい、という興味と同じですね。
秋・冬まで進むと、カナリ独特の哲学的な様相に変わるとか。
アナキンがベイダーになる理由は受け入れられるけど、ハンニバルは・・・。コワゴワ手を出したいと思いますww

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/26 17:36

ごぶさたですぅ(^^)

S&M読了おつかれさま。
いまは「電脳コイル」にどっきどきぃ〜!な毎土曜日です。

>素子からみた、クゼとバトーみたいな
修ちゃんからみた、リカさんとハグちゃんみたいな。。。(笑)
私の中では「若いおじさんと少女のカップリング推奨」つながりな。
ついでに、川原泉(笑うミカエルetc.)も!(爆)

投稿: A-ten | 2007/05/30 17:22

■A-tenさん、こんばんは♪
>電脳コイル
あははははは!
”オヤジ”がちょっと好きです(笑)

>修ちゃんからみた、リカさんとハグちゃん
ああ、なるほど。
でも、私はハグちゃん好きだから、萌絵と一緒にしたくないなぁ。

>「若いおじさんと少女のカップリング推奨」
その手の展開は私も好きなんですけど、やっぱり萌絵がなぁー。
笑うミカエル!これもなるほど!
どいつもこいつも「若いおじさんと少女のカップリング」で上手く収まりましたよねw
大好きです♪

投稿: たいむ(管理人) | 2007/05/30 19:07

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