「ブロークバック・マウンテン」やっとみた。
「クラッシュ」同様、アカデミー賞がらみによって、やっと上映されることになった作品。
”男同士の友情もの”が大好きな私だけど、さすがに一線を越えたカタチに対してどう表現して良いものやら少々戸惑っている感じあり。作品のメッセージを読み取れているかもよくわからない。(以下ネタバレあり)
子供の頃から心が満たされることなく育ったイニスとジャック。
環境や境遇は違っていても、どこか同じ匂いを感じ、お互いに心を開いていった二人であり、純粋に心を許しあうことで友情が芽生えるのはわかる。しかし、そこから肌をあわせる=愛情に変わる・・というのが残念ながら私には理解に苦しむところ。身体の触れ合いは心の延長であるともに、結果でしかないとしか思ってる部分があるからかな?
だからその行為自体には、お互い肌のぬくもりに飢えてのことだろうな、とか、傷を舐めあっているのだろうな、とか。思ってしまう。
別れている時間、イニスにしてもジャックにしても、無意識にも同じ事を身体で求めようとする。結局その結果だけを求めてのことではないだろうか?だから心は満たされない。
ジャックの想い。
欲しくて欲しくて、やっと手に入れることができた”愛”。愛に満たされた日々。しかし仕事の終わりと共に手放すことしかできなくて・・・また満たされない日々。もう一度欲しくて、満たされたくて、やっとの思いはかなっても、思うようにはならず。こころの穴を埋めるように代替をたててもやっぱり満たされることはなく、いつまでもイニスを求めて止まない。そして何より最後まで諦めることなく、それゆえに最期に全てを失ったジャック。
イニスの想い。
欲しい、満たされたいという思いは同じ。それでもここまでなのだ、どうにもならないのだ、恐いのだ、という思い。子供の頃に見せ付けられた忌まわしい出来事。トラウマ。いけないことだと世間の目を恐れ、身の破滅を感じ、疑心暗鬼にかられ、全てを望む想いとは裏腹に望むものはないと、解放されたいと願う。全てにおいて途中で諦めることしか出来なかったイニスは最後に全てを手に入れる。
難しい・・というか、何をどう捉えてよいのか良くわからず、戸惑いまくったこの作品ではあるけれど、純粋な二人の心の繋がりは美しいと思った。
そして、イニスがジュニアの結婚式に出席すると承諾したこと、クローゼットにかけられたシャツと青い鳥が飛ぶ、ウィスキーの川が流れる懐かしい山の写真。そしてEDの歌詞。最後の最後でやっと何かがわかったような気がした私だった。(気がしただけかもしれないけど)
最終的に、やはりこれは「友情」のなかの「自然な愛情」として捉えたい、という感じだろうか。
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コメント
たいむさん、こんばんは。やはり私が1番乗り、かな?(笑)
この作品、感覚的に、合うか、合わないか、で、決まっちゃうような気がします。余談ですが、『クラッシュ』と、この作品は相容れないようで、『クラッシュ』がよかった、という人は、この作品は合わなかった、という人が多いようです。
いい、悪い、は全く別問題ですが、観る人の「ゲイ」に対する考え方、感覚も、この作品の感想に関わってくるのかもしれません。
と、抽象的な表現でごめんなさい。m(__)m
投稿: ラフマニノフ | 2006/04/11 23:29
前売り券、持っているのになかなか行けないこの映画。ぐっとこらえて、仕事する毎日。
嗚呼。かくも時間は、非情に過ぎてゆく。
たえまない時の流れにしばし哀しむ…なんちって。(^^;)
早く観たいゾ。。。>終わらないうちに…えーん。(TT)
投稿: あかん隊 | 2006/04/12 02:46
■ラフさん、こんばんは♪
>感覚的に、合うか、合わないか
そうですね。
感想は、単に好きか嫌いかかも知れませんよ。
それと、どうして「クラッシュ」が引き合いにされるのかが良くわかりません。(アカデミー賞がらみはわかるけど)
内容も雰囲気も全然違うし、どっちがどっちとか、そういったことは私にはあまり意味をなさない感じです。
クラッシュもブローク・・も好きか?と聞かれたら、たぶん「好きじゃない」と答えるだろうしねw
>観る人の「ゲイ」に対する考え方、感覚も
女性と男性とで違うのでしょうしね。
やっぱり難しい作品。
私にはクラッシュ以上に身近に感じられない感覚の作品だったようです。
■あかん隊さん、こんばんは♪
他の作品はポツポツ見始めているようですし、
前売り券をボツにしないようにしましょうね。
>嗚呼。かくも時間は、非情に過ぎてゆく。
カナシンデルバアイデハアリマセンゾ
時は金なり。
働いて、働いて、働いて。
何のために働いて?ってなことにならないようにね。
投稿: たいむ(管理人) | 2006/04/12 18:03
たいむさん、今晩は☆
この作品は感想を書くのが非常~に難しかったです。
未だに考えが纏まりません。^^:
何故肌を合わせたのかが、ただ欲望を満たすためであり、傷を舐めあうためのようにしか感じられなかったのです。
その為か、禁忌を犯す程の気持ちがあるように感じられず(イニスはトラウマもあったことだし)関係に至る理由としては希薄かなぁ~と。
恋愛観や性差などによっても感想が大きく違ってくるのでしょうが…。
主人公二人の苦しみよりも、妻アルマの苦しい胸中に感情移入してしまいました。
長々スミマセン!やっぱり難しい作品です~。
投稿: ルーピーQ | 2006/04/12 23:11
長々書いたあとに恐縮なのですが、またもTBが反映されないようです(汗)
再度時間を置いてまたお邪魔しますね。m(_ _)m
投稿: ルーピーQ | 2006/04/12 23:16
■ルーピーQさん、こんばんは♪
>この作品は感想を書くのが非常~に難しかったです。
同じく・・というか、私も本当は放棄したいくらいでした(笑)
気持ちはわからなくはないけれど、意味がわからない、というわけのわからない印象だったもので・・・
>妻アルマの苦しい胸中
女性であり、妻であるならば、尚更そっちに気持ちがいっちゃいますよね。
やっぱり難しい作品ですねー。
それなのにコメントを本当にありがとうございました。
gooのTBが久々に貼れたよ!という事もあって、ほっとしたのもつかの間。
まだまだ不安定なココログのようです。
お手数をおかけてしてすみません。
投稿: たいむ(管理人) | 2006/04/13 00:02
今度は無事反映されたようです~!
何回もすみません(汗)
「ブロークバック~」でも感想を言葉にする事の難しさを感じましたが、先日観た「リバティーン」でもまた感じてしまいました。^^:
今度こそ書くことを放棄しそうになりました(苦笑)
投稿: ルーピーQ | 2006/04/14 02:05
■ルーピーQさん、こんばんは♪
こちらこそ何度もご足労をおかけして申し訳有りませんでした。
そして、ありがとうございます。
>「リバティーン」
そうらしいですね。
私は今のところ鑑賞予定無しです。
はなから放棄(笑)
「プロデューサーズ」で重苦しい雰囲気を払拭しましたw
いまはその高揚感を持続したい感じですww
投稿: たいむ(管理人) | 2006/04/14 16:53