「春の雪」みた。
間違いなく「春」です。「四月」ではありません(笑)
久しぶりに試写会。当たったのは「海を飛ぶ夢」以来。
この映画は予告編を散々観たけれど『古典』のようなものだしどうでもいいといえばどうでもよい、そんな感じ。というか・・・すみません「三島文学」読んでません・・^^;)
この「春の雪」は三島由紀夫の遺作「豊饒の海」シリーズの4部作の第一作とのこと。
純愛(・・・でもないけど)、結ばれない恋(・・・でもないけど)、悲劇(なのかな?)
内容に細かい説明や突っ込みは不要でしょう。
”冬”からはじまり、春になり、夏が来て、秋になり、また、冬が来る。そして最後は「春の雪」が舞い散る直前・・だろうか。
”四季”の移ろい、そこに表現される”色彩”の鮮やかさが美しい。四季折々風景であり、その季節だけのもの、それが”色”として見事に表現されている。”聡子”の”着物”もまたしかり。正に”紅一点”というのような美しさを際立たせている。
場面転換のスムーズな流れ、”柱”や”木々”などモノを介しながら自然に、そしてゆったりと移行していくところが印象的だった。
季節感がどんどん無くなっていっているような、この頃。映像の美しさを堪能しませんか?
(以下少しだけネタバレ)
主役の二人も良いけれど、全体的に脇役陣がすばらしい。
「存在感」と言う点ではやはり”岸田今日子”か。
岸田今日子は、清顕の祖母の役。その”祖母”はハッキリものを言う、素敵な人だ。わかっていながら清顕を黙って送り出す、いつまでも”子供”だった清顕の一番の理解者だった。
また、清顕・聡子どちらにも”お世話役”がいる。清顕のお世話役の”山田”には田口トモロヲ。聡子の”御付き”である”蓼科”には大楠道代。
特に”蓼科”は重要な役どころ。行き過ぎてしまった”二人の過ち”に”自戒”をもって正そうとする忠誠心はあっぱれ。
”山田”は影から見守ることで忠誠心を表し、決して出過ぎたことは言わない。けれどやる時はやる、いい男だ。どちらも”古き家制度”の中での忠誠心には涙がでる。
この3人のこのシーンは誰でも予測できると思う。(ただし”蓼科”のフェイントには驚いた)
最後の”聡子”が襖の側にいるだろうことも含め、分かりやすく、全体的にどうしても「古典」なのだろう。だからなおさらに「三島文学」を熟読している方々には描写や心情といったものが全然物足りないと感じているのだろうなと思う。(映像が文章に勝るのは”色”だけではないかだろうか?)
この作品で唯一グッときた”清顕”の言葉が「聡子を信じてあげなきゃ」だった。
いつも受身でしかなく、誰かの手を借りなければ満足に行動できない、でありながら、その誰もを「信じていなかった」”清顕”が自分から初めて欲し、望み、実行したことが「信じる」ということだったのだ、と思った。
評価は・・・(好き嫌いでのことなら)★★☆☆☆
なにぶん「三島文学」の良さを知らないので評価できない、そんなところ。
追記:「春の雪」を「桜吹雪」と私は解釈したのだけれど、どうだろう・・・?
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» 春の雪 [無位無官:zwei]
さて、気を取り直しまして昨日の報告を・・・ ※公開前ですし、私自身ネタバレが嫌い [続きを読む]
受信: 2005/10/28 23:07
» 映画「春の雪」 [馬耳風信社]
TBありがとうございます!春の雪は、本当に映像が綺麗でしたね!オフィシャルサイトの壁紙をさっそくダウンロードしちゃいました! [続きを読む]
受信: 2005/10/30 11:32
» 「春の雪」レビュー [映画レビューTBセンター]
「春の雪」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 感想・評価・批評 [続きを読む]
受信: 2005/10/31 06:30
» 「春の雪」心に雪は積もらない [soramove]
「春の雪」★★★☆
妻夫木聡、竹内結子 主演
仰向けに小船に寝そべる
主人公の恍惚にも似た
表情が画面を横切る
そして幼なじみの聡子が
あでやかな着物で登場、
彼女の顔を今度は下から
ゆっくりとカメラは横切っていく。
どのシーンもひとつの絵のよ...... [続きを読む]
受信: 2005/10/31 17:22
» 『春の雪』を観て来ました! [☆★☆風景写真blog☆★☆healing Photo!]
2005年11月1日
『春の雪』 観賞レビュー
春の雪
瀬をはやみ、岩にせかるる滝川の、
われても末に逢わむとぞ思ふ
崇徳院 (すとくのいん)
2005年10月29日(土)
全国東宝洋画系ロードショー
2005年/日本
配給:東宝
『北の零年』の行定勲監督が
文豪・三島由紀夫の遺作に挑戦
今年、生誕80年没後35周年を迎えた
三島由紀夫の遺作「豊饒の海」シリーズの第一作
『春の雪』を映画化
大正初期の上流社会を舞台に
... [続きを読む]
受信: 2005/11/01 06:45
» 春の雪(新映画日記転用) [新×3 もろもろ日記]
「世界の中心で、愛を叫ぶ」行定勲監督作品。
とにかく映像がきれいでしきりに見とれてました。
日本の四季をこんなに美しく、幻想的に切り取るとは。
特に一度目の雨のシーンは、私まで雨の中にいるような錯覚を覚えました。
竹内結子演じる「聡子」はたおやかな公家のご令嬢でしたね。
それまでは穏やかな表情が多かっただけに、
侍女の蓼科(大楠道代)に決意表明するところの力強さが際立ってました。
清顕(妻夫木聡)は前半の若者らしい傲慢・気だるさから
徐々に変わっていくさまが何とも切なかっ..... [続きを読む]
受信: 2005/11/02 12:30
» 春の雪 [まつさんの映画伝道師]
第257回
★★★☆(劇場)
いやよいやよも好きのうち。
これは別に「暴行」・「強姦」という意味ではない。「いや」は「嫌」ではなく「否」だからだ。
「春の雪」の主人公である清顕(妻夫木聡)は失って初めて「大切な人」への「愛」を自覚する。「禁断....... [続きを読む]
受信: 2005/11/04 08:24
» 春の雪 [外部デバイスへの記録]
製作国:日本
公開:2005年10月29日
原作:三島由紀夫
監督:行定勲
出演:妻夫木聡、竹内結子、高岡蒼佑、榎木孝明、岸田今日子、大楠道代、若尾文子、及川光博、宮崎美子 ほか
元々鑑賞するつもりはなかったけど、遊びに行く予定がつぶれたため、思わず鑑賞してし....... [続きを読む]
受信: 2005/11/06 11:19
» 『春の雪』 [京の昼寝〜♪]
ケータイのない恋愛を、あなたは想像できますか。
■監督 行定 勲■脚本 伊藤ちひろ■原作 三島由紀夫「春の雪」(豊穣の海第一巻)■キャスト 妻夫木 聡、竹内結子、高岡蒼佑、榎木孝明、岸田今日子、大楠道代、若尾文子、及川光博、田口トモロウ、石丸謙二郎、宮崎美子、山本 圭、高畑淳子□オフィシャルHP http://harunoyuki.jp/
大正時代の貴族社会。 公爵家の子息・松枝清顕と伯爵家・綾倉聡�... [続きを読む]
受信: 2005/11/06 17:19
» 『 春の雪 』 [やっぱり邦画好き…]
映画 『 春の雪
』?? [ 試写会鑑賞 ]
2005年:日 本 【10月29日ロードショー】
監 督:行定 勲
脚 本:伊藤ちひろ 佐藤信介
製 作:富山省吾
原 作:三島由紀夫 「春の雪」
三島 由紀夫 春の雪
春の雪~清顕と聡... [続きを読む]
受信: 2005/11/06 22:26
» ★★★「春の雪」竹内結子、妻夫木聡、高岡蒼佑、及川光博、宮崎... [こぶたのベイブウ映画日記]
いくら許されない恋といっても、清様の場合、自業自得では・・?聡子を失い、初めて気づく恋心も、彼の幼稚さが招いた顛末だと思う。映像は美しく、描写も丁寧だが、押し寄せるような感動はなかった。それは、全能感を持ったお坊ちゃま、子供じみた清様に共感できなかった...... [続きを読む]
受信: 2005/11/09 11:33
» 春の雪 [toe@cinematiclife]
行定監督は、長編第一作の『ひまわり』を偶然見ていて、それ以来、気になる監督の一人。 今回も、原作はよく知らないし、内容もあまり知らずに行ってみた。 ちょっと、どうかなぁ~と思いも抱いていたのだけど、思いのほか感動して泣いて帰ってきましたよ。 <STORY> 松枝清顕(きよあき(妻夫木聡))は、公家での優雅さを身につけるため、綾倉家で育てられる。 綾倉家の令嬢・聡子(竹内結子)は、幼馴染であり、将来... [続きを読む]
受信: 2005/11/15 00:08
コメント
最近、妻夫木くんが、「自信満々」なのが、少し「嫌だな」と感じている自分です。
竹内結子は、きれいだけれど、好きなタイプじゃない。岸田今日子は、大好きです。<変なの!w
6対4で、観ないかな、と思っていたけど、たいむさんの記事を読んじゃったし(確信犯)、もういいかなぁ(爆)。
投稿: あかん隊 | 2005/10/28 14:06
はじめまして
コメントどうもです。
試写会行ってたんですか?すごい偶然ですね。
いちおう記事を書いたのでTBしようと思ったのですが・・・
じつは仕方がよくわからんのです・・・。
投稿: SO~3 | 2005/10/28 15:30
■あかん隊さん、こんばんは♪
>妻夫木くんが、「自信満々」なのが、少し「嫌だな」と・・
同じくそう感じていました!!昨日(今日?)の夜中に「春の雪」のメイキング?特集みたいのもやっていましたね。そういえば。
>岸田今日子
私も好きです。色々な意味で変わらないですよね、このひと。
>6対4で、観ないかな
試写会が当たらなければ、私も観ない・・に傾いていました。
観て損は無いけど、観なくても損は無い、かな(笑)
これからヒミコ・・いきま~す。
投稿: たいむ(管理人) | 2005/10/28 17:31
■SO~3さん、こんばんは♪
コメントありがとうございます。
同じ劇場ならスゴイ偶然ですが、さすがにそれはないですね(笑)
記事は拝見しましたよ。
TBがんばってくださ~~い。(なんてね)
投稿: たいむ(管理人) | 2005/10/28 17:33
はじめまして。私も見てきました。
いつも受身だった清顕の「信じてあげなきゃ」についての文章を拝見して
「そのとおりだな~」と思いました。
手紙の一件といい、
だれも信じられなかった彼が・・
トラバさせてくださいね。
妻夫木くん、私は前は好きだったんですが
確かにこのごろは・・自信満々な感じ
ありますね~~。
投稿: ぶんちょう | 2005/11/02 12:35
■ぶんちょうさん、はじめまして♪
TB&コメント感謝です!
>「そのとおりだな~」と思いました。
とても嬉しいです、共感していただけて。
彼がやっと”子供”から”大人”になったのだなぁ、そんな風に感じたのがここでした。
最近の妻夫木くん、嫌いじゃないけど・・・なんだろう、ちょっと違和感ですね。
投稿: たいむ(管理人) | 2005/11/02 19:55
こんにちは。
桜吹雪の解釈同じです。
私も原作読んでいないので、正解かどうか知らないのですが(^^;)
映画そのものの圧倒的な美しさと、ストーリーに私はどっぷり浸って観てしまいました。
あ、蓼科大好きです。
投稿: toe | 2005/11/15 23:03
■toeさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます。
>桜吹雪の解釈同じです。
ひとりでも同じように感じていた人がいると思うと心強く思っちゃいます(笑)
>あ、蓼科大好きです。
ですね!
投稿: たいむ(管理人) | 2005/11/15 23:54