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2007/04/04

DVD「ゆれる」みた。

Yureru_1 劇場で見損ねていた「ゆれる」をやっと見た。見損ねていたわりには、予備知識はまるでなし。劇場の関係で予告すら見た事がなかった。
兄弟、、家族の話だと思ってはいたけれど、まさか刑事事件がからむ物語だったとは。。。知らなかった(^^;) ちと、びっくり。
(以下ネタに触れてます)

片田舎の狭い世間と鄙びた環境に我慢ができず、自分の思うまま好き勝手に生き、カメラマンとしてそれなりの成功を収めている弟と、田舎で家業を継ぐしかなく、結婚もできないまま鬱々とした生活を送る兄。密かに幼なじみの女性に想いを寄せる兄だが、彼女と弟はワケあり。すべての事の発端は、そこにあった。
つり橋から転落した女性。事故か、殺人か?
目撃していたであろう弟は、「事故だ」と主張する。混乱か錯乱か、情緒不安定な兄は仕事でトラブルを起こし、更に「彼女は自分がやった」と自白し逮捕される。が、裁判では態度を一変させる。事故と処理されることの自責の念に耐えかねて「自分のせいで助けられなかった」と言いたかったのだと。つまり、「事故だった」と自白を翻す。
裁判が進行していく中で明かされる真実と事実から、兄の真意が読めなくなって行く弟の“ゆれ”が徐々に大きくなるのがとても良く感じられた。
対して、グラグラなようでいて、実はそれこそが兄の弟に対する囁かな復讐(矯正)か?と思えてきて、最終的な弟の告発を引き出す事が最終目的だったように感じられた。嫉妬心や逆切れ的な隠していた本音を吐き出したことはあっても、兄は一つもぶれてなかったと気がつく。
「ゆれているのは最初から最後まで弟だけ?」と思ったところで、トドメの真実が明かされ、それは確信となった。「本当の意味で人生を賭けたのは兄の方」だった。少なくとも私にはそう思えた。

「ゆれる」。実に見事なタイトル。なるほど、な構成。何故か私には泣けない作品だったけれど、「あぁ・・・」と感慨深い作品だった。
勝利?の笑顔を見せた兄のラスト。バスには乗ったのだろうか?微妙な余韻を残すラストが心に残った。

まったく何にも知らずに見ていたため、なかなかストーリー展開が掴みきれずにいたが、事件が起こり方向性が見えたときから兄の言動が妙に気になった。けれど兄ではなく、弟の微妙なゆれが引っかかった。事の顛末には、最後までワクワクしながら見ていた。
ところが、鑑賞後にみた映像特典にあった予告編をみて愕然とした。「うわ~結果とラストを見せちゃってるんだぁ~」と。
もしこの部分、最初から弟の告発を知っていたら視点が違っていたかもしれない。兄の真意を汲み取れないでいる弟と同じく兄に対して憤り、そしてガツンとクラって大泣きだったかも。ってね。
ネタバレなしなら客観的に見ることになり、思考をめぐらせいち早くゆれの本質に気がつくことだろうし、ネタバレありなら”家族とは?”を前提にしつつ感情的に見てしまう作品になるような、そんな気がした。

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コメント

こんにちは♪
せっかく「ゆれる」の記事なのにTBできなくて歯噛みしています(泣)
「ゆれる」応援隊の私などは予告編を何十回も見てしまったので、ある程度の予想の付くストーリー運びでしたが、それを全くご覧になっていなかったたいむさんの初見の感想がなんだか新鮮に感じました。
これ一度じゃ分からない部分も多いですよ~。
稔や猛の表情や言葉の裏を考えながらぜひぜひもう一度見てください。
なーんて、そんな時間無いですよね。

投稿: ミチ | 2007/04/05 13:43

■ミチさん、こんばんは♪
何が原因なのか・・・>TB・・残念です(><)

>初見の感想
>これ一度じゃ分からない部分も多いですよ~。
的外れな感想になってないかしら?と思ったりも。。。
本当にいろいろ思考をめぐらせながら観てました。
表情一つ一つにしても、どことなく釈然としない部分がたくさんありましたしね。
そうですね、何度も観て、あーでもないこーでものない、やっぱりここは・・・と思う作品かもしれません。
1週間レンタルが解禁になったら(笑)、もう一度観てみようかしら?

投稿: たいむ(管理人) | 2007/04/05 19:07

わたしも、ほとんどの予備知識無く観ました。

スタンドで一心不乱に働く兄と、遊びで彼女を誘う弟。
この対比にやられました。
兄弟の立場がどんどん微妙になっていくのが本当に辛い。

正直でまじめな兄、弟(都会)にあこがれて街を出ようとした彼女。どちらの気持ちも痛いほど感じました。
地方出身者には、重い映画でした。

投稿: kayamariyon | 2007/04/05 23:15

こんばんは☆
何故かgooとまた相性が悪くなっちゃってますよねー。
うえーん。泣
私的にも涙映画ではないのですが、人を良く観察して描いてるなと感心しました。兄弟の心理描写もそうですが、父と伯父の方も。脇役がまた良かったですよね。
色んな台詞も演出も描写も、ごくさりげないところに唸りながらグラグラゆれてました。
私は予告編など出来るかぎり情報を入れないで見る方なので、たいむさんと同じような感じで見ていたと思います。

投稿: シャーロット | 2007/04/05 23:28

>弟の告発を引き出す事が最終目的だった

>嫉妬心や逆切れ的な隠していた本音を吐き出したことはあっても
兄は一つもぶれてなかったと

そうそうホンマそう思います。
・・って、レビューの時に書けなかった。う~~・・・(笑)

ひとりっこでね、
いつも誰かに守られてきた、何かに不自由な思いしたことなんか
ほとんどなくてね、
限りなく弟の立場に近い自分からみたら
顔と中身のちがう兄は怖い。
とってもとってもコワイ。

なんでも自分のことは二の次にしてきた兄の
これからを思うと
バスに乗ってほしい・・・と思いました。
父や店のことをほっておけるひとではないのですが
それでも自分の時間、自分の人生を考えてほしいと
願いました。
・・長文どうも。

投稿: Ageha | 2007/04/05 23:35

■kayamariyonさん、こんばんは♪
兄だからという呪縛。弟だからという開放。
本当に兄弟の対比が痛々しいんですよね。
どちらも妬んで羨みながら、仮面兄弟やってバランスを取っていたように感じられました。
壊すきっかけを作ったのは弟であり便乗したのが兄、という構図を私は観ましたが、事件の真偽さえどうでも良いのかもしれません、この兄弟は。

>地方出身者には、重い映画でした。
田舎というほど田舎に育っていない私であり、都会に出たいと思うこともなかったので、残念ながらその心理には至らず。
似た境遇を持つ方なら、いたたまれないかも知れませんね。


■シャーロットさん、こんばんは♪
ここしばらくgooとは何事もなかったんですけどねぇ(泣)

>人を良く観察して描いてるなと感心しました。
感情移入や共感ができなくても、コレだけ揺れさせるものが描けるって凄いですよね。
父親兄弟との二重構造も見事でしたし、私もグラグラでした(笑)
俳優陣の演技が絶妙。そこで上手く表現できなければ、伝えたいものはまったく伝わらなかったかもしれません。
秀作ですね。


■Agehaさん、こんばんは♪
ぶっちゃけ兄は弟が嫌いだったのだと思ってます(注:過去形)。調子の良い弟を冷めた目でずっと見てきたのではないかと。そしてちゃんとそれを兄は自覚してるんですね。

Agehaさんが恐れるような兄の態度って、ある意味SOSなんだと思います。「白々しいウソは止めてくれ!気付いていることに気がついてくれよ!」って言う。
↑でも書きましたが、兄弟の絆を壊すきっかけを作ったのは弟であり、茶番に嫌気がさしていた兄が便乗してリセットしようとしたのではないかという気がしてなりません。兄が故意に2転3転させたのは弟を引きずり出す為の茶番返しかなーって思えるんですね。
弟の告発は、リセットという兄の思惑を成就させ、実際”ミミズ腫れ”の意味が弟の思ったとおりなのかどうかすらわからないけれど、どっちに転んでも兄はそれだけで満足したような、それが法廷での表情であり、バス停での笑顔かなと、そんな風に思ってます。
そしてバスには乗った、そんな気がします。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/04/06 20:50

こんばんは。たいしたことはしていないはずなのに、時間がなくなってしまってます。ややご無沙汰ですみません。
この映画、陰湿の極み。
家族愛なんかを見直そうキャンペーンみたいな映画も多くなってきてますけど、「兄弟は他人の始まり」ってことで。
親子でも兄弟姉妹でも、血縁って、どんなに嫌でも消したり、リセットしたりすることができないわけで、「雨降って地固まる」的に相互理解がきちんとできればいいのですけど、そうも行かない場合もたくさんあるだろうと思います。適度なスタンスって、肉親にも必要だな、と実感している昨今ではあります。

投稿: あかん隊 | 2007/04/07 01:19

■あかん隊さん、こんばんは♪
ぜんぜんご無沙汰なんていうほどのことはなく(^^)
お元気でいらっしゃるならそれで十分ですぞ。

>「兄弟は他人の始まり」ってことで。
>適度なスタンスって、肉親にも必要
私も、実は同じように思っていたりします。ちょっと不穏な私の実家・・・(^^;)
良くも悪くも、「家族だから」の一言に尽きるのですが。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/04/07 20:29

たいむさん、こんにちは。
この作品、今まで観よう観ようと思いつつ
「疲れてるし、重そうだからまた今度」と敬遠していたのが本音。
ただ、観てみると今まで敬遠していたのを本当に公開するほど、
自分の中では衝撃を受けてしまいました。

細かい会話や視線などから見え隠れするお互いの本音、
長回しの無言カットから醸し出される葛藤や緊張感も含めて、
ラストのフィルムからバスのくだり、そしてエンディングテーマまで
もう完全にヤラれてしまいました。
人によっては「重すぎてダメ」というかもしれませんが、
私にはど真ん中の作品でした。

投稿: GAKU | 2007/04/29 09:47

■GAKUさん、こんにちは♪
何も知らないと雰囲気的に重そうですよね。
私も、立地的に面倒くさくて嫌いな劇場でしか公開していなかったのでスルーしたんですよ(^^;)
勿体無いことをしました。(先入観念を持ちたくないので自分で観るまではほとんど他人の記事や評価を見なかったので)
少し前から信頼の置ける方(いつも自分と似たような感想を持っている方かな?)の記事の「評価だけ」は参考にするようになりましたよ。例えばミチさんとかw

ホントに香川さんはじめ俳優陣がまず素晴らしいことと、それを逃さないカメラワークに感動しますよね。
物語りもドンドンのめりこんでいって、頭の中がフル活動。刺激的でした。自宅でこれだけ入り込むってはマレですよ。

好き嫌いはありそうですが、私も結構ツボです。
でも、まだ咀嚼し切れていないので、評価なし(笑)

今、感覚として「バベル」がそんな感じです。

投稿: たいむ(管理人) | 2007/04/29 11:50

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