京極堂
このBlog立ち上げたときからずーっと「お気に入り書籍」にひっそり納まっていました。
ずっと記事を書きたかったんだけど、ガンダムに負けてしまっていました(笑)
「姑獲鳥の夏」(うぶめのなつ)
私が今一番好きな作家、京極夏彦氏のデビュー作品です。
そして、私を洗脳した作品でもあります。
ジャンルとすれば「推理物」になるのかもしれない。けれど「推理小説」ではないと私は思っている。まず「探偵」は出てくるが主人公ではない。謎を解く・・この表現もどこか違う。事件のもとを解きほぐす・・のが主人公である「京極堂・中禅寺秋彦」という感じだろうか?
演説が上手で民衆をあっという間に取り込んでしまったギル(黒)議長
悪魔のささやきで、ジェダイの騎士を暗黒面へ誘い込むパル(シス)議長(あ、ネタバレ・・)
きっとどちらも太刀打ちできないのが「京極堂・中禅寺秋彦」だと思う。
この「京極堂」 とにかく弁が立つ。
仏教、キリスト教、回教、儒教、道教から陰陽道、修験道といった各国各地の宗教や習俗に精通し、口碑・伝承の類にも詳しい。古事記や日本書紀、寺社・仏閣の由来にも明るく、さらに哲学、心理学、民族学、狐狸妖怪に魑魅魍魎、なんでもありの博識この上ない兎に角途方もない人物なのだ。
「京極堂」という屋号を持つ古本屋の店主。
「武蔵清明社」というあの”安倍清明”の流れをくむ神社の神主。
「憑物落とし」の陰陽師。
この3つの顔を持つ。
「この世に不思議なことなど何もないのだよ、関口君」
(関口は同級生の小説家)
まず、コレにやられた・・・・
この世に不思議なものなどない。いえいえ、不思議なことはいっぱいありますよね。
でも「ない」と言ってのける。
「だいたいこの世の中にはあるべくしてあるものしかないし、起こるべくして起こることしか起こらないのだ。自分達の知っている、ほんの僅かな常識だのの範疇で宇宙の凡てをわかったような勘違いをしているから、ちょっと常識から外れたことや経験したことのない事件に出くわすと、皆口を揃えてヤレ不思議だの、ソレ奇態だのと騒ぐことになる。だいたい自分達の素性も成り立ちも考えたことのないような者に世の中のことなんかが解ってたまるかい」(「姑獲鳥の夏」より)
「奇跡は起こらないから奇跡なんだ、起こってしまったらそれは奇跡ではありえない」こんなことも言ってました。(コレはどこかで出てくるんだけど、今、探せない・・・本文が膨大すぎで・・・ニュアンスとしてはこんな感じ)
私の中で何かが弾けたんです(種?O(≧▽≦)O ワー♪)
もっともっとあるんです。心にドーンと衝撃を与えたものが。
もう、目からうろこがボロボロと落ちました。
「呪」にかかってしまったのでしょうね。
でも「呪」(しゅ)だけど「祝」(しゅ)として私は受け止めました。
この「呪」は洗脳ですよ。ホントに。
「洗脳」されてみたい方はぜひ原作を読んでみてください。
但し覚悟が必要です。
「姑獲鳥の夏」はハードブック・ノベルズ版・文庫版、それぞれありますが文庫本の総ページ数621ページ。普通の文庫の軽く2冊分です(文庫本・分冊版は2冊組)
京極堂シリーズ第2弾「魍魎の匣」(もうりょうのはこ)は3冊分
第4弾「鉄鼠の檻」(てっそのおり)は4冊で納まるか・・・国語辞書より厚い文庫です。持っているだけで疲れます。
ツボに嵌まれば決して苦にならないのが不思議なところ。逆に読み終えてしまうのがだんだん勿体無くなっていく心理が逆 に怖かったりする。そういう方にはオススメの作品群です。「呪」にかかってください。
そんな恐怖な読書に抵抗がある方。とりあえず映画も公開されますので、お試しください。(たぶん・・・原作を上回ることはないでしょうが、ニュアンスはつかめるかもしれません)
【あらすじ】
世間を騒がせている、大病院の奇怪な噂。院長の娘が、なんと妊娠20ヶ月。その上、彼女の夫は、ある日突然、密室から消えたというのだ!しかし、それは次から次へと現れる不気味な謎の、ほんの始まりだった・・・
7月16日(土)公開
出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、原田知世、田中麗奈ほか
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コメント
TBありがとうございます! たいむさんのブログは、毎度チェックさせていただいております。お世話になっております。
自分は、「陰陽師」(夢枕獏)から「安倍晴明」を認識するようになりました。よって、「呪(しゅ)」にたいへん罹りやすくなっております。「洗脳される」=「呪(しゅ)に罹る」。安倍晴明も、おおよそのところは「見えていて」、それでも詳細は、周りに語らずにめいっぱい「気を持たせて」引っ張るにいいだけ引っ張ってかいけ~つ! という感じがしてましたので、そういう展開というのは、まさに「呪(しゅ)」そのもの、妖術とも思えます。さて、映画、どうなりますことやら。あんまりがっかりさせないで欲しいですね。(試写会をご覧になる方も、感想を控えていただきたいデス)(不安…)
投稿: あかん隊 | 2005/06/30 01:31
■あかん隊さん♪
こちらこそ、こっそり覗っていたりします。
今はGネタで満載ですが、映画は好きなのでそのネタのときは宜しくお願いしますw
>「陰陽師」(夢枕獏)
私も実はこっちから入りました。文庫はもとより、文庫化されていない単行本も揃ってます。
(そろそろ新刊・・でないかなぁ)
「陰陽師」の映画1・2も「うーん」という感じでしたし、今回も過度の期待はしていませんが、「ええー?」という結果だけはナシにしてほしいです。
16日は都合により観にいけません(泣)
映画は大抵水曜レディースデイ狙い。(wマイカル)1000円なら失敗でもいいかって感じですw
投稿: たいむ | 2005/06/30 21:33
確かに、原作の台詞を全部詰め込んだらとても2時間で終わる筈もなし。
それでも、あの登場人物が立体になるってのはちょっと嬉しかったりもします。
投稿: batasy | 2005/06/30 23:27
■batasyさん♪
batasyさんも「京極」読破してますか?
うれしいなぁ、仲間がいっぱいだ。
セリフを全部入れたら、橋田ドラマになりそうですよねww役者泣かせでしょうwww
さあてどうなるか?期待しすぎす、でも楽しみに待つとしましょう。
京極堂の次回作、「邪魅の雫」7月予定だったのに残念です。
体調不良でしたから仕方がないですね。
今年中には読めるかなぁ。
投稿: たいむ | 2005/07/01 18:08
塗仏の宴まで一通り読みました。が、一度じゃ頭に入らないです。あの分量(涙)
次回作の話は初耳です!!
いやー、なんかそわそわしちゃいます。
投稿: batasy | 2005/07/01 19:01
■bstasyさん♪
1度では確かに苦しい。けど2・3回読むには恐ろしいほどの体力が必要(笑)
でも「塗り仏」までですか??ダメですよ、次がまだまだあります。
「陰摩羅鬼の瑕」と榎木津探偵の「百器徒然袋-風」(ノベルズのみ)
その次ですよ、新作は!!
講談社文庫でってことかな?
そっちは次の「百鬼夜行-陰」までですね。
9月に、榎木津探偵の「百器徒然袋-雨」がでますよ。(サイコー!!)
さらに来年の9月に(いつの話だ)「今昔続百鬼-雲」ですね。そして↑の順ですねw
そわそわしている場合ではないですよ。
まだまだ頑張らねば!!
投稿: たいむ | 2005/07/01 19:31