「あなたになら言える秘密のこと」みた。
なかt石油採掘場での事故から始まる。そこが舞台となる。世間とは距離をおいた閉鎖された空間(といってもサスペンスではない) 誰もが心に孤独を持つ者たちが集う場所。
冒頭の「子供の声(語り)」の意味がまったく分からなかった。ハンナの無表情、味気ない弁当、閑散とした部屋、山と積まれた石鹸、無言電話、盗み聴き・・・。耳が不自由なのは分かったが、潔癖性?神経質?彼女って何?・・・と少々困惑する私。
看護師として石油採掘場へ赴き、わずかな人たちとの出会い、世話をするジョゼフとの会話によって少しずつ変化を見せ始めるハンナ。採掘場のメンバーとも少しずつ会話を交わすようになり、顔には苦痛以外の表情も浮かび始じめ、やがて笑顔もみせる。
ハンナにとって、ジョゼフの目が見えないことが幸いしていたのだろう。
ジョゼフは見えない情報不足を補うように次々と想像を巡らし、ハンナに話しかけることで気を引こうとする。小さな秘密も打ち明ける。
少しずつ心の距離を縮めていくハンナとジョゼフであり、やがてハンナはジョゼフの火傷の原因、”事故”の真相を知り、そして本人から大きな秘密を聞くことになる。ジョゼフは身体の傷と同時に心に大きな傷を負っていた。そしてハンナも同じく、それ以上の消し去ることの出来ないであろう深い傷を心と身体に刻み込まれていた。ハンナもジョゼフに秘密を打ち明けた。
秘密の告白は、それまでのハンナの言動の全てが納得できる、ものだった。
ハンナの想像を絶する秘密は辛すぎる。痛々しい。切ない・・・とどんな言葉を並べても、私にはハンナの痛みの半分も理解出来ていないかもしれない。
「あなたになら言える」のタイトルのとおり、ジョゼフにしてもハンナしても彼女だったから、彼だったからなのだね。消し去りたい過去の記憶を理解して欲しいわけではない。でも誰かに聞いて欲しかった。言わずにいられなかった。言うべきだと思ったのかもしれない。互いが互いに。
傷の舐め合いだったのかもしれない。けれど、回復したジョゼフと元の生活にもどっていたハンナの再会。小さな秘密の話が決め手となるななんてね(TT)
許された彼女と彼の再出発。やっと手に入れることの出来た普通の幸せが、真実の幸せとしてずっと続くことを祈ってしまう。
総評:★★★★☆+ 好き度:★★★★☆ オススメ度:★★★☆☆+
後味の悪さを感じさせない理由は、ほのかな希望が感じられることと、余韻を引きずらせない場面転換が効果的だったかな?
それにしても、「働き過ぎだから・・」と1か月も休みくれるなんて羨ましすぎ。(有給?なわけないか??)
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コメント
あれは有給休暇だと思いますよ~
2年間全く有給休暇なしだったら、取れるんじゃないでしょうか。
希望が見える終わり方でよかったです。
あのまま終わってたら、暗くなって自殺者も出てくるかも・・・
投稿: kossy | 2007/03/02 19:26
■kossyさん、こんばんは♪
有給休暇ですかね、やっぱし(笑)
結果オーライというか、あの休暇がなければあの出会いはなく、この結末はなかったわけであり、ちょっとだけ会社にも感謝したい感じです(笑)
>あのまま終わってたら、暗くなって自殺者も出てくるかも・・・
えー。そんな恐いことを。。。
確かにそのくらいの秘密でしたけど。。。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/03/02 20:57
こんにちは。
そうそう重たい雰囲気なのに、後味は決して悪くはないのですよね~。
前向きさ加減が私もとっても気に入ってます。ラストの子供の声はハンナの様子に嬉しそうでもありちょっと寂しそうでもありましたけれども。
耳はホントに難聴だったのかな。人を寄せ付けないカモフラージュ?ってちょっと思ったりもしました。
有給休暇っていいなあー。私はフリーなんで休んだらホントに無給。笑
投稿: シャーロット | 2007/03/03 17:42
■シャーロットさん、こんばんは♪
先入観念を持ちたくないので、皆様のレビューは鑑賞後にしか拝見していないのですけど、どなたも高(好)評価。
マジ見逃さなくて良かったですぅ。
”赤い服”を着ていたいお子様たち。笑ってましたよね?(確か)どんな意味が込められているのか・・・ちょっと考えあぐねていますが、天の子供の声は「もう現れない」といっていたし、ちょっと安心しました。
>難聴
どうしたら自分で耳を潰せるのかわかりませんが、その話も告白の中にあったのかな?って、私は思っていました。
フリーって自己管理ですもんね。
シャーロットさんは技術職ですし、響きはとてもカッコイイのですけどね~(笑)
投稿: たいむ(管理人) | 2007/03/03 20:36
こんばんは♪
ご覧になれて良かった!
あまり宣伝もしていない作品ですごくいいものがあるんですよね。
食べることに興味ありまくりの私は、ハンナのような生きるために最小限のものを食べるというのが痛々しくてたまりませんでした。
その彼女が採掘所でがっつくように食べる姿を見てホッとしました。
生きること=食べること=歓び
光の見えるラストで良かったです。
投稿: ミチ | 2007/03/05 00:11
■ミチさん、こんばんは♪
ほんと、見逃さなくて良かったです。
最初はちょっと難しかったです。予備知識がまるでなかったので、タイトルと内容が結びつくまで思考がふらふらしちゃったし。
あの告白にはゴーンって一発食らっちゃいました。で、すべて納得。
>生きること=食べること=歓び
ほんとですよね。食欲って本能の中で上位ですし「元気」の源。
やらたに食事のシーンが多いなとは思っていたけれど、その意味の深さには感慨深いものがありますね。
もう一度観たいような、もう観たくないような、そんな感じです。
余談:そちらは気温が22度だったとか?
3年前にもそんなことありましたし、すべてを温暖化に結び付けてはいけないけれど、どうも頭を良くない感じでよぎりますよね。
投稿: たいむ(管理人) | 2007/03/05 18:00