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2005/07/05

影響?洗脳?そんなもの(1)

今は「京極夏彦」に洗脳されまくっているけれど、以前とても影響を受けたのが
作家「氷室冴子」
以前・・といっても中学生の頃からだから、かなり古くからだしその影響は根強い。
その頃、コバルト文庫にハマッていた時期が続き、「赤川次郎」の吸血鬼シリーズ。「新井素子」の星を行く船シリーズなどと共に読みあさった。

「氷室冴子」
この名前でピントくる人が今どのくらいいるだろう?
コバルト文庫の「クララ白書」「なんて素敵にジャパネスク」などは漫画化された。
「ライジング」は藤田和子の漫画の原作として人気を集め、文庫化もされている。
「恋する女たち」は斉藤由貴主演で映画化された。
そして「海がきこえる」はアニメで、あのジブリ作品で映画化され、ビデオ・DVD化。
(「恋する女たちは」は主人公とその友人たちとの距離感などに憧れ、これも影響を受けた作品の一つ)
その後エッセイなど出版されていたが(これもいい!)現在の活動は不明。

「海がきこえる」実はこの続編がある。(武田真治主演でドラマ化)30543549

「海がきこえるⅡ アイがあるから」
高知県を舞台にし、高校生だった前作の主人公たちが大学に進学、舞台を東京に移した物語になる。

【アイがあるから・・】 テーマはそのままサブタイトル通り。

いま、ガンネタや、観た映画、読んだ本、色々とblogで記事として公開し、また様々なblogを閲覧したり、コメントしたりしている。
いつも思う。同じ絵、同じ映像、同じ音、同じ文章なのに、ひとによってどうしてこんなに受け取り方が違うのだろう、と。
自分と似たような感想を持つひと、そうでないひと。
同じ場面に自分と似たような反応するひとがいれば、全く逆の反応をするひとがいる。
とても面白い。

例えば・・・
軍隊に所属する姉妹がいる。
その妹がスパイの容疑をかけられ、更にその容疑のために上からの命令で、姉妹の学生時代からの仲間でもある同僚に撃ち殺されてしまう。
スパイ容疑自体「寝耳に水」の姉。
迷いながらも妹の抹殺の任務を終え、帰還した仲間でもある同僚は、偶然出会ってしまった姉に一言謝罪する。「ごめん・・」と。

このときの姉の反応。
(1)「私の妹なのよ。仲間なのに、どうして!?」と彼に憎しみを持つ。
(2)「彼も任務だったのだ」と自分に言い聞かせ、でも・・と平手一発くらいお見舞いして、彼を許す。
(3)ただその場に泣き崩れる。
このあたりが一般的かと考えられる。

しかし、この物語には前後のからみもあり、この姉はその「彼」と抱き合って泣く。
そのことに対し、あちこちでこの一般的な3つで論議が展開されていた。

そして「姉」と「彼」の仲間でもあり、実はそのスパイ容疑の真相に関わっている「もう一人の彼」が抱き合って泣く2人の様子を見て、その場を立ち去るときの表情についても様々な捉え方がされていた。

【アイがあるから】 ではこんな風に描かれている。
(設定)リカコ(主人公の彼女)の両親は彼女が高校の時、父の浮気が原因で離婚。父の再婚相手を快く思っていない。未だにそのことで苛立っている。

再婚相手が流産の危機に陥る。その場に助けを求められおもむくが、普段は気丈な彼女もただの18歳の女の子であり、なすすべもなくショックで泣くしかできなかった。
そんなリカコを再婚相手の友人が「いくら始まりが不倫でも今は今、人の痛みも感じられないなんて・・・いい加減大人になりなさい」というニュアンスでリカコを責める。

拓(主人公)はいつもリカコに振り回されている。言いたい放題言われ、呼びたいとき呼び出され、いつも口論になりケンカ別れするくらいに。
そんな拓の友人のリカコ評は「ワガママなコだな」

リカコは自分自身に「人に優しくするとか、人の気持ちを理解するとか、そういうの・・・かけているんじゃないかなぁ」と再婚相手の友人に言われたことを気にしている。

拓は再婚相手の友人に対して「リカコはよくやったんだ、できるだけのことはした」、自分の友人に対して「いや・・・」そうでもないぜ、と言い切れないw けど別の友達には「すこしトンガってるけど、いいコなんだ」と言う。

拓は「里佳子は欠けていない。欠けているなら、みんな欠けているんだ。あの安西さん(再婚相手の友人)だって、美香さん(再婚相手)には愛があるけど、里佳子にはないよな。・・・・僕も里佳子にはアイがあるけど、あの人には今のところ、ないな。ぼくらはみんなにアイがあるわけじゃないよ。あったほうがいいけど。アイがあったほうがいいってことを、こういうことで覚えていくんだ、たぶん。」
と言う。

実はこれは里佳子の言葉だった。
水沼くん(友人)を絶賛する拓に言う。
「拓はその人のことが好きで、アイがあって話すから、あたしも水沼くんがいいひとに思えるのかもね。」《会ってみたら凄くイヤな人かもしれないね。》という言葉に添えて。
(実際、水沼の里佳子評は「ワガママなコ」なわけで、拓は自分が里佳子を話すときにアイがなかったか?と気にしたりするw)

そうだった!(と思い出す)・・・・まさに「アイ」なんです。どこに「アイ」があるのか。
それが同じものを見ても聞いても、場合によっては180度感想が違ってしまう所以。

↑の例にしても、
(1)が普通だ、というひとは、おそらく「妹」に「アイ」がある。
(2)のひとは「彼」に対しても「姉」に対してもそこに「アイ」がある。
(3)のひとは客観視しているのでそこに「アイ」はない。「何故抱き合うのか?」に違和感を持つ。

「もう一人の彼」の表情にしても、皆その彼が黒幕で妹を陥れたことを知っているので、
「無表情」と捉えたひとに「アイ」はない。
「何かたくらんでいるような・・」と捉えたひとにももちろん「アイ」はない。逆に「嫌悪」か。
「うつむいたように」「辛そうに」などと捉えたひとには「アイ」がある。黒幕かもしれないと知っていながら、一分の望みを託して「アイ」を込めて見ている。

【アイがあるから】 はよく考えれば普通のことなのだけど、改めて納得させられた内容。

誰かと何かについて語り合うとき、そのとき相手の「アイ」がどこにあるか。
そんなことを考えて語り合うと妙なすれ違いによる言い争いに発展する可能性は少なくなるかもしれない。
相手の「アイ」が自分に近いものであれば、その部分を語り合えばいつまでも盛り上がった会話ができるだろう。
相手の「アイ」が違うところにあるなら、その違いを楽しめばいい。否定するのではなく。

そんな意味で、自分の人付き合いにおけるスタンスに影響を及ぼした一冊だった。
意見は違っても何かに「アイ」があると感じる人となら付き合っていける。
きっと、誰にでも、どこかに「アイ」はある。それをまず探す・・・難しい時もあるけど・・ね。

追記:同じ対象に似たような「アイ」を持っている人たちと会話は楽しい。
でもそこにある「アイ」は、イコール「価値観」ではない。似て非なるもの。
また、どんなに共感して、お互いが「おなじー!」と叫んでみても、すべて同じはありえない。
言っていることが矛盾になるかもしれないけれど・・・

それについてはまた今度。
京極夏彦「ルー=ガルー(忌避すべき狼)」につながる

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コメント

こんばんは☆

なるほど、シンルナの一件ですか(^^;
自分は実際に荒れてるところを見たわけでは
ないですが、おもしろいのは、結局みんな放映された展開では納得いかないってところですよねw
問題は構成にスキがありすぎて、明らかに
説明不足になってしまってる事でしょう。
逆に監督や脚本家にガンダムに「アイ」があるのか聞いてみたいですw

おっと今日はガンダムネタでなく、スターウォーズネタでした。
今日の深夜、日テレで「クローン大戦vol.2」を
放映するようです!関東住みでないので地上波で放映するとは全くノーマークでした。。。
もし間に合いましたらぜひぜひご覧ください!

投稿: ひー | 2005/07/05 22:41

■ひーさん♪
わかる人にはわかる書きかた。
わからない人にも状況はわかるように書いたつもりなんだけど・・・どうかな?

真のテーマは「アイがあるから」って本なんだけど、引っ掛けてみました。あうんだもんw

>明らかに説明不足・・・
回想は多いのに、全体「会話」の少なさなど随分言われてますよね。一人がしゃべって、相手は「あ」とか「う」とかばかりwwアスラン・・・汗
今回のアスVSレイは会話になってましたけどねw

でも、まぁあんまりその辺りには突っ込みたくない。
彼らにも「アイ」があると信じて!

SW情報ありがとう。
仔細はひーさんトコに・・・

投稿: たいむ | 2005/07/05 23:40

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